🥓35〉─1─子供が嫌いな大人達。保育園開園反対運動。保育園不足と待機児童。~No.161 @ 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 現代に日本で広がる子ども嫌い。
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 2016年11月3日号 週刊新潮藤原正彦管見妄語
 世界一幸せだった子供達
 ……
 子供好きは昔から日本人の一大特徴であった。幕末維新の頃に我が国を訪れた欧米人の著作はそれを物語っている。米人モースは『日本その日その日』(講談社学術文庫)の中で『日本は子供天国である。世界中で日本においてほど子供が親切に取り扱われる国はない』としきりに繰り返している。実際、何人かの欧米人が『日本の道は子供達の遊び場である。遊びに没頭していても危険がないのは通行人、人力車、荷車などが、子供のコマを踏んだり羽子板や竹馬の邪魔をしないようよけて通るから』などと記している。……西洋の庶民の子供より行儀はいいし、10歳になる頃までには両親を敬愛し年寄りを尊敬する立派な人間になってしまう。こんな例は世界のどこの国を見てもない、と感嘆したのだ。アリエスの『子供の誕生』(みすず書房)には、17世紀の頃まで、西洋では7、8歳までの子供は動物と似た扱いであり、特別の愛情を注いで育てる対象ではなかったとある。そんな時代からさほど隔たっていない幕末維新だから、欧米人は一層、日本人の子供崇拝とも言うべき子供への愛情や、世界一幸せそうに往来で遊び回る子供達の姿に瞠目したのだろう。……」
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 自分の事しか考えない大人達。
 大人達は、子供を使って自分の老後の面倒を見させようとしている。
 子供は、大人の犠牲にされようとしている。
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 戦後の日本は、子供を大事にしなくなった。
 昔の日本は、子供を大事にしていた。
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 田代秀敏(シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト)「借金の7割以上が外貨のギリシャに対し、日本は9割以上が国民の資金。外国に頼らず経済が回っており、デフォルトの可能性は低いというのが通説です。
 金融市場は別の見方をしています。いざデフォルトとなれば、ギリシャは外国人の債権を払わずに生き残りますが、日本は借金の大半を自国民が背負わねばならない。となれば、財政を蝕む年金、医療、介護を削らざるをえなくなります。
 超低金利なのに国の利払い費は膨れ、10兆円を超えています。金利が1%上がれば利払いは10兆円増え、仮に3%を超えたら30兆円。国の収入の多くが吹っ飛んでしまいます。
 25年になると、有権者の半分以上が65歳以上となる。おいそれと年金削減などできず、かといって返す時は大増税プラス社会保障のカットは免れない。インフレ税という形で債務を減らすか、年金カットで増税か。Xデーが来たら、ギリシャどころではない地獄の苦しみが待っています」
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 2015年5月31日 サンデー毎日牧太郎の青い空白い雲
 子供の声がうるさい!という理由で、保育園の建設に反対する『市民運動家』がいるらしい。
 最近のテレビ番組では、この種の保育園反対運動のリーダーが『命に懸けて建設を阻止する!』と息巻いている。
 おかしいじゃないか。この方だって子供の頃、元気に飛び回って、大声をはり上げたはずなのに・・・。
 当方、70歳。確かに、子供の声が気になるような年齢になったが、そこは我慢だ。むしろ、子供の笑い声が聞こえてくると『平和』を感じてうれしくなる。
 子供は宝だ。子供は、大人たちに〝迷惑〟をかけながら成長する。それでいいじゃないか。
 町内にイカガワシイ風俗店が立つので反対する!というのなら分からないでもないが・・・子供を敵に回す大人なんて聞いたことがない。まして『命を懸ける!』・・・困ったお人だ。
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 しかし、事態は『子供の声』にとって、深刻なものになっている。裁判ざたになっているのだ。
 例えば、東京都某区のケース。住民(という市民運動家)が『平穏な日常生活を害された』と保育所の運営会社を相手取り、騒音差し止めと慰謝料などを求め、東京地裁に提訴した。訴状では『騒音は常に45デシベルを超え、頻繁に75デシベルを超える』と主張する。
 保育所を運営する会社は周辺に配慮して、高さ約3メートルの透明な防音壁を約1,000万円かけて設置し、窓は二重サッシにしたというが、ラチがあかない。園庭で子供を遊ばせる時間を各クラス40分に制限。0〜5歳児の140人が一度に園庭に出て騒がしくないよう『ローテーション式』を導入しているが・・・ラチがあかない。
 高速道路に設置される防音壁が保育所の庭に取り付けられているなんて・・・まるで『刑務所の運動場』ではないか?この『市民運動家』は『防音壁は当たり前だ!』と言う。
 おかしい。
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 訴訟の根拠となっているのが、東京都の場合は『都民の健康と安全を確保する環境に関する条例』(環境確保条例)。
 条例は『何人も規制基準を超える騒音を発生させてはならない』と謳い、住宅街では日中に40〜45デシベル以上の騒音を敷地外に漏らすことを禁じている。50デシベルは人が会話をする程度の音。子供たちの『遊び声』が50デシベルを超えるのはやむを得ないだろう。この『妙な市民運動家』は『何人も』とあるじゃないか!と主張する。
 でも、おかしい。
 なぜなら、この条例は工場の騒音を規制する目的の条例である。目的と無関係の『子供の声』を取り上げ、騒音にするなんて『法令の読み違い』ではないか?
 それでも、東京都は仕方なく『子供の声』を騒音の数値規制の対象から除外した改正環境確保条例を作り、4月1日、施行した。
 子供の遊び声が裁判ざたになるなんて・・・日本は変な国になった。
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 子供たちが『キャッキャ』と声を出すのは元気な証拠である。感動の表れである。『キャッキャ』は楽しさを共有し、社会性や情緒的な豊かさを育むための『誰でもの行う行為』である。多分、この『市民運動家』だって『キャッキャ』と飛び回ったはずである。
 それを、まるでのよう『罪』に扱う。
 『防音壁が当たり前だ!』という主張に追い詰められ、善意の保育所関係者が、泣く泣く、『かくれんぼをしましょう』と提案して、『みんな、黙って、隠れる遊びをしましょう』と言うのだ。
 子供たちが『シーン』としているなんて・・・葬儀場のような運動場だ!子供イジメの運動に命を懸けるなら、平和憲法を守る運動を選んだらいいじゃないか、『子供の声』を叱り付ける運動は『私利私欲の範疇(はんちゅう)』ではあるまいか?
 子供は『我々、日本人の共有の宝』なのだから」
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 5月28日号 週刊新潮 「中川淳一郎 この連載はミスリードです。
 無関心と過関心
 ホント、日本人って外圧に弱いですね。大分県高崎山自然動物園で生まれた子ザルが公募の結果『シャーロット』になったと発表したところ、同園に抗議が殺到しました。曰く『英王女と同じ名前とは失礼な!』ということですが、そこから先、園が何を言おうが批判の声は寄せられ続けました。最終的には当事者である英王室が『好きにやれば』と言って決定しました。となると抗議した方々は『グヌヌヌヌ』と顔を真っ赤にし、振り上げた拳をどうしていいのか分からなくなるのです。
 海外サイトを見ると当件は『ヘンなニュース』カテゴリーで扱われました。コメント欄でも『王室が「シャーロット」の命名権を持ってるわけではない』なんて意見が書かれ、抗議する人に呆れる声だらけでした。
 ……
 私がこの9年ほど提唱している概念なのですが、日本って『怒りの代理人』が多過ぎませんか? 別にあんた自身に迷惑がかかっているワケでも、被害を受けているワケでもないのに、誰かを勝手に被害者・怒っている人扱いして代わりに抗議する。
 その時のキメゼリフは『もし、OOさんが傷ついたらどうするんですか!』というもので、必ず『仮定』でモノを言います。私の本職であるネットってものはまさに怒りの代理人の皆様方がもっとも輝く場所でありまして、この手のクレームはホント凄まじいのです。
 ……
 この『1億総エスパー化・勝手代理人化』ってどうにかなりませんかね? 自分と関係のない人の心を勝手に読み『あの人は失礼だと感じる・傷つくはずだ』と先回りして代わりに抗議する。
 それで相手は『配慮が足りませんでした』と平身低頭。『日英関係を毀損したらどうするのですか!』なんて大きなことを言い、叩く正当性が強化される。今回、英国は無関心を貫きました。これが当たり前な大人の行動ですよね。目の前で高校生が喫煙していても見て見ぬフリ。なのに、電話やメールだったら過関心になって相手に食ってかかる。結局は娯楽でしょ。ならば、どうぞ一人でやって下さい」
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 現代日本。特に、1980年代以降の日本は、昔の日本ほどに子供を大事にしなくなった。
 街中から、公園から、子供の遊ぶ声が急速に減って行った。
 同時に、意味不明な訳の分からない市民団体と市民活動が急増して、社会の様々な活力を奪い始め、世の中に淀んだ空気を充満させた。
 江戸幕府末期。日本は欧米列強に比べて貧しく送れていたが、子供達はのびのびとして笑い遊んでいた。
 昔の大人達は、自分を犠牲にしても子供を「国の宝」「かすがい」として一致協力して守り育てた。
 明治維新後の日本の近代化は、「子供」を祖先神・氏神からの授かり物として大切に育て教育を施したが故に成功した。
 子供が持っている好奇心、探究心、向上心に裏打ちされた達成する喜びが、貧しかった日本を短期間で豊かにした。
 現代日本では、子供とは金を持った消費者、大切なお客様に過ぎない。
 親の児童虐待が止まらないどころか、児童虐殺に至る事件が頻発している。
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 2015年8月20日 産経ニュース「【日本の議論】「子供がうるさい!」高さ3メートルの防音壁、開園延期…保育園が嫌われる理由とは
 騒音防止のため、保育園の園庭に設置された防音壁。大人の背を優に超える高さがある。(写真はコラージュ)
 共働き家庭の増加とともに都心部などで保育園の新設が相次ぎ、近隣住民とトラブルになるケースが後を絶たない。「騒がしい」など従来の静かな環境を維持したい高齢者らの苦情を受けて開園を延期したり、「平穏な日常生活が侵害された」として、開園後に訴訟に発展したりするケースもある。「子供の声は騒音なのか」をめぐる議論は各地に広がり、波紋を呼んでいる。(中井なつみ)
 公園は「自分の庭のようなもの」
 「子供の声が騒音になり、悩まされている高齢者がいます」。今年4月、東京都中野区立公園の一部を利用して認可保育園が開園した。園の向かいにある住宅には今、こう訴える大きな看板がいくつも並ぶ。
 その家に住む80代の女性は、公園が開園した約40年以前からの住民で「長い間、公園を自分の家の庭のように思って過ごしてきたのに、納得できないまま工事に入られた」と訴える。公園完成以降、遊びに来る子供たちの安全のため、道に立って交通整理もした。
 ところが、意に反して保育園が開園した後は、「公園を見るのも辛くなった」といい、子供の声が耳障りになった。
 保育園側では、子供たちの声が騒音とならないよう園庭の計画を一部変更したほか、外遊びの時間を短く区切ったり、大人数で外には出ないなどの配慮をしている。中野区によると、公園用地の利用は「他に適切な土地がない苦肉の策。多くの住民は理解してくれている」という。
 ネット上では、この保育園だけでなく各地の園について、騒音や建設の進め方などについて反対する声が散見される。一方、都内で昨秋、騒音を理由に園児の保護者を斧(おの)で脅した男が逮捕された事件などもあり、「ご近所の方が怖い。子供への危害がないか心配」といった“つぶやき”も少なくない。神戸市では「嫌がらせを受け、子供たちが不安になっている」という認可保育園もある。
 開園すらできない保育園も
 厚生労働省によると、平成21年4月から26年4月の間、全国の保育定員は約20万人分増加した。待機児童解消のため、全国で次々と保育園が開園する中、こうしたトラブルは各地で起きている。
 福岡県古賀市に今年4月に新設された認可保育園では、近隣住民との話し合いで、高さ3メートルの防音壁を民家側の約60メートルにわたり設置することで、ようやく開園にこぎ着けた。
 一方、住民らとの溝が埋まらず、開園できなくなっている園もある。東京都目黒区の認可保育園では、今年4月の開園予定が延期となり、今も開園のめどがたっていない。「静かな住宅街を守りたい」と主張する住民との話し合いが続き、園側は、遮音フェンスを付ける▽窓は二重サッシにして防音を強化する▽送り迎えに利用できる道路を限定する、などの提案をしているが、合意には至っていない。運営予定会社の担当者は「配慮はするが、保育園は(子供が通いやすい)住宅地にこそ必要な施設なのに」と困惑する。
 また、開園後のトラブルから訴訟に発展したケースも。練馬区の認可園では24年、周辺住民らが騒音の差し止めと慰謝料を求めて提訴し、係争中だ。同園では、地域住民に配慮し、園庭の住宅地側に防音壁も設置した。近くに住む30代の主婦は「保育園の向かいにある、中学校の方がうるさいこともある。高齢者ら一部の人が保育園を目の敵にしている感じもする」と打ち明ける。
 園と住民との日頃の関係から
 高齢者をはじめ、保育園開設への理解が進まない背景には、子供を預けて働く母親に対する違和感もありそうだ。反対派には「保育園に頼る母親は、子供を育てる気持ちが希薄なのでは」との批判もある。
 騒音トラブルの解決法などを研究し、相談窓口も設けている八戸工業大の橋本典久教授(音環境工学)によると、ここ1〜2年で子供の声に関する相談が急増しており、「高齢者は特に、家にいる時間が長いことからトラブルに発展しやすい」という。音の感じ方には個人差がある上、「トラブルになるかどうかは、園と良好な関係を築いているかも関係する。園は反対意見にも誠意をもって耳を傾け、対応策を話し合う中で、地域住民と信頼関係を築く努力も必要」と話している。」
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 9月4日 産経ニュース「「子供が騒音」…開園延期や訴訟に 新設保育園、相次ぐトラブル
 近隣住民と訴訟に発展した保育園。園庭と民家の境界には、防音壁が設置されている=東京都練馬区
 共働き家庭の増加とともに都心部などで保育園の新設が相次ぎ、周辺住民とトラブルになるケースが後を絶たない。「騒がしい」など従来の静かな環境を維持したい地域住民らの苦情を受けて開園を延期したり、「平穏な日常生活が侵害された」として、開園後に訴訟に発展したりするケースもある。「子供の声は騒音なのか」をめぐる議論は各地に広がり、波紋を呼んでいる。(中井なつみ)
 東京都目黒区で今年4月、一部の周辺住民の反対により、認可保育園の開園が延期となった。今も開園のめどは立っていない。
 「静かな住宅街を守りたい」と主張する高齢者ら周辺住民のために園は、遮音フェンスを付ける▽窓は二重サッシにして防音を強化する▽送り迎えに利用できる道路を限定する−などと提案。しかし、合意に至らず、運営予定会社の担当者は「騒音への配慮はするが、保育園は(子供が通いやすい)住宅地にこそ必要な施設なのですが…」と困惑する。
 3メートルの防音壁
 福岡県古賀市に今年4月に新設された認可保育園では、近隣住民との話し合いで、高さ3メートルの防音壁を民家側の約60メートルにわたり設置することで、ようやく開園にこぎ着けた。
 厚生労働省によると、平成21年4月から26年4月の間、全国の保育定員は約20万人分増加した。待機児童解消のため、全国で次々と保育園が開園する中、こうしたトラブルは各地で起きている。
 「子供の声が騒音になり、悩まされている高齢者がいます」。今年4月、公園の敷地を一部利用して開園した東京都中野区の認可保育園。園の向かいにある住宅にこう訴える大きな看板が並ぶ。
 看板を掲げた80代の女性は、「保育園に反対の声もあったのに、区は工事に入った。納得できない」と訴える。かつては、公園に遊びに来る子供たちの安全のため、交通整理もした。しかし、意に反して保育園が開園した後は「子供の声が耳障りになった」と話す。
 保育園側では、子供たちの声が騒音とならないよう外遊びの時間を短く区切ったり、大人数では外には出ないといった配慮をしたりしている。中野区の担当者は「公園用地の利用は他に適切な土地がない苦肉の策。多くの住民は理解してくれている」とする。
 開園後のトラブルから訴訟に発展したケースもある。19年に開園した練馬区の認可保育園では24年、周辺住民らが騒音の差し止めと慰謝料を求めて提訴し、係争中だ。同園では、地域住民に配慮し、園庭の住宅地側に防音壁を設置した。それでも周辺住民からの反対はやまず、近くに住む30代の主婦は「一部の人が保育園を目の敵にしている感じもする」と打ち明ける。
 インターネット上でも騒音や建設の進め方に対する声が散見され、「ご近所の方が怖い。子供への危害がないか心配」といった母親の“つぶやき”も少なくない。
 信頼関係を築く
 騒音トラブルの解決法などを研究し、相談窓口も設けている八戸工業大の橋本典久教授(音環境工学)によると、ここ1〜2年で子供の声に関する相談が急増しており、「高齢者は特に、家にいる時間が長いことからトラブルに発展しやすい」と指摘。その上で、「音の感じ方には個人差がある。トラブルになるかどうかは、園と良好な関係を築いているかも関係する。園は反対意見にも誠意をもって耳を傾け、対応策を話し合う中で、地域住民と信頼関係を築く努力も必要」と話している。」
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 2015年9月26日午後1時頃 東京メトロ有楽町駅で、無職の男性(64)が、30代女性が押すベビーカーに乗った1歳男児のおでこを擦れ違いざまに右拳で殴った暴行容疑で逮捕された。
 男性は、取り調べで「ベビーカーに進路を邪魔されて、腹が立ったので殴った」と述べて容疑を認めた。
 背景には、ベビーカーを押す若い母親の少数に公共マナーの悪さが目立ち始めた事による。
 阿部真大「欧米では『子育ては社会全体でするものだ』というのが常識で、今回のような事件は考えられません。日本でも男性の育児参加などが進み、徐々に子育てに対する社会の意識は変わってきていますが、専業主婦が当たり前だった団塊の世代以上は、いまだに家族観も前時代的なのです。お互いの譲り合いの精神が求められているのですが」
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 2016年4月13日 産経ニュース「【保育園開園中止】「子供の声騒がしい」高齢者らが反対 千葉・市川 「子供の声しない町がいいのか…」と担当者
 保育園建設予定地だった空き地=12日、千葉県市川市林修太郎撮影)
 千葉県市川市菅野の住宅街に今月開園する予定だった私立保育園が、近隣住民から「子供の声で騒がしくなる」などと強く反対されたため、開園中止に追い込まれたことが12日、市への取材で分かった。県によると、今月県内に開園予定だった別の保育園についても、住民から反対を受けたことが原因となり、同様に開園が中止されたという。
 同市の施設は、同県松戸市社会福祉法人が開園を予定していたもので、0〜5歳児を対象とし、定員は108人だった。市川市などは昨年10月以降、住民説明会などを複数回実施して理解を求めたが、住民から「騒がしくなる」「予定地に面する道路が狭くて危ない」といった反対が相次いだとしている。
 周辺住民の賛否は分かれている。近くに住む2児の母で主婦、伊藤孝子さん(35)は「声がうるさい問題はあるけれど住民の方には理解してもらいたかった」と切実に訴えた。一方で、無職の大山弘信さん(75)は「静かな環境が気に入って住んでいるのにうるさくなるのは困る。この辺りは道幅が狭く、子供が歩くにも危ない」と反対の立場だ。
 厚生労働省によると、昨年4月時点で、同市の待機児童数は373人と全国ワースト9位となっている。市の担当者は「市川は待機児童が多いので、開園できなかったのは極めて残念。今回の件が全国にマイナスの影響を与えることを懸念している。個人的には、子供の声が全くしない町は好きではない」と話した。」
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【主張】
 4月14日 産経ニュース「千葉県市川市の保育園「騒音」問題 わからなくはないが、迷惑施設なのか 
 保育施設の子供の声が「騒がしい」などとして各地でトラブルが起きている。千葉県市川市では私立保育園が近隣住民の強い反対で開園中止に追い込まれた。
 子供の声を「騒音」と感じ、排除する社会にはしたくない。そのために知恵を出し合いたい。
 市川市のケースは、社会福祉法人が住宅街に0〜5歳児を対象とした定員約100人の保育園開設を予定していた。
 反対理由には、周辺の静かな住環境が乱されるといった声のほか、予定地前の道路が狭く車も通るため、送り迎えの際の危険性を指摘したものがあった。
 市などが住民説明会を開き、園側が防音や送り迎え時の対策を取ることを説明していた。周辺住民には賛否があったが、結局、理解は得られなかった。千葉県内では今月開園予定だった別の保育園も近隣住民の反対で開園中止になったという。
 子供の声がときに、騒がしいと感じることもあるだろう。できればよそにつくってほしいと思う気持ちも分からなくはない。
 だが、保育園は「迷惑施設」なのだろうか。
 各自治体が待機児童の対策で保育園の新増設に取り組むなか、トラブルは増加している。東京都が市区町村に聞いた調査では、平成20年度以降、住民から苦情を受けたことがある自治体は約7割にのぼった。
 防音壁をつくるほか、外遊びの時間を減らすといった対策まで取る園もある。それでも住民が騒音差し止めや慰謝料を求めて訴訟に発展する例がある。
 都は昨年、条例を改正し子供の声を騒音の規制対象から除いた。周辺環境や防止措置などを総合判断し解決を図るためだ。舛添要一知事は「子供たちの騒音は将来の音楽」と配慮を求めていた。
 世田谷区などが都市公園内に特例で保育園設置を認める特区制度を利用して開設する例もある。場所に苦労した、いわば苦肉の策でもあろう。
 開設に伴う行政や園側の丁寧な説明や安全確保は当然必要だ。住民も「子は社会の宝」との言葉を思い出し、子供たちとつくる未来に想像力を働かせてほしい。「日本死ね」という匿名ブログを引用し待機児童対策を批判していた人たちにも、この問題でいい知恵はあるのか聞いてみたい。」
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 4月22日 産経ニュース「財政審が10年ぶりに女性公聴会 保育園不足に不満の声
 財政制度等審議会を終え、女性委員と握手する麻生財務相(中央右)=22日夜、東京都千代田区
 財政制度等審議会財務相の諮問機関)は22日、参加者を女性に限定した公聴会を10年ぶりに東京都内で開いた。会場からは保育園不足への不満の声が相次いだ。5月にまとめる意見書に反映させる。
 高校生から社会人、高齢者まで、幅広い年代の405人が参加。財政審からは、社会福祉法人理事長の竹中ナミ氏ら6人の女性委員が参加した。
 子どもが保育園に入れない怒りを「保育園落ちた日本死ね」と書き込んだ匿名ブログが社会問題となったことに関連し、会場からは「女性の就業が困難なことや国会議員の偏見が露呈した」といった意見が出た。
 高校生も発言し、「保育園施設も整っていないし、保育士の給料も低い」と現状に疑問を呈した。
 麻生太郎財務相公聴会後の記者会見で「女性の目線でいろいろな話を聞けてよい機会だった」と感想を述べた。」
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 4月28日号 週刊文春「『子供の騒音』で開園を断念
 待機児童問題にさらなる逆風
 千葉県市川市で4月に開園予定だった私立認可保育園が、周辺住民の反対で開園を団円した。反対理由は『子供の声は騒音』『園の前の道路が狭くて危険』といったもの。理事長は『地域の方に子供たちを見守ってもらえなければ開園は無理。あきらめました』と話していた。『保育園落ちた』ブログ問題以降、さらに注目を集める待機児童問題だが、市川市は全国で9番目に待機児童が多い自治体だ。
 市川市に限らず、他の地域でも近隣住民の反対による保育園開園断念や延期が起きている。共同通信の直近の調査では首都圏など9都府県で昨年4月以降、5件の開園が断念、5件が開園延期になったというが、東京23区を含んでいないので、実際にはさらに件数は増える。たとえば世田谷区では高級住宅街の東玉川で防衛庁宿舎跡地に保育園を建設する計画があるが、騒音懸念のほか、『資産価値が下がる』などの理由で反対を受けており、現在も交渉中だ。
 保育園新設は民間のマンション等の建設よりずっとデリケートだ。まず自治体や法人が用地を取得し、建設確認を取った上で現地に看板を立てるが、看板を見て『聞いていない』と住民が反対運動を始めるケースが多い。前出の理事長が言うように保育園は近隣との関係が極めて重要であり建設強行は難しい。
 立地の問題も大きい。法的には保育園などの用地でも建てることができ、駅前の雑居ビルの中や電車の高架下、倉庫など、住宅として使えない場所に作れば反対運動は起こらないが、子供の成育環境を第一に考えれば、静かで広い場所に作った方がいいのは明らかだ。良好な環境の土地であればあるほど反対運動が起こるのが現実なのだ。
 とはいえ、中には反対派あったものの時間をかけて粘り強く説得し、開園にこぎ着けた園もある。そんな都内のある保育園の園長は『子供や職員と顔が見える関係になってからは、反対される方々も今では園にとても協力してくださっています』と話す。
 反対者の多くは中高年だ。一方、働きたい若い子育て世代には保育園が必要だ。安倍政権は『一億総活躍社会』を掲げるが、そのために必要な保育園が建設できない。国がトップダウンで取り組まなければ改善は難しい。(猪熊弘子)」


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