🚱25〉─1─老朽化したインフラを襲う自然災害。財政赤字でインフラ整備費用が確保できない。〜No.101No.102No.103 * 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 人口激減で税収が減り財政赤字が増加してインフラ整備費用が確保できない。
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 9月22日 産経ニュース「【にっぽん再構築・インフラが危ない まとめ読み】高速道路、橋、下水道、市庁舎、港湾…高度成長期のツケが今ごろ回ってきた
 京浜運河上を走る首都高速1号線東品川付近、橋脚部は塩害での腐食が散見された=29日、東京都品川区(撮影・春名中)
 高度経済成長前後の昭和30〜50年に造られた道路約12万2500キロ、「区分IV(最も危険な)」の橋250カ所、下水道、港湾…。日本の産業発展の土台となってきた社会資本が大量に更新期を迎えています。道路では、平成24年に起きた天井のコンクリート板落下で9人が死亡した笹子トンネル事故も記憶に新しく、下水道の破損による道路陥没に至っては日常茶飯事です。十分な耐震性を持たない地方自治体の庁舎を使い続けたばかりに、行政機能不全で住民対応の遅れにつながる事態も招いています。
 一方でバブル経済期の豪奢なハコモノ乱立の記憶は消えず、高齢化時代を迎えた日本では公共投資の負担は成長の足かせにもなりかねない状況です。現場では、人命とコストをてんびんにかけざるをえないジレンマに陥っています。「にっぽん再構築第4部」となる「にっぽん再構築 インフラが危ない」は、全4回の連載で、差し迫る老朽インフラの危機をリポートします。下記からご覧ください。」
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 9月28日14:40 産経ニュース「【にっぽん再構築 第4部 インフラが危ない・番外編】
 “今そこにある危機”克服へ「処方箋」はあるのか? 識者に直撃インタビュー 
 橋梁を計画的に手入れする「予防保全」で、長寿命化と経費の抑制に取り組む青森県=6月14日、青森県五所川原市 (青森県道路課提供)
 連載企画「にっぽん再構築第4部 インフラが危ない」(9月15〜18日)では、前回東京五輪前後の高度成長期に集中整備されたインフラが老朽化し、経済活動や人命を脅かすという“今そこにある危機”を各地でリポートした。耐震化が遅れた危険なハコモノも全国に散在している。大量更新期を迎えるが、厳しい財政状況がそれを許さない。何をどのように残すべきか。冷徹な選別も不可欠だ。インフラ再構築の処方箋を、識者らの声や自治体の取り組みから探った。
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 ≪関西大社会安全研究センター長・河田恵昭氏≫
 ■地域特性踏まえ防災整備を
 阪神東日本大震災を経験したにもかかわらず、「わが故郷に地震はない」という“幻想”がいまだに支配的であることは熊本地震が証明した。このことは、日本全国のインフラ整備の基盤が、たまたま大きな地震被害のなかった高度成長期に築かれたことと関連があるだろう。
 熊本は火山による堆積物でできている町だから、地盤が非常に軟弱だ。しかし、そんなことを考慮せずにまちづくり、インフラ整備をしてきた。だから、九州新幹線は脱線し、防災拠点である役所や学校、病院が機能停止となり、道路が寸断され、阿蘇大橋は崩落し
 熊本には活火山である阿蘇山、全国でも有数の大断層がある。熊本の脆弱(ぜいじゃく)な地盤特性を考えれば、震度7や余震が多かった今回のような揺れは容易に想定できる。地盤特性を考慮していれば、今回起きたような被害は軽減することができたはずだ。
 大災害で無防備な社会が損害を被ると、生活の地盤沈下や経済活動の停滞により、長期にわたってむしばまれ、人口は流出し、衰退する。こうした状況を回避するには、災害にあう前に、地域の災害特性にもとづき防災対策を考えることが必要だ。
 どんな現象が起これば、その地域が最も困難な状況に陥るのかをまず想定し、地域社会の弱点について優先順位を考え、まちづくりやインフラ整備を進めていく。そのためには国や行政のみならず、民間企業、住民も含めた地域社会を構成する各階層が情報を共有し、危機への認識をひとつにすることが不可欠だ。
 防災拠点となるべき庁舎の耐震化を住民が「他のことに予算を回せ」といって反対したり、役所の財政難を理由に耐震化を先延ばしにしたりすることがあってはならない。
 次の地震がどこで起こるか、予想は現在の科学では不可能だが、首都直下や南海トラフ地震が起こることは間違いない。被害の規模は熊本よりはるかに大きいが、学ぶべき教訓はそこにある。今すぐにでも発想の転換は必要だ。(北村理)
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 【プロフィル】河田恵昭
 かわた・よしあき 昭和21年3月、大阪市生まれ。京都大大学院工学研究科博士課程修了。阪神大震災の後、神戸市に設置された「人と防災未来センター」のセンター長に就任。専門は巨大災害論。京都大防災研究所長、日本自然災害学会長など歴任。著書に「日本水没」(朝日新書)など。
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 ≪自民党幹事長・二階俊博氏≫
 ■先手の維持管理で命を守る
 以前、東京都内のインフラの損傷状況を把握するため、首都高速道路を視察した。道路の上で走っている分には損傷は発見しにくいが、下から見上げると、コンクリートがはがれ、さびついた鉄筋があらわになっているなど、大変な状況が見受けられた。これは早く対応しなければならないと痛感した。
 東日本大震災を教訓に、野党時代の自民党は防災・減災を中心に、自然災害に強い国土づくりを目指す「国土強靱(きょうじん)化」を掲げた。老朽化したインフラは、やがては人命に関わる。
 インフラの維持管理をしておけば、街や暮らしを災害から守ることができる。早く言えば、災害で壊滅してしまうよりも、事前に対応したほうが安く済む。だから、先手先手で取り組むことが大切だ。誰も、お金を無駄遣いしようなどとは考えていない。
 インフラの維持管理に関するノウハウを次世代に継承するという点でも、禍根を残さないようにしなければならない。自民党は予算の早期回復を含め、最重点的に取り組む。南海トラフで大地震が懸念されている。現状では、災害に襲われるのはほとんどが地方だが、首都圏でも災害が起こりうるという心構えは重要だ。自民党所属国会議員には、災害があれば翌日にも現地に行き、被災地域のニーズを把握するとともに、防災・減災対策として何が必要なのか、政治を担当する者として考えてもらいたい。
 かつて、公共事業予算が削られてきた。「公共事業は必要ない」など、インフラ整備に反対意見を持っている人もいるようだが、こんな無謀な意見はない。無責任で幼稚なポピュリズムをふりかざし、メンテナンスにかける予算や人員を削っては、重大な事故や損傷が発生するリスクが高まるのは当然だ。
 もちろん、財政再建という十字架を背負っていることは誰でも理解している。だが、命を守ることが優先される。批判を恐れず、必要なことをやっていく。(沢田大典)
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 【プロフィル】二階俊博
 にかい・としひろ 昭和14年2月、和歌山県生まれ。中央大法卒。50年和歌山県議。58年衆院議員(現在11期目)。経済産業相自民党総務会長などを歴任し今年8月、幹事長に就任。平成23年に創設された党国土強靱化総合調査会の会長を務め、幹事長就任後、同調査会を「推進本部」に格上げし、本部長に就いた。
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 ≪東洋大教授・根本祐二氏≫
 ■政治家は削減へ選択肢示せ
 日本が迎える大規模なインフラ老朽化は、人類史上2番目に見られる現象だ。最初は1980年代の米国で起きた。落橋事故が相次ぎ、「荒廃するアメリカ」と呼ばれた。30年代のニューディール政策で全米に大量の橋を造ったが、有効需要をつくるのが目的だったので、メンテナンスをしなかったのだ。
 米国はガソリン税を引き上げ、老朽化対策の特定財源とした。これは一つのお手本だ。人口が増えている米国では拡大均衡がありうる。しかし、日本のように人口が減っている中では、インフラを減らし縮小均衡するしかない。
 日本のガソリン税一般財源化したため、福祉や子育てなどの行政サービスと競いながら予算化しなければならず、後回しになりがちだ。国民にとって何が必要かを見極めなければならない。福祉も大事だが、命の危険は真っ先に取り除かないといけない。人々は安全を無料だと思っている。「道路は造れば終わり」というのは素朴な誤解だ。
 今後、メンテナンスにもっとお金をかけなければならなくなるだろう。ただし、インフラの絶対量が減ることを覚悟しなければならない。インフラが減ってもいい社会にする責任が政治家にはある。予算を増やすなら、他の予算を削るか、税収を上げるかの目算もないといけない。
 政治や行政は、「他は減らしてもいいが、自分のところだけは減らしたくない」が市民感情と誤解している。私たちのアンケートでは、インフラ削減について「仕方ない」「積極的にすべきだ」が計8割になる。「今までの量を維持できないので、優先順位をつけて減らしたい」と説明すれば、国民は理解する。選択肢を提示するのが政治の責任だ。政治家は多数の国民を無視し、少数に利益誘導するのをやめるべきだ。
 国民にも責任がある。自分のできることをやるべきだ。ちょっとした清掃でも維持に役立つ。国民が自らの手でインフラを守っていく必要がある。(池田証志)
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 【プロフィル】根本祐二
 ねもと・ゆうじ 昭和29年10月、鹿児島県生まれ。東京大経済卒。旧日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。平成18年、東洋大経済学部教授に就任。専門は公共政策。同大PPP研究センター長。内閣府PFI推進委員会委員。国土交通省社会資本整備審議会委員などを歴任。著書に「朽ちるインフラ」など。
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 9月28日14:50 産経ニュース「【にっぽん再構築第4部 インフラが危ない・番外編】人口減の列島を「老朽化」が襲う… 大量更新の波にどう対応するか?
 メガソーラー発電所として一新した枕崎空港跡地=鹿児島県枕崎市(提供写真)
 グラフは、日本の公共事業費がほぼピークだった1996(平成8)年を100とした一般政府公的固定資本形成費の推移だ。公共事業費から用地補償費を差し引いたインフラ関連投資とみてよい。横ばいのドイツを除き、主要国は右肩上がりを続け、リーマン・ショック(2008年)後の落ち込みからも回復基調にある。「失われた20年」の長期停滞期と重なるこの間、日本は一貫して低迷を続け、ピーク時の半分以下の水準まで落ち込んだ。財政健全化の途上では当然のこととも言える。
 しかし、問題は、右肩上がりだった時代に整備されたインフラがこの後、寿命の目安である50年を次々と迎え、老朽化と大量更新の波が日本列島を襲うことにある。しかも、今後の政府の一般歳出の伸びは、大半を社会保障費の自然増に割かざるを得ない。
 災害にも脆弱(ぜいじゃく)な社会基盤は国力の低下に直結する。財政負担を抑制しながらインフラの維持管理・更新に対処するには、都市機能を集中させる「コンパクトシティー」化など、人口減を踏まえた統廃合、集約が急がれる。
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 ハコモノ脱却へ再活用促進 空港跡地→ソーラー発電 廃校→野菜栽培施設
 鹿児島県枕崎市にある枕崎空港跡地。滑走路だった細長い敷地にはソーラーパネルがびっしりと敷き詰められている。
 同空港は全国初のコミューター(小型旅客機)空港として平成3年に開業したが、旅客数減少による収支悪化で25年に廃港。再生エネルギー事業を展開するオリックス九電工の提案で、メガソーラー発電所として再生、26年9月から稼働している。
 しかし、メガソーラーの誘致は容易ではなかった。市民から廃止を惜しむ声があったほか、用途変更には、空港建設に使われた国や県の補助金を返納する必要があり、その協議にも時間を要した。
 「それでも、このまま修繕や維持管理の財政負担を放置すれば市民の不利益になる。結果的に誘致は市財政に収益をもたらし、市民に再生可能エネルギーに対する理解も生まれた」と市の担当者は話す。
 約13万平方メートルのパネルが生み出す年間発電量は推定約900万キロワット時で、一般家庭2500世帯分の電力を九州電力に販売する。旧ターミナルビルは太陽光発電の仕組みを展示する施設となり、週末には地元の家族連れが見学に訪れる。
 自治体が管理するハコモノやインフラが老朽化し、無用となっていく中、注目されているのが「PRE(公的不動産)活用」だ。
 文部科学省少子化による統廃合で廃校となった学校のデータをホームページで開示し、民間企業などによる活用を促している。
 文科省によると、25年度までの5年間で年平均約500校が廃校となった。再利用は地元自治体の財政負担の軽減になる。宅配便大手のヤマトホールディングス三重県名張市にある旧長瀬小学校をコールセンターに整備したほか、野菜栽培施設や工場などへの転用が実現してきた。
 ▼サービス「外注」
 古本店が軒を連ねる東京・神保町の老舗画材店「文房堂」のアトリエで男女がキャンバスに絵筆を走らせていた。同店主催のアートスクールは、地元・東京都千代田区の区民講座的な役目も担う。
 自治体の生涯学習講座は通常、公共施設に講師を呼んで開かれる。千代田区には九段生涯学習館があるが、区内には専門学校や民間の講座・講習会も多数ある。この立地を生かし、区は指定の民間機関で履修すれば1万円を上限に受講料の半額を助成する「バウチャー制度」を設けた。
 行政サービスの「外注」が広がれば、公民館や高齢者福祉施設など既存のハコモノのリストラにつながる。法政大の小黒一正教授は「公共施設の統廃合が進み、人口減時代に見合ったインフラ規模を実現するきっかけになる」と話す。
 ▼メンテ市場拡大を
 無駄・無用なインフラはリストラする一方で、必要なモノは限られた予算で長寿命化を図る必要がある。現在は3.6兆円、20年後には5兆円超と試算されるインフラのメンテナンス費用は、事業者には市場規模と同義語。新規受注が頭打ちとなる建設業では、メンテナンスを成長分野として見据える動きも出てきた。
 熊谷組は、5年に1度の点検が義務づけられる橋梁(きょうりょう)点検用のロボット開発を進め、パナソニックはダムのメンテナンス向けロボットを開発中で今年度中の事業化を見込む。
 ジオ・サーチ(東京都)は地雷探査技術を応用したマイクロ波で、時速60キロで走行しながら道路の地中にある直径5センチの空洞をほぼ完全に感知する装置を開発。熊本地震などの災害で道路陥没が多発したため、各自治体からの点検依頼が殺到している。冨田洋社長は「道路の陥没は物流を寸断し、災害による経済的被害を拡大させる。政府は経済政策としてインフラの点検や修繕に取り組むべきだ」と訴える。
 政府もメンテナンス産業の「メジャー化」に着手した。国土交通省などが近く「インフラメンテナンス国民会議」を立ち上げ、事業者間の技術やノウハウの交換を図る。(佐久間修志)」




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