🚷11〉─2─非正規雇用の家族なし子供なしの中高年女性を襲う雇用の不安定と安月給による貧困そして孤独な老後。~No.57 @ 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本社会は冷たい社会であり、日本人は薄情な人間である。
 日本とは、真面目に生きると馬鹿をみ、正直に生きると損をする国である。
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 日本は、男性優位・女性劣位社会である。
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2016年9月25日 読売新聞「安心の設計
 貧困 いま女性 ( 6)
 非正規で独身 どう自立
 40歳以上 限られる就労支援
 アンケートに寄せられた主な声
 派遣43歳 収入は新卒の頃と同程度。実家にいないとやっていけない。
 派遣37歳 病気になったら契約を切られ、収入がなくなるのが不安。貯蓄もできない。
 契約社員47歳 昇給昇格も賞与もなく、正社員の半分ぐらいの給与。この給与で自立して生活する想定がされていない。生活できるレベルの仕事につきたい。
 アルバイト35歳 月22日出勤しても手取り10万程度。時給がとにかく低い。

 雇用環境の変化を背景に、非正規で働く独身女性が増えている。家計を助けるためにパートで働く主婦を想定した仕事が多く、経済的に自立するには厳しい賃金水準だ。特に、40歳を過ぎ、子どものいない独身女性への就労支援は限られ、老後の貧困を防ぐ対策が必要だ。(小沼聖実、樋口郁子)
 『正社員の事務職が希望だけれど、高卒で経験がないから、書類選考すら通らない』。アルバイトしながら求職活動を続ける東京觥の女性(25)は苦笑いする。
 18歳まで児童養護施設で育った。母親は亡くなり、父親は存命だが音信不通だ。高校卒業後、正社員として飲食店に就職。毎日、夜遅くまで立ち仕事が続き、激務で辞める同僚も多かった。そのうえ、年上の店長に関係を迫られるようになり、断ると嫌がらせを受けた。結局、1年半で退職した。
 今は、週5日パチンコ店で働き、月収は手取り約16万円。月によって額が違い、少ない時は国民年金国民健康保険の保険料を払うのもやっとだ。『安定した収入がほしい』と、春からハローワークに通う。これまでに7社に応募し、面接に進めたのは1社だけだ。
 施設を出る前、約100万円あった貯金も、アパートの更新料などでほぼ底をついた。
 『今はお金のことが一番心配。早くきちんと就職したい』
 パートやアルバイト、派遣社員などの非正規で働く独身女性が増えている。総務省の調査(2015年)によると、雇われて働く未婚女性は723万人。このうち非正規は298万人で4割を占めている。年齢別にみると、25〜34歳では34%、35〜44歳では37%を占め、年々増加傾向にある。
 背景には、1990年代以降の不況に加え、99年の労働者派遣法の改正で派遣可能な業種が原則自由化され、正社員の求人が減ったことがある。特に、40歳前後の女性は、新卒時が約20年前の就職氷河期だった影響が大きい。労働政策研究・研修機構の高橋康二副主任研究員は、『不本意な就職だったために転職して非正規になった人や、一度も正社員にならずに年を重ねている人も多い』と話す。
 埼玉県の女性(44)は、高卒で就職した会社になじめず辞めてから、実家の商店の手伝いと、バイトやパートをして暮らしてきた。両親はすでに亡くなり、店も今年に入って廃業した。将来が不安になり、役所の福祉窓口に相談したが、若者や母子家庭向けの支援事業は対象外。唯一、対象となる就労支援は、今のパートを辞めなければ利用できず、あきらめた。『私のような人は、どこに相談すればいいのか』と途方に暮れる。
 横浜市男女共同参画推進協会などが、昨年から今年にかけて、横浜や大阪、福岡の3市を中心に行った35〜54歳の非正規独身女性への調査では、年収200万円未満が42%を占め、収入が少ないことを『不安』とした人は8割に上った。同協会は『40歳以上の独身女性はこれまで支援対象とみなされてこなかったが、予想以上にニーズがある』として、11月から新たな支援を始める予定だ。
 高橋副主任研究員は『一度、非正規になると、働きながら自分でキャリアアップすることは困難。生活保護をしながら資格取得を支援することが必要だ』と話す。
 結婚 女性の『経済力』も重要
 非正規で働く独身女性が増えているもう一つの背景は、未婚率の増加だ。
 2015年の国勢調査によると、30歳代前半の男性の5割弱、女性は3割強が結婚していない。1980年代後半まで、この年齢層で未婚の女性は1割程度だった。女性は結婚して専業主婦となり、主に夫の収入で生活していくのが一般的だったからだ。だが、男性も非正規で働く人が増え、結婚が経済的な安定につながりにくくなっている。
 労働政策研究・研修機構の調査では、20〜34歳の非正規職の男性で結婚している割合は、同年代で正規職の約半分にとどまる。
 国立社会保障・人口問題研究所の未婚者に対する調査(15年)では、結婚相手の経済力を『重視』または『考慮』するとした割合は女性が93%、男性が42%。男性は調査が始まった92年(27%)以降最も高かった。
 女性の働きかたに詳しいジャーナリストの白河桃子さんは『男性が大黒柱となる結婚は過去のもの。若い女性も、好きかどうかだけでなく、お金を稼げるかという視点で仕事を選ぶことが重要だ』と話している。」
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 2017年10月17日 朝日新聞「見落とされる独身女性
 非正規・年重ね『「活躍」というが・・・』
 非正規で働く独身の中高年女性たち。毎日の暮らしに精いっぱいで、将来に不安を抱く人も少なくありません。

 東京都中心部にある地上44階建ての高層オフィスビル川崎市に住む茂木直子さん(44)は今夏から、ここに入る外資系企業に勤めている。フルタイム勤務の派遣社員で時給は1,800円。契約は1ヵ月ごとに更新される。
 2012年までの5年間、同じビル内にある英国系銀行の契約社員だった。当時は年収約480万円。やりがいはあったが、突然、事業の撤退で職を失った。『いくら頑張っても高卒で正社員は無理だと悟った』。元同僚とすれ違うと、今も心がうずく。
 小劇場や語学学校で正規雇用だった20代は倒産したり厳しいノルマを課せられたり。30代は正規雇用を目指したが、10社以上を渡り歩いた。
 4年前、都内で暮らす母(75)が認知症を疑われ、実家に戻った。母の通院の付き添いで月の5日間休んだ翌月、派遣契約を打ち切られた。母の介護と家事に追われ、夜中の過食が始まった。『母を殺して、自分が死ぬか』と思い詰めたのは実家に戻って半年後。郷里の福島県で農作業に励む父(75)が帰ってきて、実家を離れた。
 現在の月収は約25万円。社会保険料や税金を引かれ、約6万円の家賃や約2万円の交通費に加え、携帯電話代あ通信制大学の学費などを払えば貯金はできない。『職が不安定なのに税金は取られ、親の介護も期待される。「女性活躍の推進」というけれど、正社員しか念頭になく、私は存在しないかのように扱われる』
 『稼ぎ主は男性』の陰で
 衆院解散に際し、安倍晋三首相は『社会保障を全世代型に転換する』と打ち出した。各党の公約には若者や子育て世代向けのメニューが目立つ。高齢者と若者世代のはざまで見落とされがちなのが、未婚の中高年の存在だ。
 生涯結婚しない人は増え、35〜44歳の『非正規シングル女性』は2000年代初めに比べて約3倍になった。横浜市男女共同参画推進協会は大阪市や福岡市の研究者の協力を得て、35〜54歳の非正規シングル女性161人にアンケートを実施。昨年3月にまとめた結果では6割以上が『正社員として働ける会社がなかった』と答え、7割は年収250万円未満だった。
 同協会の植野ルナさん(42)は言う。『収入が低いのは「男性稼ぎ主モデル」が前提の賃金体系だから。正社員並みに働いても将来に不安を感じる独身中高年女性層に光が当たらない』
 今月2日、東京都の女性(56)は都内で開かれた『ひきこもりUX女子会』という催しに初めて足を運んだ。曇り空なのにサングラス。『2年前に無職になってからはほとんど外出できず、人と会うのが怖くて』と明かした。
 20代で離婚した後、25年間同じ会社で正社員として働いた。職務を誠実にこなしてきたが、2年前に会社の粉飾決算が発覚。上司の代わりに責任を問われ、うつになって会社を辞めた。『職を失って、「なぜ私はこんなにダメ人間なのか」と苦しんだ』
 元同僚とは縁が切れ、学生時代の友人は主婦ばかりで会う気になれない。近くに住む両親は80代になった。焦っていたとき、参加したのが今回の催しだった。昨年6月から毎月、東京、大阪などで開かれ、生きづらさを抱える女性たち数十人が集う。
 『私だけじゃないと思えたのは大きな一歩。アルバイトを探し、社会の接点を取り戻した』と思う。
 非正規雇用と女性に関する最近の主な出来事
 2003年
・派遣労働できる業種が製造業にも広まる法改正。
・女性の非正規雇用率が50.6%と初めて半数を超す。
 2008年
 リーマン・ショック。『派遣切り』にあった人たちが東京・日比谷の年越し派遣村へ押し寄せた。
 2013年
 政府が成長戦略で『女性の活躍』を掲げ、待機児童解消や子育てする女性の再就職支援、女性管理職の登用などを打ち出す
 2015年
 50歳まで1回も結婚したことがない人の割合を示す『生涯未婚率』が男性23.37%、女性14.06%と過去最高を更新
   (高橋美佐子)」
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 2017年 50歳以上の女性が女性の3人に1人となる。
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 2017年10月29日号 サンデー毎日「幸せな老後への一歩 荻原博子
 『排除』する人、される人の選挙で見えるもの
 ……
 ひと昔前の日本は、『和』をもって貴しとする社会でした。会社でも、仕事ができないからといって、あからさまに『排除』されるということはありませんでした。
 けれど今は、多くの人が、自分は『排除』されるのではないかということに不安を抱いています。厚生労働省の調査では、仕事で強いストレスとなっているものの1番は仕事の質や量の多さですが、2番は仕事の失敗や責任が発生することへのストレスでした。なぜ、これほどまでに失敗を恐れるかといえば、会社も余裕がなく、失敗した人に対して厳しい鉄槌(てっつい)がくだされるからです。
 しかも、政府は今の解雇しにくい日本の社員を、アメリカのように解雇しやすくするために、解雇の金銭解決制度を導入しようとしています。そうなると、能力とか失敗とかに関係なく、会社に必要ではないと思われたら簡単にクビにできるようになります。多分、理不尽な解雇が横行するでしょう。
 働く人の4割を占める非正規の場合には、状況はさらに過酷です。今でも、いとも簡単に『排除』されてしまうのです。
 ……
 こうした動きを見ていると、昨年のアメリカ大統領選で、民主社会主義者バーニー・サンダース氏が、若者をはじめとした格差の底辺にいる人たちから絶大な支持をされた姿がダブります。
 ……日本もアメリカのような、強者と弱者が『分断』された国に近づいていると言えるでしょう。
 ……」
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 10月29日号 サンデー毎日牧太郎の青い空白い雲
 ……
 生活保護受給者は212万人を超えている(今年7月時点)。金融資産を持たない単身世帯の割合は48.1%(2016年)。過去最高である。その一方で、最高125万円の超豪華寝台列車・・・。この『格差』を放置してよいのか?
 景気は良いというけれど、本当だろうか?
 多分、嘘だろう。最新の完全失業率は2.8%。完全失業者数は189万人。87ヵ月連続で減少した!という。本当なら凄い。
 でも、その実態は・・・。就業者数のうちアルバイト、派遣の非正規労働者が占める割合は30〜40%。賃金の正社員を減らして、低賃金の非正規労働者が増える。いつクビになるか?不安定な雇用なのだ。しかも、非正規労働者の7割が年収200万円未満。雇用拡大とはとても言えない。事実、20代前半の失業率は5%を超える。
 『格差』は深刻だ。」

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 神代・古代から日本の古層に根付いていた民族的な「情」や「惻隠の情」は、現代社会では姿形もなくなり、言葉の上や文字の中に散見する空虚な記号に過ぎない。
 祖先神・氏神の人神信仰に基ずく民族的家族主義は消滅した。
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 1980年代頃を境に、日本人は別人のように変わり、日本社会も別の社会に変化していった。
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 家族なし資産なしの一人ぼっちの侘しい中高年は、バブル経済真っ盛りの1990年代をこの世の春と謳歌した独身貴族・生活自由人・パラサイトシングル・お一人様達のなれの果てである。
 生活自由人とは、自分一人の時間を優先して定職に就かず結婚せず、自分の趣味のみに金を使い、金が無くなれば金が貯まるまでの間だけ働くという人々である。
 つまり、悪意に満ちたマスコミに踊らされた若者の哀れな末路である。
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 1990年代前半のバブル経済真っ盛りに、人生とはあくせく働く事ではなく面白おかしく楽しむ事でという風潮が日本を覆った。
 マスコミは、若者に「真面目に働く事が美徳ではない」「結婚して家族を持つ事だけが幸せではない」という21世紀のニューライフを提案した。
 若者は、マスコミが流す情報こそが最先端の流行と信じ、マスコミが提案する人生設計が最良の人生設計と信じた。
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 マスコミが提案した21世紀ライフとは、人口爆発終了と人口激減突入の時代である。
 つまり、少子高齢化で孤独な中高年と貧困の若者が急増する社会である。
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 アリとキリギリスの寓話には、幸せな終わりはない。絶対にない。
 幸せな終わりの囁きは、悪意に満ちた滅びの笛に過ぎない。
 地球上の救いようのない極貧地帯や餓死者が出る飢餓地帯には、幸せな終わりはなく、もし有るとすればそれは残念ながら「死」しかない。
 如何なる綺麗事も、地獄の様な極貧地帯や飢餓地帯には存在しない。
 実現できない理想の美辞麗句は、現実に対して無力で通用しない。
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