🌁27〉─3─中高年の派遣社員・契約社員・不正規社員の雇い止め。~No.108No.109No.110 @ 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2016年2月15日号 AERA「中高年派遣34万人の悲鳴
 法改正を逆手にとった『派遣切り』も
 リストラなどで増え続ける中高年の派遣社員。その数は34万人と、派遣全体の約3割に達した。
 人格まで否定されるブラックな現場では、法改正を理由にした雇い止めの動きも出始めている。
 存在感を増す派遣会社
 規制緩和の後押しで5兆円産業に
 中高年派遣社員の増加にともない、膨張する人材派遣業界。
 マージン率は3割を超え、もうかるビジネスだという。
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 パワハラを告発したら
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 労働者派遣法(派遣法)が施行されたのは、今からちょうど30年前の1996年、当時は、『専門知識を生かして自由な働き方ができる』として働く側から歓迎された派遣社員だが、企業側からは契約期間終了で『雇い止め』にできることから、人手不足のときだけ一時的に雇える『雇用の調整弁』として扱われるようになった。その間、勤め先の倒産やリストラなどで正社員の地位を追われたり、親の介護のため仕事を止めたりする中高年の失業者が増加。そうした人たちが働き先を求め、派遣市場に流れ込む。
 総務省労働力調査によれば、中高年(45〜64歳)の派遣社員の数は2014年平均で34万人と、04年の2.4倍に膨らんだ。約119万人いる派遣社員の3割近くを占めるに到っている。
 だがその現実は厳しい。40歳を過ぎると仕事は極端に減り、職種はキャリアを問わない単純労働ばかりになる。提示される時給も、低くなる一方。現場では、派遣社員の経験やスキルばかりか、人格すら軽視した実態が広がっている。
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 苦情の半数は人間関係
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 厚生労働省が4年に1度実施している『派遣労働者実態調査』(12年)によれば、派遣社員の苦情の内容(複数回答)は、『人間関係・いじめ』が51.7%、『セクハラ』も2.6%ある。派遣労働の現場で、『精神的に追いつめられる』『ストレスを感じる』『尊厳を傷つけられる』と嘆く中高年は少なくない。
 『正社員は、僕たちが派遣というだけで頭からなめてかかり、バカにしている』
 そう話すのは、神奈川県内の男性派遣社員Cさん(54)だ。
 若い社員からモノ扱い
 大学を卒業後、正社員として学習塾などで働いた。だが、35歳の時に勤めていた会社が事実上倒産。正社員の仕事を探したが見つからず、アルバイトでつないでいる。40歳で結婚して子どもが生まれ、少しでも収入がいい仕事に就こうと思い、3年前に派遣会社に登録した。以来、倉庫内での作業、引っ越し、事務所移転の現場などで働いている。
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 派遣法は施行以来、規制緩和の流れの中で幾度となく法改正されてきた。派遣業務の原則自由化(99年)、製造業への派遣解禁(04年)・・・。その都度、政府は『多様な働き方に対応できる』とうたったが、実態は企業の思いのままに低コストの労働力を調達できる歪んだ労働市場を生んだのではなかったか。昨年9月には、中高年の派遣労働者をさらに追いつめる改正派遣法が成立、施行された。
 今回の法改正最大のポイントは、業務内容を問わずすべての派遣社員が同じ職場で働ける期間の上限が『最長3年』になったことだ。それまで秘書、通訳、財務処理などは『専門26業務』と呼ばれ、派遣社員として同じ職場で期限なく働くことができたが、それ以外の業務と同様、最長3年になった。同じ派遣先でも違う部署に移らなければ、4年目以降は就労することができない。
 3年後の雇い止め通告
 これにより派遣社員は、正社員への道が狭まっただけでなく、失業して無職になってしまうリスクが高まった。求人の少ない中高年の派遣社員にとっては『死刑宣告』にも等しい。法改正を奇貨とした『派遣切り』の動きも出始めている。
 『私がホームレスになろうが、行き倒れになろうが、餓死しようが、会社はそんなことおかまいなしってことですよね』
 都内に住む女性Dさん(56)は怒りをあらわにする。16年間働いてきた派遣先から、3年後の雇い止めを通告されたのだ。
 26歳で離婚し、シングルマザーとして2人の子どもを育ててきた。00年に派遣会社に登録すると、都内の大手コンサルティング会社に派遣された。業務内容は、専門26業務の一つ『事務用機器操作』だった。
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 資格が10件あっても・・・
 Dさんは證券2種外務員、ビジネス能力検定2級、秘書技能検定2級など10件の資格を持っている。だが、いくら資格を持っていようが、還暦間近になったDさんに今と同じような派遣先があるとは考えにくい。
 ……Dさんはこう話した。
 『仕事を奪われるということは、収入が途絶えて生活の基盤を失うということです。法律が改正されたからといって、今まで頑張ってきた人間を切るのは、非人間的な行いだと思います』
 中高年派遣社員は今後も増えるだろう。これは、明日の正社員の問題でもある。
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 市場の論理現状追認
 90年代に入ると『軽作業』という名の肉体労働派遣が拡大し、それを得意とする派遣会社が急成長すると、99年の派遣法改正で軽作業派遣を合法化。偽装請負まま拡大していた製造業派遣も、04年の法改正で解禁した。『市場の論理』に名を借りた現状追認の繰り返し。いつの間にか、派遣という便利な雇用調整弁の開閉に慣れ切った多くの企業が、自社での人材登用・雇用調整能力を失った。
 民主党政権時代の12年、違法状態の派遣が発覚した場合に正規雇用を認めさせる法案が可決したものの、施行前の昨年9月、第二次安倍内閣のもとで成立した改正派遣法では、原則最長3年だった派遣社員の受け入れ期間を、人を入れ替えれば期限なく延長できるようになった。
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 厚労省の調査でも、09年度に7万1,560だった派遣事務所数は13年度には7万4,622へと拡大している。理由は簡単。元手がかからず、もうかるからで。最新の厚労省調査では、派遣労働の料金から派遣会社が上がりとして取っているマージン率は、許可制の一般労働者派遣事業で31.3%、届け出制の特定労働者派遣事業で34.6%に達する。このマージンに上限は設定されていない。
 半分超ピンハネの例も
 東日本大震災後、土木現場や除染作業に労働者を派遣してきた男性(50)はこう言う。
 『下請け・孫請け構造の中で私ら業者が中間に何枚も入ってピンハネしていくわけだから、最終的に派遣作業員の取り分は半分に満たない場合も出てくる。そもそも元請けがいくらの単価で派遣労働を受けているかすら、末端の作業員は知る由もないし、飯場の宿泊代や飯代も天引きされる。こちらは名簿さえそろえて現場に放り込めばいいわけです。現場ではトラブルも多いが、もうかる仕事です』
 この30年余にわたる労働政策で、派遣労働は雇用調整弁の機能に特化したすぐれた『商品』に育った。派遣先企業に労働を提供し、派遣会社に富を運ぶ商品に、もはや『人格』は求められない」
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 2月15日号 AERA「仕事で私が壊れる 人生
 景気回復も労働者に還元なし
 特に報われない氷河期世代 
 『全人格労働』がはびこる背景は何なのか。厚生労働省によると、2014年度、仕事による強いストレスでうつ病などを発症し労災請求した人は1,456人、支給認定された人は497人、うち未遂を含め自殺者は99人で、いずれも過去最多だった。
 不況でリストラが進んだのは2000年代。現在は、景気が回復していると言われるが、それでも労働者は苦しい。
 東京大学社会科学研究所教授の玄田有史さん(労働経済学)が気になっているというのが、30代後半から40代前半。いわゆる『氷河期世代』だ。
 厚労省の『賃金構造基本統計調査(賃金センサス)』をもとに、大学または大学院を卒業した一般労働者の賃金の変化をみてみると、14年の40〜44歳の毎月の賃金は5年前と比べて、約3万1,000円下落していた。これは60歳以上をのぞくと最大の下げ幅だった。玄田さんは言う。
 『景気が良くなっているはずのこの5年で、こんなにも賃金が下がっている。この世代は就職のときだけでなく、入社後も複合的に苦しい思いをしています』
 就職氷河期の中、やっとの思いで正社員になったら、中高年のリストラの影響を受けて従業員が減らされ激務をこなす。景気が回復し業務量が増えた今も夜中まで働かされる。それはデータにも表れていて、総務省労働力調査(13年)をみると、週60時間以上働く人の割合は全体8.8%だが、30代男性は17.6%、40代男性は17.4%とおぼ2倍だ。頑張った分が報われていればいいが、賃金の面でも恵まれていない。
 『この世代は企業内訓練による能力開発の機会が奪われ、結果的に低賃金に甘んじざるを得ない』(玄田さん)
 氷河期世代に限らず全労働者にも苦しさは広がる。企業の業績が上がっても、成果主義の導入や業務の効率化が進み、パソコンやスマートフォンなどITによって職場以外でも24時間仕事に縛る付けられる。その結果、全人格を捧げるような不当な働き方がはびこっているのだ。『希望学』という研究も行う玄田さんは言う。
 『希望に一番大事なのは「遊び」です。遊びや無駄がないと希望には出合えない。本当は仕事にも遊びは必要なんです』
 成果主義の下で、給与も成果に応じて支払われる『職務給』を採り入れるところが出てきた。給料が下がると自分を全否定されたような気になってしまう。
 『だからこそ、常に心の窓を複数に向けて開けておくことが大事。仕事以外の自分にもアイデンティティーのよりどころを作っておかないと、行き場がなくなってしまいます』」
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 ハイクオリティーな特殊技能を持たない中高年は、確実に、老後破綻、下流老人、老後地獄の予備群である。
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 若者も、正社員として安心してると明日は我が身となる。
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 現代の日本は、社員・従業員を家族の一員のように面倒を見ていた昔の日本ではない。
 会社・企業が、不要な人間、邪魔な人間、役に立たない人間、無用な人間と判断すれば、法律に違反しない手段で解雇する。
 グローバル化によって、社会は情より利が優先され、会社・企業内において武士道に基づいた忠臣蔵的主従関係は消滅した。
 社員・従業員は、命じられた売り上げやノルマを達成しなければダメ人間の烙印を押され、心身ともに酷使して売り上げやノルマを達成して体を壊して病気になれば用済み人間として切り捨てられる。
 現代日本は、そうした社会となり、ますます酷くなっている。
 日本人がそうした扱いをされているのに、外国人移民はさらに酷い扱いをされる事になる。
 国際競争力を付けて売り上げを伸ばそうとする会社・企業は、安い賃金で働く労働者を求めている。
 国際競争力を失い、業績を悪化させ、利益を上げられない会社や企業は倒産するしかない。
 国際的弱肉強食市場至上主義において、人は金を稼ぐ単なる物でしかなく、金を稼がない気は用済みとされた。
 経営者は、会社・企業を倒産させない為に社員・従業員を容赦なく解雇する。
 少数の社員・従業員を大事にして会社・企業を倒産させれば、さらに多くの社員・従業員を失業させその家族を生活を破壊する事になる。
 それが、経済に於けるグローバル化である。
 人口減少によって労働人口不足以上に消費人口が激減すれば、需要と供給の崩壊で、更なる悲惨な状況となる。
 問題は、大量生産する労働者ではなく、大量消費する消費者である。
 労働者不足対策としての外国人移民は、無意味である以上に、利点は少ないどころか害の方が多い。
 外国人移民は、日本人と同じ消費生活を送らない。
 消費を増やすには、将来・老後を、悲観と絶望して自棄になって老後資金を一時の快楽の為に使い果たすか、楽観と希望を持って安心して金を使って楽しい生活を送るか。
 残念ながら、日本の将来には明るい材料は極端に少ない。
 その暗い将来を生きるのは、今の老人ではなく中高年であり、青少年である。
 日本企業から、社員・従業員を大事にする家族的企業は減り、社員・従業員を使い捨てにするブラック企業が増える。
 今や、派遣社員契約社員非正規社員だけではなく正規社員でも安穏とは出来ない。
 日本は、極端な建前と本音社会となり、実行されない「心」のこもらない美辞麗句の掛け声だけが空しく響き渡っている。
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 日本人が悲惨な状況にある時、外国人移民はそれ以上の最悪な状況に追い込まれる。
 その時、日本は、日本人労働者か外国人移民かどちらを優先的に救済するのか、何れか一方の選択を迫られる。
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 労働のグローバル化によって、人は、得がたい貴重な人材ではなく取り換え自由な労働するモノとなった。
 人材は数%で、90%以上は単ある労働するモノに過ぎない。




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漂流老人ホームレス社会

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