🌁22〉─1─ブラック企業の過酷労働と過労自殺。~No.87No.88No.89 @ 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本人は勤勉で働き者とは昔の話で、今どきの日本人は生産性の乏しい効率の悪い長時間労働を強いられている。
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 2014年 安倍内閣は、財界からの強い要請を受け、新成長戦略として「残業代ゼロ」法案の成立を急いだ。
 財界が望む残業代ゼロの対象者は、年収600万円以上の正社員ではなく労働者とし、年収1,000万円の契約社員などの非正規労働者も含まれている。
 企業としては、正当な評価で人件費を削減する為に利用する事を考えていた。
 官僚は、残業代ゼロ対象者から国家公務員を除外し、各省庁の獲得した予算を消化する為に残業代(超過勤務手当)の支給を認めさせた。
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 2014年4月22日 政府の経済財政諮問会議と産業競争会議の合同会議で、残業をしようがしまいが、労働時間に見あった成果が得られなければ評価すべきでは無いとの意見が出た。
 つまり、短時間でも成果を出せば会社への貢献度として報酬を出し、長時間やっても成果を出せなければ会社への貢献度が低いとして無報酬とするべきであると。
 森本卓郎「サラリーマンはそもそも、時間を売って仕事をしているわけで、成果を問われるべきは経営者です。でも彼等には人事権がある。成果を出しにくい部署への配置転換と業務命令で成果だけを追求すれば、地獄の底まで働かされます。結局日本は1%の勝ち組と99%の負け組がいる社会になってしまいますよ」
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 2016年8月17日 産経ニュース「女性研修医自殺で労災申請 残業最長月250時間、遺族「長時間労働が原因」
 新潟市民病院新潟市)に勤務していた女性研修医=当時(37)=が今年1月に自殺したのは、残業が最長で月約250時間に上った長時間労働が原因だとして、遺族が17日、新潟労働基準監督署に労災申請した。
 記者会見した遺族や代理人弁護士によると、女性は昨年4月から研修医として勤務していたが、同年秋ごろから眠れないなどの不調を訴えるようになり、今年1月に自殺した。
 遺族らが病院から開示を受けた通勤記録やカルテの閲覧歴を調べたところ、女性は毎月、過労死ラインとされる月80時間を上回る月100時間以上の残業を繰り返し、最長だった昨年8月は251時間だった。
 女性の夫は「病院は個人の労働時間をしっかりと把握しておらず残念だ。病院は体質を改めてほしい」と話した。新潟市民病院は「コメントは控える」としている。」
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 10月7日 産経ニュース「24歳東大卒女性社員が過労死 電通勤務「1日2時間しか寝れない」 クリスマスに投身自殺 労基署が認定
 【電通女性社員自殺 刑事事件に発展する可能性も】
 高橋まつりさんの遺影と母親の幸美さん=7日、東京・霞が関(天野健作撮影)
 最長月130時間の残業などで元電通社員の高橋まつりさん=当時(24)=が自殺し、三田労働基準監督署(東京)が過労死として認定していたことを7日、遺族側弁護士が会見で明らかにした。
 弁護士によると、高橋さんは平成27年3月、東京大文学部を卒業後、同年4月に電通に入社。インターネットの広告部門を担当し、同年10月から証券会社の広告業務も入った。
 弁護士側が入退館記録を基に集計した残業は、10月が130時間、11月が99時間となっていた。休日や深夜の勤務も連続し、12月25日に、住んでいた寮から投身自殺した。
 高橋さんが友人や母親に送信したツイッターなどでは、1日2時間睡眠が続いたことなどを訴えた上で、「これが続くなら死にたいな」「死んだほうがよっぽど幸福」と記していた。
 高橋さんの母、幸美(ゆきみ)さん(53)は「娘は二度と戻ってきません。命より大切な仕事はありません。過労死が繰り返されないように強く希望します」と話していた。
 電通は「社員の自殺については厳粛に受け止めております。労災認定については内容を把握しておりませんので、コメントは差し控えます」とした。」
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 10月14日 産経ニュース「【電通女性社員自殺】新入社員過労自殺電通に立ち入り調査 東京労働局、刑事事件に発展も
 【電通女性社員自殺 刑事事件に発展する可能性も】
 立ち入り調査のため、電通に入る東京労働局の労働基準監督官=14日午後1時、東京都港区
 大手広告代理店の電通(東京都港区)に勤務していた高橋まつりさん=当時(24)=が過労自殺したことを受け、東京労働局の過重労働撲滅特別対策班などは14日、残業時間など従業員の労働実態を調べるため、労働基準法に基づき、同社に立ち入り調査を行った。悪質な法令違反が見つかれば、刑事事件に発展する可能性もある。
 全社的に長時間労働が常態化している疑いもあるとして、名古屋、大阪、京都の各支社にも地元労働局が調査した。今回の調査は労基法に基づく「臨検監督」と呼ばれる抜き打ち調査で、支社まで含めるのは異例。遺族側弁護士によると、高橋さんは昨年4月に電通に入社。インターネットの広告部門を担当していたが、同年10月から証券会社の広告業務も担当し、12月25日に都内の女子寮から投身自殺した。今年9月、三田労働基準監督署(東京)が、過労死ラインとされる「80時間」を超える月約105時間の残業を認め、労災認定していた。
 電通は「立ち入り調査を受けたことは事実。全面的に調査に協力している」とするコメントを発表した。
 厚生労働省は昨年11月、過労死による労災請求があった企業など5031カ所に立ち入りを行い、半数近い2311カ所で違法な長時間労働を確認している。
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 10月20日 産経ニュース「【電通女性社員自殺】3年前にも30歳男性過労死 電通で相次ぐ
 【電通女性社員、過労自殺 刑事事件に発展する可能性も】
 新入社員だった高橋まつりさん=当時(24)=が昨年12月に過労自殺した大手広告代理店の電通で、3年前にも男性社員=同(30)=が死亡し、過労死と認定されていたことが20日、分かった。
 関係者によると、男性は電通本社(東京都港区)に勤務していたが、平成25年6月に病気のため死亡。今年に入って労災申請があり、三田労働基準監督署(東京)が、死亡は長時間労働による過労が原因だったと認定したという。
 電通では3年8月にも入社2年目の大嶋一郎さん=同(24)=が長時間労働を苦に自殺。12年に最高裁が「過労死」と判断し、労災認定している。
 30歳男性について、電通広報部は「社員が亡くなったことは事実。遺族の意向により、詳細については回答いたしかねる」とコメントした。」
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 10月25日 産経ニュース【電通女性社員自殺】「日本は全く変わっていない」遺族側弁護士、厚労省会合で訴える
 【電通女性社員、過労自殺 刑事事件に発展する可能性も】
 高橋まつりさんの遺影と母親の幸美さん=7日、東京・霞が関(天野健作撮影)
 過労死をなくすための対策を話し合う厚生労働省の協議会が25日、開かれ、過労自殺した電通女性新入社員、高橋まつりさん=当時(24)=の遺族側代理人を務める川人(かわひと)博弁護士が出席し、「日本の現実が全く変わっていない」と訴えた。
 川人弁護士は、過労死等防止対策推進法が平成26年に制定された後に、高橋さんが過労自殺したことに触れ、「その事実からしても日本は全く変わっていないことを痛感した。残念でならない」と話した。
 高橋さんは長時間労働に加え、深夜労働や上司のパワーハラスメントがあったことも指摘。その上で、「亡くなるまでの過程で、健康診断など医師が面談する機会もあったが十分なチェック機能を果たすことができなかった。これは深刻な問題を提起している。今後の労働行政においても反省と教訓を踏まえていく必要がある」と改善を訴えた。
 協議会は過労死対策法に基づき設置され、労使の関係者や遺族、有識者らで構成される。26年12月に初会合が開かれた。」
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 2017年2月26日 サンデー毎日「幸せな老後への第一歩 荻原博子
 『過労死しない程度に働け』で、生産性は上がるのか。
 『日本の正社員のやりがい度は世界最下位』。世界3億人以上が利用するビジネス系SNS『Linkedln(リンクトイン)』が、世界26ヵ国のユーザーに行った調査で『今の仕事にやりがいを感じている』と答えた日本人は、26ヵ国中最低でした。
 単純労働ならまだしも、同SNSのユーザーはIT技術者職が多く、高学歴でバリバリのビジネスパーソンが多い。なのに、やりがいを感じない人がいるのは、働き方に問題があるのでしょう。
 しかも、生産性も低い。2015年にOECDが世界35ヵ国で行った労働生産性ランキング(時間当たり)を見ると、日本は35ヶ国中20位。働かないで遊んでばかりいると思われているイタリアが16位、スペインが17位ですから驚いてしまいます。日本人は、イタリア人やスペイン人よりもはるかに勤勉だと思っている人が多いと思いますが、この数字を見ると、無駄にダラダラと長時間労働をしているだけという結果になっています。
 その象徴が、無駄に長い会議。仕事とは、ゴールを決めて誰がどういう役割と責任を果たせばいいのかはっきりさせ、状況によって判断しながら目的を遂行するのもですが、それをいちいち会議で決め『会議で決まったことだから』と状況が変わっても当初の方針を変えようとしない。なぜなら、会議できまったことなら、たとえ失敗しても自分の責任ではないから。
 つまり、成果を上げることよりも少しでも失点をなくすことが先行してしまっています。
 ですから、自分の仕事が終わったらさっさと帰るなどということもできないし、権利であるはずの有給休暇や法律で決めまっているはずの育児休業や介護休業なども、しっかり取ろうとすると会社での評価が下がってしまう。
 結果、無駄な長時間労働が過労につながっていきます。
 問題は、労働時間ではなく仕事の質と効率化だということを政府も企業も認識しない限り、意欲的な仕事などできません。
 ところが、今、政府の『働き方改革』を見ていると、労働時間の攻防に主軸が置かれているようです。国が告示する残業の上限は1ヶ月45時間、1年360時間。これをふまえ、労働基準法36条による36協定で労働組合と使用者は書面による協定を結ぶのですが、この協定には特別条項という抜け穴があります。特別条項を付けると上限がないので、これを使えば無制限に働かせることができる。
 そこで『働き方改革』は、ここに時間の上限をかけようとしています。上限を設けることは必要かもしれませんが、問題は、政府が目指している上限が、年720時間、月平均60時間、繁忙期は月100時間まで認めるという方向。
 実は、『残業時間月100時間』というのは、厚生労働省が出している過労死認定のライン。だとすれば、過労死しない程度までは働けということなのでしょう。
 政府の『働き方改革』を見ていると、管理職の残業代をゼロにするホワイトカラー・エグゼンプションや過労死ラインまでは認める働き方など、働く側についた改革ではなく、使い側に立った『働き方改革』という気がします。
 仕事にやりがいを持ち楽しく働けば、生産性も上がる。それを本気で『働き方改革』で考えていかないと、まさに無駄な会議をダラダラ続けることになります」



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過労自殺 第二版 (岩波新書)

過労自殺 第二版 (岩波新書)

  • 作者:川人 博
  • 発売日: 2014/07/19
  • メディア: 新書