🌁29〉─3・B─なぜ日本は「働かないおじさん」が大量発生するのか。~No.122 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2023年10月15日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「なぜ日本で「働かないおじさん」が大量発生するのか…ごく「シンプルな理由」
 年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70歳男性の就業率は45%、80代就業者の約9割が自宅近くで働く――。
 【写真】年収200万円、持ち家が大正解…意外と知らない「定年後の真実」
 10万部突破のベストセラー『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』では、多数の統計データや事例から知られざる「定年後の実態」を明らかにしている。
 60代管理職はほとんど存在しない
 定年後の問題は、定年前から始まっている。
 たとえば、管理職に就く人の実態を見てみると……。
 〈部長職については、30代後半から少しずつ在籍者が増え始め、若い人では40代前半から後半にかけてその職に就く。そして、部長職の構成比率は、50代前半で26.6%、50代後半で26.9%と50代でピークを打った後は急速に減少し、60代前半には8.8%、60代後半には2.7%までその数を減らす。
 特に、大企業においては、部長職にまで上り詰めることができる人はごく一部である。そのごく一部の人も年齢を重ねるなかでいずれその役職を降りることを余儀なくされる。
 課長職ではさらに状況は厳しい。課長職の年齢構成をみると、60代前半でその職に就く人の比率は2.9%、60代後半は0.5%となる。50代後半以降、多くの人は役職定年や定年を経験して役職をはく奪される。60歳を過ぎて、部下を多数有する常勤の役職者で居続けることは、多くの日本企業では不可能になっている。〉(『ほんとうの定年後』より)
 データからは「60代管理職はほとんど存在しない」ことがわかる。
 中高年のモチベーションの低下
 なぜ日本企業では年齢によって役職を引き下げるのか。
 〈多くの企業で中高年が急速に増えていくなかで、現場で顧客の最前線に立って成果を生み出すプレイヤーが不足し、管理だけを行う人材へのニーズが低下している。そのギャップが多くの企業で顕在化しているのである。
 年齢構成のひずみの拡大に応じて、企業としても役職適齢期を迎えている中堅層を十分に処遇しきれなくなっている。これまで企業のために尽くしてくれた従業員に対して職位で報いることができないということになれば、中堅層のモチベーション維持に困難が生じる。
 定年前の中高年のモチベーションの低下が問題視されて久しい。しかしその一方で、近年では一社員として現場で利益を上げ続けられる社員であれば年齢にかかわらず確保したいというニーズも、企業内において急速に高まっている。〉(『ほんとうの定年後』より)
 「働かないおじさん」問題などが話題になることがあるが、中高年の仕事観に何が起きているのだろうか。
 〈落ち込みの谷が最も深いのが50代前半である。この年齢になるとこれまで価値の源泉であった「高い収入や栄誉」の因子得点もマイナスとなり、自分がなぜいまの仕事をしているのか、その価値を見失ってしまう。
 定年が迫り、役職定年を迎える頃、これからの職業人生において何を目標にしていけばいいのか迷う経験をする人は少なくない。〉(『ほんとうの定年後』より)
 データから明らかになるのは、50代が大きな転機になるということだ。
 定年後をどうするかは、50代をどう生きるか、という問題でもあるのかもしれない。
 現代新書編集部
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 2022年8月12日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「定年後の“年収激減”…「年収100万円台が一般的」の70代をどう生きるか
 収入低下の波は2度やってくる!
 坂本 貴志リクルートワークス研究所研究員・アナリスト
 多くの人は定年後をどのように生きているのか?
 話題書『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』では、リクルートワークス研究所研究員・アナリストの坂本貴志氏が、豊富なデータと事例から「幸せな定年後の生活」の姿を明らかにしている。
 『ほんとうの定年後』では、定年後の仕事に関する実態を「15の事実」としてまとめている。そこで、今回は「事実1 年収は300万円以下が大半」の内容を紹介しよう。
 安定した老後を送るためには、経済的な裏付けが欠かせない。果たして現代の定年後の就業者はどのくらいの収入を得ているのか。また、将来において、定年後に高所得を得ることは可能になるのか。
 収入の分布データを分析して見えてきた、これらの問いへの答えとは——?
 もっと読む:年収は200万円台、持ち家が正解、月10万円稼げばOK…意外と知らない「定年後の真実」
 意外と知らない「定年後の年収」
 まず、定年後の年収はいくらなのだろうか。
 国税庁民間給与実態統計調査」によれば、2019年の給与所得者の平均年収は436.4万円となっている。この調査には、国内で働くすべての給与所得者が含まれており、フルタイムで正社員として働く人はもちろんパート労働者なども含まれた数値となっている。
 給与所得者の平均年収は、20~24歳の263.9万円から年齢を重ねるごとに右肩上がりで上昇し、ピークを迎えるのが55~59歳の518.4万円となる。そして、多くの人が定年を迎える60歳以降、給与は大きく減少する。平均年間給与所得は、60~64歳には410.7万円、65~69歳では323.8万円、70歳以降は282.3万円まで下がる。
 図表1-1では、現在の年齢区分で比較可能である最も古い年次である2007年における平均年収も記している。
 定年後の就業者について、2007年当時の給与水準と比較すると、はっきりと上昇している年齢区分は存在しない。
 高齢者人口の増加や労働参加の促進によって高年齢者の就業者数は増えていることから、厳密にいえば高い収入を稼ぐ人の絶対数も徐々に増えているとは考えられるが、まだまだ定年後の就業者の平均的な収入水準は低いといえそうである。
 より細かく年収分布を見ると……
 前出の調査が集計しているのは、民間給与所得者でかつ一年間を通して就業している人の給与額の平均値である。
 現役世代の収入については給与所得者のデータで概ねその全体像がわかるが、高齢就業者は自営業者であることも多く、サラリーマンとして給与を得る人はそこまで多くない。
定年前後以降の年収分布をより仔細にみるために、また自営業者を含む就業者全体の給与を調べるために分析を行ったものが下図となる(図表1-2)。
 ここからも、定年以降は年齢階層が上がるにつれて所得が徐々に低下していく様子が確認される。
 60歳以降の就業者全体の年収分布をみていくと、60代前半では平均収入は357万円で、上位25%所得は450万円、収入の中央値は280万円となる。
 60代後半に目を移すと平均額は256万円まで下がり、上位25%所得は300万円、中央値が180万円まで下がる。
 定年後の就業者の収入の実態を探っていくと、300万円以下の収入の人が大半であることがわかる。
 また、収入の平均値やその分布は、就業者を分母として算出される。このため、当然であるが非就業者は算定の対象外になる。
 定年後は非就業となる人、つまり収入がゼロになる人が多くいるため、高年齢者全体である程度の収入を得る人は非常に少ないというのが実情ということになる。
定年前に下がり、定年後にもう一段低下する
先の図表では、定年前の収入額の変遷を分析するために、40代後半から50代まで3歳おきの収入分布を掲載している。
 このデータから、収入のピークは定年直前の50代後半ではなく、50代中盤にあることがわかる。
 収入低下の第一のタイミングは50代後半に訪れる。これは、定年を前にした役職の引き下げによるものだと考えられる。一定数の企業は役職定年制度を定めており、それと同時に給与も下げる傾向がある。
 役職定年制度の実態は、人事院が公務員の給与を算定する際に活用している調査である「民間企業の勤務条件制度等調査」からつかむことができる。
 2017年時点において、企業全体の16.4%、従業員規模500人以上に絞れば30.7%の企業が役職定年制度を導入している。
 役職定年制度を正式に採用している企業は多くはなく、潮流としては一律に年齢で役職の上限を設けるという企業は減る傾向にある。
 しかし、役職定年制度がない企業でも異動によって実質的な役職を下げて賃金を抑制するなど、運用によって賃金を引き下げているケースもある。
 50代後半になると早期退職で収入水準を下げる人もいるなど、個人の年収のピークは50代半ばにあることが多いと考えられる。
 そして、第二の給与削減の波は、定年直後に訪れる。これは想像の通り、定年を迎えた段階で会社を退職したり、同じ会社で再雇用に移行したりすることで給与が減少するからである。
 60歳から64歳の平均給与所得は55歳から59歳の8割程度である。
 これは、女性配偶者などもともとパートで働いている人なども含まれた数値となるため、50代で正社員で高収入を得ていた人などは低下幅はより大きくなると予想される。
 正社員で勤め続けていた人に限定すれば、同じ勤務体系でも定年直後は定年前と比較して3割程度給与が下がるというのが実情のようである。
 歳を重ねるごとに収入は着実に減少する
 定年後、多くの人が年齢を重ねるにつれて徐々に稼得水準を下げていることにも着目したい。
 つまり、定年後の所得状況をみると、年収水準は定年前後に不連続かつ一時的に減少するというよりも、むしろ定年前後以降に緩やかにかつ断続的に減少していくというのが実態に近い。
 これはなぜかというと、歳を取るごとに自身に様々な変化が起こり、より無理のない範囲で働くよう就業調整をしているからだと推察される。
 仮に50代でセカンドキャリアに向けて起業をしたとして、優秀な方であれば気力あふれる当初においては事業を順調に営むことができる。
しかし、65歳、70歳、75歳と歳を重ねれば、自身の健康面や仕事に向かう気力や体力などに変化が訪れる。やっと事業に目途がたったと同時に、その事業の縮小を余儀なくされることも珍しくない。
 あるいは、定年後に嘱託やパート・アルバイトといった形で非正規雇用で就業を続けている人であっても、歳を取るごとに収入をある程度犠牲にしてでも就業時間を制限し、より無理のない仕事に調整することがある。
 定年後のキャリアに向けて、仕事で挑戦を続ける姿勢を否定しているのではない。
 むしろ、多くの人が高齢になってもスキルアップを続けて社会に貢献することは、社会的に好ましい。
 実際に70歳時点で700万円以上の年収を稼ぐ人は就業者のなかで5.2%と一定数存在している。世の中にあふれている成功体験をみるまでもなく、年齢にかかわらず挑戦を続け、大きな成功を手にする人が存在することは疑いのない事実である。
 しかし、現実の収入分布をみると、そういった働き方を続ける人は少数派だとわかる。
 今後ますます人々の就業期間の延長は進むであろうが、過去からの推移をみても、定年後に高い給与を得る人が急速に増加していくことはこれからも考えにくい。
 定年後高収入を実現している人は現実的な人数としてはそう多くないのである。
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