🌁16〉─1─黒字リストラ。黒字企業の非情な人員削減。50代の早期退職。〜No.59No.60No.61 ⑩ 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 時代が大きく変わる時、世情が変化する時、進化・進歩・発展する時、何らかの犠牲が伴う。
 時代に付いて行くには、世情に合わせるには、退化・退歩・衰退しない為には、新たに吹き荒れる風潮に乗り遅れないように、夢と希望を持って前に進むしかない。
 勝ち組・負け組などとままごと遊びを楽しむ子供のような言い草では生き残れない、非情にして残酷な現実が今そこに迫ってきている。
   ・   ・   ・   
 2020年2月27日号 週刊新潮「『黒字リストラ』 人員削減1万人超!」
 『早期退職』の天国と地獄
 企業が『ターゲット』を追い詰める『面談』
 ▼『日本IBM』社員が語る苛烈な闘争
 ▼お上の救済策が『クビ切り』を招く
 早期退職。増額された退職金を元に、セカンドキャリアを歩みだす──といったイメージを持たれている方が多いだろうが、それは一面に過ぎず、その裏では多くの社員が地獄の苦しみを味わっている。短期連載第一回では、企業が行う『面談』の実態をお伝えする。
 『面談』とは名ばかりの・・・
 新型コロナウイルスの蔓延で先行き不透明になってきた面はあるものの、様々な業界で深刻な人手不足が続いている、というのは今や『常識』のように語られている。それゆえ、会社の早期退職募集に手を挙げると、すぐに再就職先が見つかる、と思っているサラリーマンも多いのではないか。しかし、これは大いなる勘違いと言えよう。実際には、昨年夏までに有効求人倍率は頭打ちになっているし、人手不足が続いているのは一部の業界だけに過ぎないのである。
 『有効求人倍率は2018年平均では1.61倍という高水準を記録しました』
 と、中高年専門ライフデザインアドバイザーの木村勝氏は言う。
 『しかし、その数字を職種別に見てみると、建設軀体工事の職業が11.22倍、保安、つまり警備の職業が8.65倍、家庭生活支援、つまり家事サービスなどの職業が4.87倍、介護サービスの職業が4.47倍。それに対して、一般事務の職業は0.41倍、会計事務の職業は0.85倍などとなっている。すなわち、人手不足が発生しているのは、サラリーマンがすぐにはキャリアチェンジできない職種のみなのです』
 辞めても簡単に『次』は見つからない。しかし、大手企業は今後、実質的な『クビ』を増やしていく方針なのだから、サラリーマン受難の時代である。
 黒字リストラ、という言葉を聞いたことがあるだろうか。リストラ、と言えば、会社の経営が苦しくなった際に『最終手段』として手を出す人員整理のこと、と理解している人が多いに違いない。しかし最近、経営状態は悪くないのに早期退職者を募集して人員削減をする、すなわち黒字リストラを行う企業が増加しているのである。
 〈『黒字リストラ』拡大〉
 そんな見出しを掲げた1月13日付の日経新聞の記事によれば、
 〈上場企業が19年に募集(または社員が応募)して早期・希望退職者は35社の計約1万1,000人〉
 で、その35社のうち、最終損益が黒字だった企業は約6割を占めた。また、これらの企業の削減人員数は9,100人で、18年と比べて約3倍に増えたというのだ。
 『黒字リストラが増えている背景には、政府の施策があります。現在、大企業には、定年延長などの方法により、65歳まで希望者全員を雇用する義務がある。そんな中、昨年5月に政府は高年齢者雇用安定法改正案の骨格を発表。そこには、努力義務で希望者を70歳まで雇用することを求める案が盛り込まれ、先日、それが閣議決定されました』
 そう語るのは、株式会社ベクトル取締役副社長で、組織・人事コンサルタントの秋山輝之氏だ。
 『始めは努力義務でも、今後義務化される可能性は高く、そうなれば企業側の負担は何倍にもなる。そこで先手を打って黒字リストラをするわけですが、狙われているのは主に50代。現在の50代前半まではバブル期入社組の世代で、企業が大量採用していた最後の時代に入社した層なのです。社員数が多いため、それをまとめて70歳まで面倒をみるのは、企業にとって非常に負担が大きい。で、次のキャリアを考えてもらおう、となるのです』
 人事コンサルタント城繁幸氏はこう語る。
 『70歳という数字を政府が打ち出して以降に行われた黒字リストラは、これ以上は面倒みきれませんよ、という政府に対する企業からのアンチテーゼだと思います。70歳まで雇用という無茶苦茶な政府の方針が出来て、それなら、と企業が重い腰を上げてリストラに踏みきる、という皮肉な結果になっています』
 実質的な『クビ切り』
 無論、黒字リストラが拡大する背景には別の要因もある。先の秋山氏が挙げるのは、『営業職の終焉』だ。
 『例えば、大手の飲料メーカーなどは、顧客がWEB上で商品の発注を行うことが多くなっている。顧客を回って注文を取るという従来の仕事が企業によってはだんだんと必要なくなってきているのです。一方、50代のベテラン営業マンはバブル期前後の入社で人数も多く、余剰人員となっている。当然、そこがリストラの対象になります』
 早期退職者募集、という言葉に幻惑されがちだが、そこで行われているのは実質的な『クビ切り』である。
 『表向きはオープンに早期退職者を募集していたとしても、その8~9割は、退職して欲しい人にはその旨を伝え、退職して欲しくない人には応募しないように言う、というのが実態です。企業側から見ても、退職して欲しい人に残られ、残って欲しい人に去られたら意味がありませんから』
 と、秋山氏は話す。
 『退職を拒否するとどうなるかという、役職や職場を変えられたりします。役職を取り上げられたり、全く未経験の部署に配属されられたり、といったことです。拒否した人がそのまま残ると、周囲が〝拒否しても大丈夫なんだ〟と思ってしまうので、会社としては、見せしめ的な意味もあり、配置転換などを行います』
 19年に早期・希望退職者を募集した企業で業種別でトップとなったのは電気機器で、計11社だった。
 『電気機器業界では、業績の見通しが立たない、という理由で11年頃から大幅なリストラが行われてきました。パナソニックを皮切りに、ソニーやTDK、NECなどで1万人から2万人規模のリストラが実行された。三菱電機及び日立製作所の分社とNECの分社が統合してできたルネサスエレクトロニクスは10年に発足しましたが、それから数年で連結従業員数を約5万人から2万人にまで減らした』
 す話すのは『電機・情報ユニオン』の森英一書記長。
 『多くの会社はそれ以降もずっとリストラが続いている状態です。富士通は18年に「リソースシフト」なる配置転換を行うと発表し、2,850人が早期退職。アンケートを取ったところ、退職強要の面談があったことが分かりました。ルネサスでも最近、我々の調べでは約1,280人が早期退職。自ら手を挙げて出て行ったのは少数で、多くの場合は面談を受けての実質指名解雇です』
 『特別転進』
 実はこの森書記長、『黒字リストラ』の名づけ親でもある。
 『15年頃から日立の社員による労働相談が増えてきて、当時、桜美林大学の藤田実教授と一緒に分析をしたのがきっかけです。日立は黒字で、営業利益率を毎年のように更新しており、常時リストラ、黒字リストラ、という言葉を使ったのです』
 日立では、18年3月期決算時に30年7,275人いた従業員が、翌年には29万5,941人まで減少。一方、営業利益率は7.6%から8.0%に上がっている。
 『15年の営業利益率は6%程度で、そこから現在に至るまで伸びてきている。売上高は00年頃からほとんど変わっていないのに、営業利益率だけが上がっていく、その要因になっているのが人員削減なのです。どの会社も似たような状況で、人を減らして目先の数字をよく見せることが第一になっているのです』
 そう憤慨する森書記長の批判の矛先は『AI推進』にも向けられる。
 『電機・情報業界ではこれからの事業としてAIが重要だというじょとばかりが叫ばれています。本来、Aiの導入で全体の業務が少なくなるのであれば、社員が余裕を持って働ける方向にすべきなのに、人を減らす話ばかり。AI導入によって社員がリストラされて生活が苦しくなるのであれば本末転倒です。人間が楽に暮らすためのAIによって人が苦しめられてしまっていいのかと思います』
 ……」
   ・   ・   ・