🌁27〉─7・D─派遣法改正が内需の牽引であった分厚い中間層を消し去り一億総中流社会を崩壊させた。~No.116 

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 2023年9月8日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス NHKスペシャル取材班「「派遣法改正は失敗だった」と大臣もつぶやいた…非正規雇用を拡大した“張本人”たちの「本心」
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 かつて「一億総中流社会」といわれた日本の「中流」が危機にある。中間層の賃金が減少し、当たり前の生活ができる「中流」は壊滅寸前。その結果、日本全体が貧しくなった。
 この大きな原因が、1990年代半ばから始まった非正規雇用の拡大だ。規制緩和の流れの中、労働者派遣法が改正され、一部の業種のみに許されていた派遣労働は「原則自由」となっていく。
 派遣法改正の当事者たちはその後の悲惨を見通せなかったのか。
 「当時の労働省幹部が初めて語る「派遣法改正全内幕」」に続き、派遣法改正当時の関係者たちの証言を明らかにする。
 【本記事は、NHKスペシャル取材班『中流危機』(8月23日発売)から抜粋・編集したものです。】
 「派遣法の生みの親」たちの懸念
 労働者派遣法の改正が、雇用の劣化を生み、「低賃金」につながってしまうという懸念は、「派遣法の生みの親」とも言われる経済学者も早々に指摘していた。
 その人物とは、労働省の中央職業安定審議会会長や日本労働研究機構(現労働政策研究・研修機構)会長などを歴任し、戦後の労働法政策の立案に深く関わった信州大学名誉教授の高梨昌さん(2011年死去)だ。
 今回、私たちは、2000年代に高梨さんが労働者派遣法の改正について語った講演録を入手。当時、高梨さんが懸念していたのは、労働者派遣法の立法時の理念が、法改正によって真逆にねじ曲げられることだった。
 「(1986年に施行した)派遣法の当初は、派遣で働くというのは、女性の方々にも格好よく映ったのです。しかもかなり高賃金でした。派遣業務を専門職に限定すれば、それなりの市場の秩序で、賃金相場もできていくだろうという期待を込めたのです」
 立法のねらいは、対象業務を「専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」などに限定し、賃金相場を高めることだったと振り返っている高梨さん。安易に対象業種を広げることは「雇用の劣化」を招きかねないことも指摘していた。
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 「私は、絶えずポジティブリスト(特定の業種だけを許す)を維持しないと、派遣というのは低賃金の市場になりかねないということを大変心配してきました。1999年改正のときに、理念をゆがめてしまった。派遣法の立法の原点を忘れたのです。ポイントはそこだと思っています」
 対象業務をポジティブリストからネガティブリスト(特定の業種だけを規制する)に転換するという1999年の派遣法改正。つまりそれは、立法時の法理念を180度変えることを意味していた。
 派遣を発注するのは「購買部」
 「規制緩和の流れの中で行われたということだと思うんですね。その結論の見通しが甘かったことは間違いない」
 それまで労働者を「ヒト」として扱っていた経営が、労働者を「モノ」として扱うことになる可能性がある。法改正は、労働政策の根源的な変更であることも高梨さんは指摘していた。
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 「私が前から注意していたのは、派遣(会社)に(発注を)出すのは人事労務ではないことです。現場の資材とか部品を買いつけるところの購買部なんです。つまり人を雇うのではなくて、まさに物の売買と同じ扱いになっているということなのですね。(経済学・経済政策は)どういう人間像を描くかということなんですね。その人間像の描き方がポイントで、そこのところが労働政策の中で一番ビビッドに出てくる領域だと思っています。こういうことを踏まえない経済政策は、結局、人間の姿がなくなってしまう」
 「派遣切り」なんて予想しなかった
 実際、法改正から10年も経たぬうちに、リーマンショックによる「派遣切り」が社会問題となり、派遣労働者が「雇用の調整弁」として扱われていたことが表面化した。
 厚生労働省で1990年代から2000年代に雇用政策の立案を担当、事務次官を2年間務めた戸刈利和さん(74歳)は、当時労働省の幹部として法改正にあたった。リーマンショックの「派遣切り」の実態を振り返るとき、戸刈さんの言葉は少なくなった。
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 「ダメージを食らっても派遣の人は他の産業に移れるので、雇用確保ができると本気で思っていたが、リーマンショックのように幅広い多くの業種(の業績)が悪くなるなんて今までも経験したことなかったし、そんなことにはならないだろうと思っていた……。私も経験不足、知見不足だったし、当時の大臣も『派遣法改正は失敗だった』とつぶやいていたよ」
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 「正社員になれない」「自家用車を持てない」「持ち家に住めない」……「中流」の生活はもはや「高嶺の花」になった日本。なぜ日本の中流階層は急激に貧しくなってしまったのか? 国、企業、労働者は何ができるのか? NHKスペシャル取材班『中流危機』(8月23日発売)は、全国の中間層の現実を徹底取材し、その処方箋を探ります。
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