⛲39〉─2─貧富の格差。貧困と病気 経済的状況が寿命に影響~No.239No.240No.241No.242 

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 2018年5月29日 産経ニュース「【健康カフェ】(128)貧困と病気 経済的状況が寿命に影響
 糖尿病で受診する70代女性が、いつもより元気がないように見えました。気になって「変わりはないですか?」と尋ねると、「実は家を売って得た数千万円を失ってしまって…」と途方に暮れた様子で話してくれました。元気のない状態はその後しばらく続き、糖尿病も少しずつ悪化していました。
 健康はお金で買えないとはいえ、経済的な状況が悪い人は肥満や糖尿病が多く、死亡率が1・5〜3倍程度高いという報告があります。資産状況と死亡率について調べた研究の結果が最近、米国で報告されました。調査は、51歳以上の9千人を、もともと貧困状態にある人▽資産を持っていて減らさなかった人▽資産を持っていたが短期間のうちに75%以上を失った人−の3群に分け、20年間の死亡率に差があるかを検討しました。
 死亡率は、もともと貧困状態にある人は、資産を減らさなかった人に比べ1・67倍高く、途中で資産を失った人は、資産を減らさなかった人に比べ1・5倍高いという結果でした。中でも持ち家を失うことは死亡率の上昇と大きく関係していました。
 貧困や資産を失うことが死亡率を上げることには、いくつかの原因が考えられます。まず、経済的に苦しいと病気になっても受診を控えがちになり、必要な薬を飲まなくなることがあります。また、経済的な不安から鬱病アルコール依存症など精神的な症状が出て、これが身体的にも影響を及ぼし、血圧の上昇や心血管病の発症を増やすことがあります。
 中年期以降に資産を大幅に失うと、その後に再び大きく資産を形成することが難しいため、残りの人生を経済的に苦しいまま過ごすことになります。高齢になると、医療や介護にかかるお金が大きな負担となります。公的医療保険制度がある日本では実際の自己負担はそれほど多くないとはいえ、それでもお金にゆとりがなくなると、出費を切り詰めるために受診や治療を控え、健康を害してしまう人は少なくありません。
 経済的な面だけでなく、社会的な状況も人の健康に影響することが分かっています。どれだけ教育を受けたか、どのような社会的立場にあるかによって、健康の度合いが変わる可能性があるのです。
 一時期落ち込んでいた冒頭の女性ですが、次第に元気を取り戻し、最近は「せめて体は健康でいよう」と治療に前向きになっています。その結果、薬を増やすこともなく、血糖値も安定しています。(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)」


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