🚷51〉52〉─1─少子化問題で「子どもが幸せそうじゃない」現実を直視せよ。~No.200No.201No.202No.203No.204No.205 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 現代日本の大人達は、「おじさん・おばさんそしてシニア感覚」であるが故に夢と希望を失い絶望している子供が理解できない。
 それは、少子化問題を、議論する国会や報道するメディアを見れば一目瞭然で、発言する大人達には子供を「愛情」を持って見つめた言葉が一つもない。 
   ・   ・   ・   
 2023年3月2日 MicrosoftStartニュース ダイヤモンド・オンライン「「日本の子どもが幸せそうじゃない」問題を直視せよ、自殺・不登校・いじめ過去最多
 © ダイヤモンド・オンライン
 「子どもが幸せじゃない日本」で育つとどんな思考になる?
 岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」の目玉のひとつ、「子ども予算倍増」が炎上している。何の予算を、いつまでに、何に対して「倍」に増やすのかがよくわからないとして野党から批判を浴びているのだ。
 ただ、カネをいくらバラまこうとも少子化には歯止めがかからないだろう。日本人が子どもをつくりたくないと考える根本的な問題にまったく手がつけられていないからだ。
 それは端的に言うと、「日本の子ども、まったく幸せそうじゃない」問題である。
 3月1日、ツイッターで「過去最悪の512人」というワードがトレンド入りした。昨年、自殺した小中高校の児童・生徒が512人で過去最多になったというのだ。こういう話を聞くと脊髄反射で、「それはコロナが」と理屈を並べたくなる人たちもいるが、コロナ禍以前から日本は「子どもが生きる希望を失って自殺をする国」として知られていた。
 ユニセフが20年に発表した「レポートカード16」では、日本の子どもの精神的幸福度は38カ国中ワースト2位だった。また、日本では15~39歳の各年代の死因の第1位が「自殺」である。人身売買や戦争のない先進国では、子どもが亡くなるのは事故や病気が多いが、日本では自ら死を選ぶ子どもが多い。しかし、G7でこういう異常な国は日本だけだ。
 自殺までいかなくとも「心」が殺されている子どもも多い。文部科学省によれば、令和3年度で全国の小中高校などを対象にした「いじめ認知件数」は61万5351件。前年度に比べて9万件以上増えていて、これまた過去最多となっている。また、病気などを除いて30日以上登校しなかった小中学生も21年度に24万人を超えて、こちらも過去最多だ。
 さて、そこでちょっと想像していただきたい。このように子どもがいじめられたり、不登校になったり、自殺をしてしまったり…というようなことが日常的に起きている国で、成長した若い男女が結婚をした時、「子どもが欲しい」という発想になるだろうか。
 なるわけがない。どんなに苦労をして育てても不幸になることが見えている。そんなわかりきった「無理ゲー」に挑みたくないという若者はかなりいるはずだ。
 実際、それがうかがえるような調査もある。
 お金の問題ではない?若い人が子どもはいらないと思う理由
 BIGLOBE(東京都品川区)が18~25歳の未婚男女500人に実施した「子育てに関するZ世代の意識調査」である。
 それによれば、「子どもがほしくない」と回答したのは45.7%と半数近かった。ただ、それよりも注目すべきは、その理由として「お金の問題」と答えた人が17.7%にとどまったことだ。
 つまり、政府が「産めよ増やせよ」と税金をバラまいたところで、少子化対策の効果としては限定的ということだ。
 では、「お金の問題ではない」とする若い人たちは、なぜ子どもが欲しくないのか。
 もっとも多いのは、「育てる自信がないから」(52.3%)である。これは言い換えれば、「子どもをつくっても幸せにする自信がない」ということでもある。先ほども触れたように、日本の子どもはちっとも幸せではないので当然、子どもを産んで育てることは「失敗」が見えている愚かな行為だととらえる人も出てくるのだ。
 次いで多いのは、「子ども好きではない、苦手だから」(45.9%)、「自由がなくなる(自分の時間を制約されたくない)から」(36%)だった。これは完全に子どもを「お荷物」「厄介」扱いしている。このように考える人というのは、自身も親や周囲の大人から「お荷物」「厄介」だと思われていたケースが多いのではないか。「不幸な子ども」が大人になって、自分のような不幸な子どもをこれ以上、世に増やしたくないという思いで、「子ども嫌い」になっている可能性もある。
 日本の少子化の背景に「日本の子どもが幸せではない」ということもかなり大きなウェイトを占めているかもしれないということを、この調査は示してくれている。
 少子高齢化という問題は、かれこれ半世紀以上前からわかっていて警鐘が鳴らされてきた。政府も以前から少子化対策の予算を組んで、「子ども手当」のようなバラまきも行ってきた。しかし、まったく成果が出ていないのは、この問題の元凶が「カネ」だけではないからだ。
 日本特有の“ハラスメント教育”が元凶?
 では、なぜ日本の子どもは幸せそうじゃないのか。いろいろなご意見があるだろうが、個人的には、日本特有の“ハラスメント教育”が元凶だと考えている。
 日本では「子どもを自由にのびのび、個性を尊重して育てる」ということを建前としてはよく言うが、本音ベースでは「そんな風に育てたらロクな大人にならないぞ」と言わんばかりに、自由も個性も否定しがちだ。
 事実、物心ついた頃から家庭や学校で「ルールを守れ」ということを教え込み、「みんなのことを考えろ」と同調圧力を叩き込んでいる。そして、もし自分勝手な行動をしたり、集団の秩序を乱したりすると「痛み」でわからせるという大人もまだ存在している。殴ったり、蹴ったり、グラウンドを走らせたりという「折檻(せっかん)」が「愛のある体罰なのでセーフ」と奨励されてきた過去があるからだ。
 そんな日本のハラスメント教育の象徴が、「制服」だ。
 貧しい家庭でもありがたいとか、もっともらしい理由をつけているが、本質的なところでは、私服よりも没個性の制服の方が、親や教師という大人側が「管理がラク」というだけだ。制服は青春の象徴だ、みたいな話も大人のノスタルジーに過ぎず、「子どものため」を考えたルールではない。
 また、授業以外でも徹底的に「個性」を殺して、集団への貢献を誓わせる。わかりやすいのが、運動会の集団体操や人間ピラミッドだ。あれに感動している保護者は、マスゲームで熱狂している北朝鮮の人民と自分たちが何も変わらないことに気づいていない。
 世界的にも珍しい「ブラック部活」も同じだ。海外では、スポーツなどの課外活動は自分の意志でやりたい子どもだけが参加して、1年の中で活動する期間が決められている。日本のように、朝から晩まで週6日部活で、子どもが疲労でフラフラ…なんてバカな話は少ない。よく言われる「部活で苦しい経験をしたから今がある」という話も、大人たちが自分の受けたハラスメントを正当化しているだけだ。
 しかも、ただスポーツをやるだけではなく、髪型がどうしたとか、声が小さいとか、礼儀作法やら精神論も叩き込まれる。これはあまり言われないが、軍隊的な集団教育だ。
 集団主義教育によって子どもたちが「日本人」になる
 日本の部活が今のように、親や教師という大人が前のめりになって、体罰やシゴギで子どもが死んでいくようになったのは1960年代だ。
 この時期に何があったのかというと、「集団主義教育」の復活だ。
 戦前の子どものように規律正しい行動ができるようにしよう、ということで東大教授の宮坂哲文氏を中心として結成されたのが、「集団主義教育」の普及を目的とした「全国生活指導研究協議会」だ。これがあれよあれよと勢力を伸ばし、1963年には会員が2000人を突破した。
 そしてこの年、GHQが軍隊っぽいとして禁止していた「気をつけ」と「休め」について、文部省によって設けられた集団行動指導の手引き指導委員会が「復活」を検討。その翌年には、「集団行動の統一スタイル」(読売新聞 1964年5月25日)として全国の小学校に普及する。
 この時期から「部活」は「涙と根性」がつきものになって、ひねくれた子どもの性根を叩き直す教育的機能が期待されるようになる。つまり、血反吐を吐かせて、ボコボコに殴っても、勝利の喜びを経験させてやれば、自堕落な子どもたちにも、集団主義が身について立派な日本人になれるというわけだ。
 こういう集団主義教育の極め付けが、「偏差値」だ。世界の大学は、高校の成績や論文などで総合評価式の審査を行っているが、日本はいまだに一斉学力テストなど、偏差値教育に固執している。そのため、子どもは幼い頃から、遊びの時間を削って、偏差値アップのための詰め込み教育を強いられる。成長するにつれ自由と個性をつぶされていくというのは、子どもにとってこれ以上の「ハラスメント」はない。
 日本では「自由に生きてはいけない」
 さて、いろいろ並べたが、気になるのは、こういう日本独特のハラスメント教育を続けると、一体どういう人間に成長をするのかではないか。
 その一端がわかるのが、平成30(2018)年度に実施された「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」だ。これは日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンという7カ国の満13歳から満29歳までの男女を対象に実施したインターネット調査である。
 その中で、「他人に迷惑をかけなければ、何をしようと個人の自由だ」という質問に対して、「そう思う」と回答をしたのは、日本以外の国では7~8割いた。しかし、日本だけは42.2%しかいなかった。つまり、日本の若者は「他人に迷惑がかからなくても自由に生きてはいけない」と考えているのだ。
 なぜ日本の若者だけがこんなにも「自分を殺す」という傾向があるのかというのは、国民性などというふわっとした言葉では片付けられない。やはり幼い頃からのハラスメント教育によって、大人たちから「いいか、子どもだからって調子に乗るなよ。みんなと同じが一番だから、自由勝手に生きようなんて大それたことをするな」と繰り返し叩き込まれているからではないのか。
 いずれにせよ、日本の子どもたちが学校や家庭で、かなり生きづらい環境にいるということは、自殺、いじめ、不登校の多さからも明らかだ。
 父親にボコボコに殴られた子どもを保護した後、「やっぱりパパと一緒が幸せだよね」なんて感じで地獄に送り返して死に至らしめるような児童虐待の事件が多いことからもわかるように、日本では欧米と違って、「子どもの人権」は尊重されていない。日本は「親権」が強いので、まだ未成年者は「親の付属物」のような扱いなのだ。
 まずは諸外国のように、子どもを一人の人間として扱って、子どもの幸せを実現する。そういう当たり前のことができずに、「子どもを増やせ」もへったくれもないではないか。
 (ノンフィクションライター 窪田順生)
   ・   ・   ・