🚷55〉56〉─1─日本は老人が多く若者が少ない「中年独身大国」で「多死社会」である。~No.212No.213No.214No.215No.216No.217 

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 2023年4月25日 YAHOO!JAPANニュース「日本はすでに「中年独身大国」であり、100年前の大正時代より母親の数が減った
 荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
 独身人口5000万人
 メディアは出生数や出生率の話ばかりで「少子化が…」「人口減少が…」と危機感を煽っているが、そんなことは「何十年も前から分かりきっていた当然の話」に過ぎず、今更騒いだところでどうにかなるものではない。
 それよりもすでに、独身者がマジョリティになりつつある事実や、やがて「人口の半分が独身者になる」という決して外れない未来予測については、メディアはあまり報道しない。
 この連載上では何度も同じ話をしていて昔からの読者には「耳にタコ」の話で恐縮だが、2020年国勢調査での日本の15歳以上における独身人口は約4930万人となり、ほぼ5000万人である。これは、日本史上はじまって以来、独身がもっとも増えた最高記録を打ち立てたことになる。そちらついては、過去記事でも詳しく書いている。
 →独身者5000万人。建国以来、史上最大の独身人口となった「ソロの国・ニッポン」
 未婚化が始まったのはいつ?
事実を正確に認識している人はいいのだが、急にこの話を聞いた人は「最近の少子化のせいだ」と思ってしまいがちだが、こんなことは一朝一夕に起きる現象ではない。
 生涯未婚率があがったのは1990年代以降のことで、それは事実だが、だからといって1990年以降に独身者が増え始めたわけではない。
 1990年以降に生涯未婚率が増えたからといって、未婚化原因をすべてバブル崩壊の経済的要因と断じるメディアもあるが、そんな単純な話ではないし、それは因果の時間性を無視した話である。
 そもそも、生涯未婚率とは50歳時の未婚率であって、1990年に50歳だった人の未婚率があがり始めたということは、その対象者が結婚最頻年齢値である20代半ばから後半だった年は、1970年代にあたる。まさに、第二次ベビーブームの真っ最中に、今の未婚化の芽が作られていたのである。
 その後の1980年代は、恋愛至上主義とも言われだが、1985年当時に25歳だった独身男性が2010年に史上はじめて生涯未婚率20%を突破した層(今の丁度還暦世代)である。その後の世代も順調に未婚率を伸ばしている。
 増えているのは中年独身
 「独身人口が増えている」というと勘違いしやすいのだが、若い独身男女の人口が増えているのではない。もはや、若い独身者より中年独身の方が人口で上回っている。独身大国というが、すでに「中年独身大国」となっているわけで、決して「最近の若いのは結婚もしないのか」という話ではないのである。
 かつて若者だった人たちが結婚しなかった(できなかった)がゆえの現状の「中年独身大国」化なのであり、これはやがて、間違いなく「老人独身大国」へと移行する。
 日本の独身人口の長期推移を見ればそれは明らかである。
 20-34歳のいわゆる「若者」の独身人口がもっとも多かったのは、1990~2005年あたりの範囲で、2010年ごろには、若者より中年独身の方が多くなった。すでに、2020年には若者独身人口と、65歳以上の高齢独身人口がほぼ同じになっている。
 2030年頃には、中年独身人口を老人独身人口が追い抜くだろう。これの大部分を占めるのは、かつて既婚者であった夫と死別した高齢女性の人口増加による。
 そして、その間も、若者独身人口はどんどん減り続ける。出生数が減り続けているのだから当然である。今更出生数云々いったところで遅い。人口の構造変化には何十年もかかるのだ。
 グラフでわかる通り、若者の独身人口がマックスだったのは、20年前の2000年頃である。その頃に何があったかといえば、就職氷河期である。結婚どころか仕事を見つけるのも大変だった時期で、そうした雇用環境の影響が大きかった点は否めないが、それだけではない。
 45年前から始まっていた少母化
 「たられば」で2000年当時に何かやっていたら、今の未婚化や少子化は起きなかったか?と言えばそれも違う。この時点でも厚労省の官僚は、現在に至る約25年間の出生数をほとんど誤差なくピタリと予測している。
 →出生数の激減はすでに25年前に誤差なくピッタリ予測されていたという事実
 なぜ1997年の時点で、出生数が減り続ける推計ができたかといえば、もうその頃には「少母化」の傾向が顕著にあらわれていたからだ。
 前掲のグラフに、20-39歳有配偶女性人口の推移を付加してものを見ていただきたい。
 合計特殊出生率は15-49歳の全女性が対象であるが、実際に出産をしているのはその9割が20~39歳の有配偶女性である。その母親となるべき人口が減り始めたのは、1975年以降の第二次ベビーブーム直後からであることがわかる。
 日本でもっとも婚姻が多かった1970年代前半の直後から、若者が結婚しなくなり始めていた。1990年代後半から2000年代前半にかけては、理論上第二次ベビーブームで生まれた子どもたちが結婚・出産をする第三次ベビーブームが起きるはずだった。しかし、それは到来せず、独身人口だけが大きく膨らむ山となった。この山が20年を経て、今「中年独身人口」増となっている。
 改善するには50年以上かかる
 私は常々「少子化ではなく少母化だ」と言っている。一人当たりの母親が産む子どもの数はたいして減ってはいないのに、出生数だけが激減しているのは、そもそも産む母体の数が減っているからである。そして、この「少母化」の潜在的起点は、1975年にある。つまりは、今から45年前から現在の状況が始まっていたのだ。一人以上の子どもを産んだ母親の数でいえば、2020年は100年前の1920年(大正時代)よりも少ない。
 (提供:イメージマート)
 約50年もかけて今の状況が生まれているわけで、これを是正するには少なくとも同じくらいの50年以上を要するだろう。何か予算をつけたくらいで変わるような簡単なものではない。子育て支援を充実させて、今の既婚女性が全員3人産めば少子化は解決できるなどという論法がいかに間違っているかがわかると思う。
 →「2人産んだ母親がもう一人子どもを産めば少子化は解決」などという説の嘘
 同時に、皆婚を実現させていた結婚のお膳立てシステムの崩壊の影響も大きい。1975年以降、20-39歳の有配偶女性人口の減少の推移と、お見合いと職場結婚の減少の推移とは完璧に一致している。
 ちなみに、若者の恋愛率がもっとも高かったのは2000-2005年時期で、若い独身人口がもっとも多かった頃、若者は恋愛を謳歌していた。しかし、もっとも恋愛率が高かった世代が、もっとも未婚率が高い結果になるとはなんという皮肉だろう。
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 ※記事内グラフの商用無断転載は固くお断りします。
 ※記事の引用は歓迎しますが、著者名と出典記載(当記事URLなど)をお願いします。
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 荒川和久
 独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
広告会社において、数多くの企業のマーケティング戦略立案やクリエイティブ実務を担当した後、「ソロ経済・文化研究所」を立ち上げ独立。ソロ社会論および非婚化する独身生活者研究の第一人者としてメディアに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』『結婚滅亡』『ソロエコノミーの襲来』『超ソロ社会』『結婚しない男たち』『「一人で生きる」が当たり前になる社会』などがある。
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 居場所がないと嘆く前に必要なこととは
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 2022年8月5日9:06 YAHOO!JAPANニュース「「高齢者より独身者の方が多く、若い独身より中年以上の独身が多い」~中高年ソロ国家ニッポン
 荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
 ほぼ3割が高齢者の国
 日本は世界一の高齢国家である。
 全人口に占める65歳以上の割合である高齢化率で比較すれば、2位以下の諸国を引き離しての圧倒的な1位であり、ほぼ3割の高齢化率を誇る。
 ※グラフ上はOECDだけを抽出したが、全地域で見ても日本が1位であることは変わらない。
 WHO(世界保健機関)と国連が定めた高齢化の定義によれば、65歳以上人口の割合が7%超で「高齢化社会」、14%超で「高齢社会」、21%超では「超高齢社会」と呼ばれる。日本はもうすでに2008年には「超高齢国家」となっている。
 失われた30年とともに高齢化
 日本は平均寿命も長く、それゆえ勘違いも多いのだが、日本は決して昔から高齢国家だったわけではない。1980年代までは高齢化率は10%以下で、むしろ米国や欧州諸国に比べて高齢者の少ない国だった。
 それが1990年代以降、一気に他の先進諸国をごぼう抜きにして世界のどこよりも早く超高齢国家となってしまった。奇しくも、「失われた30年」と同期して高齢化が進んだわけだ。
 高齢者がいきなり降ってわいてくるわけではないので、これは戦後~第二次ベビーブームにかけて多く生まれた世代が高齢者となって顕在化したものである。同時に、この戦後から1990年代にかけては、医療の発達などによりきわめて低い死亡率で推移したこととも関連する。いわゆる「少死時代」である。
 今後、間もなく年間150万人以上の高齢者が死亡していく期間が50年続く「多死時代」を迎えるが、同時に出生数の少ない少子化も起きているので、しばらくは高齢化率はあがり続けることになる。最大で4割近い高齢化率になることが推計されている。
 (写真:イメージマート)
 高齢者より独身者の方が多い
 高齢者の割合が増えることとは、自動的に現役世代の割合が減ることであり、生産人口比率が少なくなることを意味する。だからこそ、現役世代への負担が大きくなることで社会保障費などの課題が叫ばれているわけである。
 しかし、高齢化というが、2020年時点の国勢調査段階における高齢人口は約3600万人である。配偶関係別人口は15歳以上で見るのだが、高齢人口と独身人口(未婚に加えて離別死別の独身を含む)を比べてみると、実は独身人口の方が多い。
 独身人口は現役(15-64歳)世代で約3556万人、高齢独身で約1374万人で、あわせて約4930万人である。有配偶と独身あわせた高齢人口全体より1300万人以上も多いのである。むしろ日本は「超高齢国家」である以上に「超独身国家」であるといえる。
 ※グラフ上の数値は万人以下四捨五入
 「未婚化が進行して若い独身者が増えているのだからそうなるだろう」と思いがちだが、もうすでに「独身者=若い」という常識は通用しない。
 実は、2020年の国勢調査段階で15-39歳までの独身人口と40歳以上の中高年独身人口とでは、40歳以上の中高年独身人口の方が上回っている。
 つまり、日本はもはや「高齢者よりも独身者の方が多い」上に、「若い独身より中年以上の独身が多い」国なのである。
 これらボリュームの多い40歳以上の中年独身は今後それほど結婚する見込みはないわけで、いずれそのまま高齢独身となる。また、有配偶の高齢者もいつまでも夫婦ともに長生きするわけではないので、やがてどちらかの死別によって婚歴有の独身となる。高齢者が増える速度以上に独身者が増大するかもしれない。
 もはや高齢者は支えられる側ではない
 「2040年に15歳以上の人口の半分が独身になる」と私が言っているのが決して妄想ではなく、確実にやってくるだろう未来であることがおわかりいただけたかと思う。
 家計調査では相変わらず「二人以上の世帯」という家族単位の集計が重視されているが、もはや日本の消費の半分は独身(単身世帯以外の家族同居の独身含む)によって占められているといっても過言ではない。総務省では以前より「家計から個計へ」の統計指標作りを検討しているが、ぜひとも早急に実現していただきたいものである。
 さて、そうした現状を前提とした場合に、「現役世代VS高齢世代」や「家族VS独身」などのように対立構造を煽ってもあまり意味はない。「少子化では増え続ける高齢者を支えきれない」という危機感もわかるが、もはやいつまでも高齢者が支えられる側だと考えること自体に無理がある。もちろん、病気などで働けない人たちに対する支えは必要だが、それは現役世代の中にも存在する。
 世代や配偶関係というものではなく、「働ける大人たちが子どもを含む働けない人を支える」という有業人口依存指数視点で考えれば、一人が自分以外のもう一人を支えればいいという計算になるのである。
 (写真:アフロ)
 言い方を変えれば、結婚しようがしまいが、子がいようがいまいが、働く人は直接間接にかかわらず、税金を納め、消費によって経済を回すことで、必ず誰かを支えていることになる。
 現状と未来の現実を正確に把握し、そうしたバランスを舵取りすることが、本来政治の役割と言えるのではないか。
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 「居場所がない」人たち 超ソロ社会における幸福のコミュニティ論
 著者:荒川和久
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 2022年5月23日9:06 YAHOO!JAPANニュース「独身者5000万人。建国以来、史上最大の独身人口となった「ソロの国・ニッポン」
 荒川和久独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター
 (写真:イメージマート)
 独身、日本史上最高記録だってよ
 「日本は独身の多いソロ社会になる」
 これは、ある意味、私の代名詞的な定番台詞ではあるのだが、それは決して「オオカミが来るぞ」というデマを流しているものではない。事実、そうなるからだ。
 書籍においても、当連載でも、最新の2020年の国勢調査結果に基づく各種データをご紹介しているが、今回は、15歳以上人口の有配偶と独身人口の大正時代からの長期推移をみていただきたい。ちなみに、独身人口とは、未婚だけではなく、離別や死別で独身に戻った人達も含むものである。
 それによれば、2020年不詳補完値による独身人口は約4930万人となった。ほぼ5000万人である。これは、日本史上はじまって以来、独身がもっとも増えた最高記録を打ち立てたことになる。
 独身比率は44%を超えた。
 有配偶人口が2000年をピークに減少しているのとは対照的に、独身人口は1980年代から急速に増加している。未婚人口の増加だけではなく、長寿化による高齢独身の増加もあるからだ。
 「日本はソロ社会になる」が決してデマでも大袈裟でもないことがおわかりいただけるだろう。
 2035年に、独身と有配偶が並ぶ
 ところで、グラフには「不詳除く」と「不詳補完値」のふたつがある。
 なぜ、国勢調査にふたつの指標があるのか?については、以前こちらの記事(【国勢調査】不詳補完値の正式採用により、2020年の生涯未婚率は男28.3%、女17.8%へ)に記した通りなので、ご参照いただきたい。
 その大きな要因は、配偶関係や年齢が不詳である数が年々増加して、誤差の範囲を超える規模になってしまったからである。国立社会保障・人口問題研究所はこの「不詳補完値」を採用した。
 このように、不詳を除く場合と除かない場合とでこれだけ大きな乖離が出てしまうのであれば、今後は「不詳補完値」で見ていくのは妥当な判断だといえる。
 今後、この「不詳補完値」の推移の傾向のままいけばどうなるか、というものを私独自に予測推計してみた。それが以下のグラフである。
 これによれば、15年後の2035年には、有配偶人口と独身人口は約5300万人あたりで同数に並ぶことになる。
 実は、社人研が2018年推計したものによれば、2040年でも有配偶人口5200万人に対して、独身人口は4600万人と、有配偶の方が若干多いものとなっていたが、不詳補完値ベースでいけば、それより先に「独身の方が多い国・ニッポン」が完成してしまうかもしれない。
 (写真:アフロ)
 有配偶人口が減るのは致し方ない。そもそも日本の総人口自体がすでに減少しはじめているのであって、その大きな要因が有配偶人口の多死化にあるからだ。
 長寿国家日本では、昭和~平成にかけて、世界でも稀に見る死亡率の低い「少死国家」であった。とはいえ、不老不死ではないわけで、いつかは天寿を全うする。
 今後は、長生きしてきた高齢者たちが毎年150万人以上50年連続で死んでいく多死時代に突入する。日本の出生は年間約80万人程度だとするなら、生まれてくる数の倍以上死亡者がいることになる。人口が減るのは当然なのだ。
 日本の人口減少は、少子化というよりこの多死化によって加速するのである。
 →日本の人口は6000万人へ。まもなくやってくる「多死時代」の幕開け
 個客の時代へ
 いずれにせよ、2020年から2040年にかけての20年間は、日本建国以来のソロ国家となることは必定であり、独身生活者が多い社会においては、社会構造とりわけ消費構造が劇的に変化することは間違いない。
 もちろん、独身者といっても若者と高齢者とでは違う、大都市在住者と地方生活者でも違う。一人暮らし子と独身であっても他の親族と一緒に暮らす大家族生活者とでも違う。しかし、家族が多かった昭和とソロ生活者が増えた令和とでは、その消費構造が一緒であるはずがない。
 顧客は「個客」に変わるのである。そこを見誤らない方がよいと思う。コンビニもファミレスも旅行業界も気付いたところからすでにその需要を喚起しているのは間違いない。
 かつて、消費の主役は家族であり、その財布は主婦に握られていた。それは、明治民法以来たかだか100年しか続いていない皆婚社会だからこそ起きた現象に過ぎない。大量生産・大量消費というマス型消費形態もまた、ほぼ全員が結婚して子をなし、家を持って暮らすという統一的な「人生すごろく」がお膳立てされていたからにすぎない。
 (提供:イメージマート)
 不可避な現実を見ないようにしてどうする?
 生涯未婚は男3割、女2割に達しようとしている。いずれそれを超えるだろう。
 誰もが結婚するわけではないし、誰もが子を持つわけではない。一方で、結婚して家族を形成する人達がいなくなってしまうわけでもない。
 事実、現在でも結婚した夫婦は2人以上の子どもを産んでいる。一人の母親が産む子どもの数の比率は1980年代と変わっていないのだ。出生数が減るのは、子を産む対象である49歳以下の人口が減っているからで、少子化は「来なかった第三次ベビーブーム」の時点で確定済みという話は以前にした通りである。
 →出生数が増えない問題は「少子化」ではなく「少母化」問題であり、解決不可能なワケ
 何度も言うが、少子化も人口減少も不可避な現実である。
 よく「推計はあくまで推計だろう。どうにもならないと諦めるのは間違っている。後ろ向きなことばかり言うな」と批判をされる方がいる。
 諦めではないし、間違ってもいない。
 人口動態の推計はほぼ間違わずその通りに推移する。むしろ明らかな現実がそこに迫っているのに、それを見ないことにする姿勢の方が問われるべきだろう。
 もちろん、時期を遅らせるための方策やソフトランディングするために考えることは重要である。しかし、それと目をつぶってしまうこととは別である。
 オオカミはすぐ足元にいるのだ。
 (写真:アフロ)
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