🌄2〉─2─古き良き街並みを破壊して恥じない日本人。消えゆく京都の町屋。~No.5No.6No.7 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本人は口先だけである。
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 井上章一「日本人は、強い自己主張を嫌う。まわりとの調和を大事にする民族だと、よく言われる。和をもっとも尊(たっと)しとする。そんな国民性論を耳にする事も。ままある。
 しかし、街並みと建設に関しては、この一般通念がまったくあてはまらない。市中のビルは、街全体の統一感に気遣う事なく、てんでんバラバラの色や形で、立っている。隣接する建築群の顔色をうかがって、自分のデザインを整えたりも、まずしない。建築の表現については、地権者や建築家の自由が、ほぼ完全に守られている。
 比べれば、ヨーロッパ諸都市の方が、ずっと不自由である。あちらのビルは、都市景観の中に表現を埋没させるよう要請される度合いが強い。際立つ自己表現は、おおむね禁じられている。
 日本の社会科学は、これまでずっと言い続けてきた。西洋は近代的な自我を開花させたが、日本は集団主義に流されやすい、と。街並みをめぐっては、まつたく正反対の命題が成り立つにもかかわず。社会科学は都市景観から目を背けてきたのだと、そう言わざるをえない」
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 日本は、アメリカナイズした日常生活から消えつつある日本文化や伝統的風習を、クール・ジャパンとして発信しようとしている。
 日本人は、欧米風の生活に憧れ、西洋風の町並みを造りながら、捨てている日本文化や日本的町並みを宣伝しようとしている。
 日本を訪れている欧米の観光客は年間約200万人であるが、タイは630万人であった。
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 欧州キリスト教文化圏内における欧州各国の白人観光客と、東アジア異文化圏内のアジア各国の異民族観光客とは異なる。
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 2017年12月5日 産経WEST「【関西の議論】1日に2軒消える京都の町家、市の“奥の手”保全条例の効果は
 設計事務所として使用されている築100年超の京町家。木の軸組みとダイナミックな吹き抜けが開放的だ=京都市上京区
 京都市中心部に数多く残る「町家」。京都ならではの歴史や文化を反映した建築物で、いわば「京都の代名詞」のような存在だ。だが、こうした京町家が姿を消す動きが加速している。インバウンド(訪日外国人)の増加などにより、ホテルの建設用地として売却されるケースが増えているためだ。こうした流れに歯止めをかけようと、京都市は今秋、保全条例を制定。取り壊し時の届け出を努力義務にするなど町家の所有者の責任を明確にし、解体から活用への支援に乗り出した。しかし、所有者たちからは「財政支援の額が少なく、とても維持できない」などの声も上がり、1日2軒の割合で消えている。保全に妙手はないのか−。(田中幸美)
 改修し設計事務所
 550年前の応仁の乱で、西軍率いる山名宗全が戦陣を置いたことに由来する京都市北西部一帯の「西陣」。現在は織物の町として知られる。
 設計事務所「もえぎ設計」顧問、久永雅敏さん(69)は5年前、西陣地域の中でも帯生産の中心地となった笹屋通にたたずむ町家に出合った。軒の低い2階、虫籠窓(むしこまど)や糸屋格子と呼ばれる出格子などのある表構えから100年以上経過していると思われる建物だ。力強い木の軸組みとダイナミックな吹き抜け、明るい庭などに魅力を感じたという。
 「ここで仕事ができたらどんなに気持ちがいいだろう」。まるまる一棟を借りて、改修を施し設計事務所として使い始めた。吹き抜けの両端には耐力壁を増設して支え、2階の床には剛性を持たせるなどして地震の揺れの力を均等に逃す設計だ。建物がもともと持つ強度を減退させないよう留意したという。「設計事務所として利用形態の提案にもなれば」とも考えた。
 維持困難で…減る一方
 建物は木造であってもきちんと手入れをすれば2代、3代と使い続けることができる。しかし、久永さんのような例は少なく、建物の価値を継承することなく、解体される町家が後を絶たない。
 京都市は平成20(2008)〜21年度に実施した調査で、4万7735軒の町家を把握していた。ところが28年度の調査では4万146軒に減少。市は少なくとも5602軒が滅失したとみており、年平均800軒、1日あたり2軒の割合で町家が消えている計算だ。さらに空き家率も前回調査の10・5%から14・5%と4ポイントも上昇した。
 そもそも京町家とはどういうものか。市は、隣地に接して外壁や高塀がある▽道に面した出入り口から長く続く細長い土間「通り庭」がある▽「火袋」と呼ばれる吹き抜けをもつ▽出格子や平格子の「格子」などの伝統的な形態やデザイン−を満たす木造家屋で、昭和25(1950)年の建築基準法施行以前に建てられたものと定義する。
 いずれの条件も京都ならではの歴史や文化、都市生活を反映した建築構造。郊外にある農家住宅などは含まず、上京、中京、下京3区のいわゆる洛中に集中しているのが特徴だ。
 京町家は平成元(1989)年前後のバブル期に相次いでマンションに変身した。そして今、外国人観光客の増加による慢性的なホテル不足を受け、町家の土地を売却する動きが加速しているという。
 売却、取り壊しの背景には、維持管理や修繕の費用負担が大きいことが挙げられる。世代をまたいで継承しようにも相続税がかかるなどの理由から、手放してしまうという。
届け出制で歯止め?
 新町通(中京区)の山鉾(やまほこ)町(祇園祭の山鉾を出す町会)に住む男性は、「町家を取り壊してマンションへの建て替えが進み、町内の8割がマンション住民になってしまった。今では祇園祭を支えるのはたった1割」と嘆く。町家の消滅は伝統文化のあり方まで変えてしまう。また、自分の家が「町家」であることを知らずに解体するケースが少なからずある。市の調査では、町家所有者の半数が「普通の木造住宅」と勘違いしていたという。このうち建物を残したいと答えた人は20%だった。
 こうした町家の消滅に歯止めをかけようと、市は解体前の届け出制などを盛り込んだ京町家保存継承条例を11月16日に施行した。
 全ての京町家に解体前の届け出を義務づける。ただ、努力規定なので届け出をせずに解体しても罰則はない。市の担当者は「届け出ることで解体を思いとどまるきっかけになれば」と話すが、久永さんは「とりあえず解体する際には言ってくださいね、というだけで何の効力もない」と手厳しい。
 さらに条例では、特に重要とされる「重要京町家」や「京町家保全重点取組地区」を指定し、それらを解体する場合には1年前の届け出を義務づけ、届け出をせずに解体した場合には5万円以下の過料の対象にした。
 重要京町家や重点取組地区は、今後立ち上げる有識者や民間委員などによる審議会が決めるが、何を基準にどのように線引きするかは定かではない。
 さらに、町家の維持に対する助成も十分とはいえない。木造住宅の耐震改修や空き家を活用する場合、市は京町家であれば通常の助成に30万〜150万円を上乗せしているが、京町家に絞った保存支援策は講じてこなかった。
 久永さんは「町家が壊れるということは町が壊れて住めなくなるということ」と指摘。市は30年度、町家を対象とした助成制度を予算化する方向で検討を進めている。
 片方信也日本福祉大学名誉教授は「精密な京町家の調査を行い、分布図を作って市民に周知することから始めるべきだ」と話す。」

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