🌄17〉─1─日本人の西洋礼賛主義者は、日本人しか分からないモノを「悪」として消去しようとしている。~No.83No.84No.85 @ 

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 日本人の西洋礼賛主義者は、外国人に理解されない、外国で通用しない、日本人しか分からないモノを「悪」として消去しようとしている。
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 2017年2月号 SAPIO「日本人のホコロビ 深川峻太郎
 東京五輪を返上しよう
 正直、もう、面倒臭いっす。何がって、東京オリンピックパラリンピックに決まっているじゃないですか。やり直しだ変更が撤回だ再検討だという鬱陶しい騒動が2020年まで続くのかと思うと、ウンザリする。返上してスッキリしたほうが、みんな上機嫌になって景気も上向くような気がするぜ。
 迷走しているのは、シンボルマークや競技場やボランティアのユニホームなど、大会そのものに関わる問題だけではない。観戦に訪れる観光客のために、東京や日本を『外国人様歓迎仕様』に作り替える動くが盛んだが、そういう問題でも物事がうまく決められず、いちいちスッタモンダしている。
 たとえば昨年の春頃には、こんな話があった。
 『寺院の地図記号(卍)がナチス・ドイツハーケンクロイツを連想させるから、変更しよう』
 そんなモン、似ているのは今に始まったことじゃなかろう。これまでも多くの外国人観光客がそれを目にしていたはずだが、激しい抗議があつたと聞かない。仮に抗議があっても、『いや、向きが逆ですよ』と説明すれば済む話である。こっちが後から勘違いされるような図案にしたならともかく、寺院記号のほうがナチスより古いんだし。
 で、卍は変更が見送られたものの、もうひとつ問題になったのが温泉マークである。外国人にはスープやコーヒーや焼肉(!)などに見えて紛らわしいとかで、やはり政府が見直しを検討。親子3人が湯船につかるデザインへの変更を提案した。
 でも、それ、日本人だって当初は同じ条件だったんじゃないの?言われなければ、味噌汁やお茶やうどんに見えたかもしれない。それが今では温泉以外の何物にも見えなくなってるんだから、説明すりゃ外国人だって覚えるよ。日本人が覚えられたものを『外国人には無理』と決めつけるほうが、よほど失礼だろ。
 結局、全国の温泉地からの反対もあって、これも現行デザインを存続させる方向になったらしい。そんな当たり前の結論を引き出すために、別府市では変更反対の署名運動もやらざるを得なかったのだから、他人事ながら同情してしまう。
 しかし、これで問題が終わったとは思えない。根底に『外国人にわかりにくいのは悪』という発想があるかぎり、似たようなゴタゴタはまだまだ続くだろう。マークは現状維持だとしても、次は『日本の温泉文化は理解されにくい』という話になる可能性もある。
 『知らない人と一緒に素っ裸で風呂に入るのは異常だ!』
 なんて言われたらどうするんですか?水着を義務づけるの?
 だいたい、どの国だろうが外国人にとって馴染みにくい部分があるのは当然である。日本語は温泉マークよりもはるかに外国人にわかりにくい。通貨の利便性を優先するなら、日本語も円も捨て去って、日本が日本でなくなるのがいちばんである
 言語や通貨の変更は極端すぎる、少なくとも『おもてなし』は禁止すべきだろう。外国人に『なんでこんなに親切なんだ!』と理解されにくい行為は厳に慎まねばならない。
 でも、日本っぽくない日本への旅行が楽しいか?
 彼我の違いに気づき、セカイの多様性を愛でるのが旅の醍醐味だ。帰国後に『日本ではこれが温泉マークなんだぜ!』『ラーメンをズルズル音を立てて食うの知っている?』『イザカヤでは頼んでもいないオトーシが出てくるんだよ!』と珍体験を話して聞かせるのが面白い。それができない旅なんて、退屈だ。
 実際、どの地方に行っても同じチェーン店が並ぶ景色ばかりになり、国内旅行はどんどんつまらなくなっている。日本が退屈な旅先になるぐらいなら、いっそオリ・パラを返上し、日本が日本のままでいたほうが、外国人観光客は喜ぶだろう。それが最大の『おもてなし』になるのではなかろうか」


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