🥓17〉─3─女性、高齢者の非正規採用が影響し偏った人手不足で賃金上昇せず。~No.71No.72No.73No.74 @ ⑫ 

人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか

人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか

  • 発売日: 2017/04/14
  • メディア: 単行本
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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2017年8月29日号 エコノミスト「偏った人手不足で賃金上昇せず
 女性、高齢者の非正規採用が影響  斎藤勉
 統計上はバブル期並みの人手不足感が高まる中で賃金が上昇しないのは、業種によって置かれた状況が違うことが関係している。
 2017年6月の有効求人倍率は1.51倍となり、1974年3月以来の高水準を記録した。正社員の求人倍率も1倍を超え、人手不足の状況は深刻化し続けるよいに見える。しかし、人手不足になれば上昇すると考えられていた賃金の動きは依然として鈍く、特に一般労働者(主に正社員)の賃金の伸びは1〜6月の各月の平均で前年比0.2%にとどまっている。
 どの業種も総じて人手不足に陥っているかと言えば、そうではない。図1は、業種別に一般労働者の『求人率』(新規求人者数÷常用雇用者数)を見たものである。飲食、介護、建設、小売りなど、労働力に依存する労働集約的な業種で求人率が上昇している一方、製造業や非製造業(小売り、飲食、介護を除く)では求人率の上昇は限定的である。つまり、人手不足が生じていると言っても、その動向は業種によって大きく異なっているのだ。
 この結果から、二つの疑問が導き出される。1つ目は、完全失業率(6月は2.8%)が低水準で推移している中、人員確保意欲が高まっている業種があるのはなぜかということ。2つ目は、人員確保意欲の高い業種があるのに、賃金上昇圧力が鈍いのはなぜかということである。
 求人のミスマッチ
 そもそも、人手不足が賃金上昇を引き起こすための重要なプロセスとして、企業が人員確保を積極化することが必要だ。人員不足の中で一定の採用を確保するために待遇を良くしたり、自社からの人材流出を防ぐため賃金を引き上げて社員を囲い込んだりするなどの動きである。
 人員確保意欲が高まっていない『人手余裕業種』は、生産性上昇率も高いという特徴がある。内閣府『国民経済計算』によると、15年の実質労働生産性(実質国民総生産÷〈雇用者数×労働時間〉)を業種別にまとめると、求人率の低い人手余裕業種は1時間当たり7,681円であるのに対し、人手不足業種は同2,970円にとどまっている。また、1994年から2015年までの21年間における各年の生産性上昇率の平均は、人手余裕業種が2.2%である一方、人手不足業種は0.5%と低い。
 人手余裕業種は08年のリーマン・ショック後、国内での事業拡大をあきらめ、効率化や生産性向上によって収益を拡大させている。国内生産は増加させずに、生産拠点は海外に移転する一方、国内工場にはロボットなどを積極的に導入し、工場で働く雇用者の数を減少させている。このように、多くの人手余裕業種で生産性が向上していることが、人員確保意欲が高まらない背景にあると考えられる。これは、製造業などで顕著に生じている現象である。
 一方、人手不足業種は、人手余裕業種と比べて生産性が低いため、賃金水準も低い。人手余裕業種の平均賃金(一般労働者)は1ヵ月当たり38.3万円と、人手余裕業種の同42.1万円を下回る。さらに、人手余裕業種の月間平均就業日数は20.9日と、人手余裕業種の19.9日に比べて多い。『生産性、賃金が低く、仕事量は多い』という劣悪な労働条件が人手不足業種の特徴だ。
 加えて、正社員での採用を希望する求職者の多くは、事務職などを希望しており、人手不足業種である販売、飲食、建設などの希望者は多くない。条件面、職種面でのミスマッチにより、人手不足業種では採用を増やせていないが、人員確保意欲郄まりの背景にある。
 人手不足業種で人員確保意欲が高まっている中、賃金上昇圧力が鈍い背景には、過去の人手不足局面と異なり、労働参加率が大幅に上昇していることがある。1985年の男女雇用均等法の成立後に学校を卒業しいた女性は、過去の世代と比べて新卒時の労働参加率が高い。こうした世代の女性が子育てを終え、労働市場に再度復帰しつつある。さらに、12年の高齢者雇用安定法改正で企業には希望者全員の65歳までの雇用が義務化されたことにより、60代の労働参加率上昇も著しい。
 労働参加率上昇を受けて、日本の就業者数は増加基調にある。アベノミクスがスタートした12年12月の就業者数(季節調整値)は6,263万人であったのが、17年6月には6,531万人まで増加している。つまり、人手不足業種はある程度、人員の確保ができる状況に置かれている。
 ところが、労働参加率が増えている女性や高齢者の多くは、非正規雇用での就業を希望しているため、正社員の求人は充足されない。求人率など数値上は人手不足に陥ったままになっているが、非正規社員の増加で業務を回すだけの人員は確保できているため、賃金を大幅に上げてまで正社員を確保しようというインセンティブが弱いのである。
 伸び悩む40代以上
 また、日本企業の雇用システムと人口動態のギャップにも、賃金上昇を鈍らせる要因が潜んでいる。
 日本の正社員の多くは、年功賃金制度の下で賃金が決定されており、若いうちはどれだけ生産性を上げても賃金水準は低く、年齢を重ねることによって賃金が上昇していく。この結果、若いうちは生産性に対して相対的に低い賃金を甘受し、会社員生活の後半に生産性より高い賃金を享受することができる構造となっている。こうした制度は、年齢ごとの人口構造に偏りが生じている場合、持続が困難になる場合がある。
 年功賃金制度の下では、中高年世代の高い賃金は、若年層が割安な賃金で働くことによって担保されている。若年層からの拠出で、年長者の給付を賄うという賦課方式の年金制度に近いものと言える。しかし、少子高齢化が進む中で、低い賃金で働く若年層が雇用者全体に占める割合が低下していくと、相対的に高い賃金を受け取る雇用者の割合が上昇してしまうため、企業から見れば生産性に対して人件費が割高になってしまうのである。
 実は、こうした構造を背景として、40代以上の賃金が伸び悩んでいる。図2は、男性(一般労働者)の実際の賃金カーブと生産性に見合う賃金カーブ、そして年代別の15年から16年にかけての賃金の変化幅を描いたものである。賃金が生産性に対して割高になってくる40年代以降、賃金はむしろ減少していることが確認できる。
 旧来の年齢構成の下では、40代になれば多くの雇用者は管理職となり、給与が大きく伸びる時期であった。しかし、現在の40代には『団塊ジュニア世代』と呼ばれる人口の多い世代が含まれている。過去と同じベースで昇格させていくと、管理職の割合が多くなりすぎてしまう。このため、企業は昇格できる雇用者の割合を下げ、昇格のペースを遅らせるなどの手法を用いて、40代以降の賃金を抑制しているのである。
 このように、日本の賃金伸び悩みの要因には、①人手余裕業種は生産性を向上させることで雇用者数を削減しているため、人員確保意欲が弱いこと、②人手不足業種では労働参加率が上昇している女性や高齢者を非正規雇用者として確保することによって正社員の賃金上昇圧力が鈍い、③年功賃金制度が雇用者の高齢化という人口構成の変化によって40年代以降の賃金圧迫要因となっていること──が挙げられる。
 新産業で賃金上昇も
 それでは、こうした賃金伸び悩みの構造は今後も継続するのだろうか。
 そこで注目したいのは、足元で生じつつある第四次産業革命の動きでる。IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ビッグデータ活用という新しい技術の発展によって、人手不足業種の生産性が劇的に改善する可能性がある。生産性が向上すれば、賃金水準を大幅に高めることも考えられる。
 また、データエンジニアなど、生産性の高いIT関連業種の雇用ニーズの高まりも想定されることから、これまで国内事業の縮小を続けてきた人手余裕業種の一部が、雇用を拡大させるようとすることで、人員確保意欲が高まり、賃金上昇率の押し上げ圧力になるということである。こうした生産性向上の動きが、年長者の生産性向上にもつながれば、生産性見合いの賃金カーブの下でも40代以降の賃金低下は限定的なものになると見込まれる。
 一方、現在の構造問題を抱えたまま、人手不足に対応できない企業が廃業を余儀なくされ、生産性向上を達成した企業のみが生き残るという形で強制的な新陳代謝が促される未来も想定される。生産性や賃金の低い企業の退場によって、国全体の平均で見た賃金状況は改善の可能性があるものの、新たな雇用の受け皿のない状態では失業率が増加に転じることになり、むしろ賃金低下圧力となることも考えられよう。
 つまり、人手余裕業種の事業拡大や新たな産業の発展といった、雇用を増加させるような産業構造の変化が生じるかどうかが、賃金上昇が本格化するか否かの注目点と言える。現在の構造の下では、人手不足というだけで賃金上昇は本格化しないと考えておくべきだ」
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 食糧・資源・エネルギーそして金融・サービスをアメリカに依存する日本は、米ドル建てで輸入している。
 生きるに必要なモノを海外、特にアメリカの影響下の諸国・諸地域で購入している。
 国際市場で必要なモノを購入する為には、米国ドルが欠かせない。
 約1億3,000万人が生きる為のモノを買う米国ドルは、国内外(特に海外)で働いて稼ぐ必要があり、遊んでいては手に入らない。
 なぜ働くか、自分と家族が生きる為であり、遊んで楽しむのはその後である。
 それが、資源なき日本列島で生きる者の定めである。
 日本が、江戸時代のような総人口約3,000万人で、江戸時代のような無い無い尽くしの慎ましい貧しい生活を望むなら、自然共生の自給自足生活は可能である。
 日本列島には、約1億3,000万人が自由に生きられるだけの豊潤な地力は存在しない。
 自然豊かな土地だが同時に痩せた土地であり、幾ら地下を掘っても金銀財宝の御宝は出てこない。
 中国は、日本同様に食糧・資源・エネルギーそして金融を欧米社会に依存する消費市場に過ぎない。
 日本が、アメリカ依存を捨て中国に依存する事は自滅行為である。
 食糧・資源・エネルギーそして金融は、アメリカを中心とした西欧にあって、中国やロシアにはないし、アジアやアフリカなどにもない。
 妄想的理想主義のマルクス主義共産主義政策は、現実無視・現状軽視・現場忌避の机上の空論に過ぎない。
 ものの役にたたなさは、戦前の昔から今日に至るまで変わらない。
 特に、今後の人口激減期ではそれが言える。
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 その仕事の生産性が高ければ、見返りとしての給与は高い。
 時間や日数が少なくても売り上げが多ければ、労働時間や就労日数は少なくても構わない。
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 同じ1%の売り上げとなれば、1億円を売って100万円を手にするのも、100円を売って1円をえるのも同じである。
 1%の利益を得る苦労と言っても、100円を売る苦労と1億円を売る苦労とは雲泥の差がある。
 100円の生産費と1億円の生産費とは、雲泥の差がある。
 100円を売る人間と1億円を売る人間との格差は、正当であり、やむを得ない。
 100円を売る人間が1億円を売る人間と同じになりたければ、100円の商品を100万個売る事である。
 100万個売るのが大変なら、商品を500円にするか1,000円にする事である。
 だが、100円の商品はしょせん100円の価値しかなく500円になるはずがない。
 100円を売る人間は、どうあがいても100円の生活をするしかない。
 自由と気楽を考えたとき、それは1億円を売る人間ではなく100円を売る人間である。
 江戸時代の人間は、100円の生活で満足し、貧しさを苦しいと感じず生きていた。
 日本人は、売り上げ100円で純益1円の生き方に満足していた。
 近代化とは、売り上げ1億円で純益100万円の生活に憧れる事である。




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