⛲21〉─1─老後破産。独身一人暮らしの高齢者の相対的貧困率。独居老人の逆切れと焼身自殺。~No.94No.95No.96 @ 

「日本国破産」を生き抜くための資産防衛術

「日本国破産」を生き抜くための資産防衛術

  • 作者:津田倫男
  • 発売日: 2012/05/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 1,000兆円以上の財政赤字、返済できずに増え続ける赤字で、20歳以下の子供の未来は明るくはない。
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 年々、少子高齢化による人口激減が悪化して高齢化率は、2018年は28.2%から2040年には35.3%となり、高齢者人口は約3,900万人となる。
 社会保障給付費は、2018年に121兆円から2040年には190兆円に増加する。
 現役世代15〜64歳の1,5人で、65歳以上の高齢者の年金・医療・介護を安月給で支えなければならない。
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 日本人男性の精子は劣化(老化)し、日本人女性の卵子は老化し、日本民族日本人の生殖能力や繁殖能力は衰退している。
 日本民族日本人の人口増加は望み薄である。
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 内閣府、「男女共同参画白書」2010年版。65歳以上の相対的貧困率は、22%。
 高齢単身男性のみの世帯は、38.3%。高齢単身女性のみの世帯は、52.3%。
 経済協力開発機構の調べ。12年。日本の全世帯の内約16.1%が相対的貧困にあり、特に高齢者の相対的貧困率は一般世帯より高く、年々増加する兆しがある。
 NPO法人自立生活サポートセンター「もやい」の大西蓮理事長「高齢で働けなくなれば、貯金を使うか、家族の扶養か、社会保障に頼るしかない。この2年間で生活保護が増えているのは高齢者の世帯だけです。今の若者は非正規労働者が多く、貯蓄ができないので貧困化していく。核家族化も進んでいるので頼る家族も少ない。将来的に貧困の高齢者が増えるのは必然であす」
 「年間6,000世帯の入居支援のうち、男性の一人暮らしが圧倒的に多い。高齢になって働けなくなると孤立しがちで、経済的な貧困と人間関係の貧困はリンクしている。両方に対する支援が必要です。そこで私たちは居場所づくりのために交流事業もしています」
 NPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典代表理事「このままだと高齢者の9割が貧困化し、貧困に苦しむ若者も増える」(『下流老人』)
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 2015年 老後破産。食事は1日1回で一食の食費は100円以内という、独居老人は約300万人。
 年収は120万円未満で、何とか生きているというギリギリの暮らしをしている。
 老後破産者は、社会とのつながりのない貧困者で、正月三が日を一人で寂しく過ごしている。
 つながりの貧困者は、独居老人の3人に1人、約100万人とされている。
 高齢化が進めば、誰とも付き合えない、付き合わない孤独な独居老人が急増すると予想されている。
 誰にでも言える事は、自分から寂しい独居老人になろうと思っていないし、自分がなるとも思ってもうなかった。
 誰でも気付いた時に老後破産の独居老人となり、そして言う「こんな筈ではなかった」と。
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 2030年以降 老人の独り暮らしが急増し、老後破産者も増え、年間約5万人が孤独死すると言われている。
 政府は財戦案を理由にして、消費税を引き上げる事で諸物価を高騰させ、年金支給額を減らした上に支給年齢を先延ばしにしつっある。
 2011年の厚生労働省データーによると、単身世帯の公的年金受給額は年間約16万8,000円以下は全体の71.6%。
 そのうち年間100万円未満、月額約8万3,000円以下の老人が43.3%にも上る。
 2014年 年金支給額年額120万円未満が、600万人。
 突然の病気や怪我に備える為に生活を切り詰めて、1日1食で生活する老人が増えている。
 長生きする事が幸せではない時代が、今目の前に迫っている。
 悲惨な老後。
 それが現実化しようとしている。
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 都市では独居老人による孤立死・無縁死が、地方では過疎高齢化が社会問題となり、何れ訪れる老後は暗いイメージが付きまとっている。
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 2014年11月9日号 サンデー毎日 「もはや避けて通れない『貧困老後』がやってくる!!
 年金・医療・介護『負担増』『給付減』の無情
 ▼後期高齢者保険『特例廃止』で保険料3倍に
 ▼来春『マクロ経済スライド』でますます減る年金
 今年4月、70〜74歳の医療費負担が1割から2割に引き上げられたばかり。今度は所得の低い後期高齢者(75歳以上)の保険料軽減措置の廃止、年金抑制策が浮上した。『給付減』『負担増』のドミノで『老後破産』がますます現実味を帯びる。もはや人ごとではない。
 『年金下げるな!』『消費税上げるな!』
 10月17日、全日本年金者組合などが主催する『怒りの年金者一揆』が全国で行われた。年内にも決まる消費税率10%への引き上げを巡る政権内の攻防が激しさを増す中、年金削除や社会保障切り捨てに、高齢者の怒りが日増しに強まる。
 2日前の10月15日。厚生労働省は、75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度、所得の低い人の保険料軽減措置を段階的になくす方針を打ち出した。
 社会保障に関するコスト抑制は財政再建を目指す国の課題。だが、少ない年金を減らされたうえ、保険料の天引き額が増えると生活はどうなるのか──。現役世代にとっても『老後』を視野に入れた生活設計が当たり前の時代だからこそ、今の高齢者の生活を直視する必要がある。
 ……
 今回、厚生労働省が打ち出した特例の廃止によって、負担増になる高齢者は約865万人。810億円の削減を見込む。
 2008年に導入された後期高齢者医療制度は、それまで加入していた公的医療保険から切り離して別建てにしたため、〝姥捨て山〟批判が高まり、保険料軽減措置が取られてきた。厚労省案は、この特例措置を段階的に廃止するものだ。
 ……
 満額でも暮らせない国民年金
 現行制度では物価が下がるデフレ時には適応されないが、厚労省はこのマクロ経済スライドをデフレ下でも適応すべく見直しを進めている。そうなれば、景気に関係なく年金の実質額は毎年減らされることになる。わずかな年金を糧にする高齢者は、保険料アップのうえ年金カットで生活が成り立たなくなる恐れが出てくる。
 年金は老後の生活の拠り所だ。繰り返しになるが、国民年金(基礎年金)の場合、40年間滞納せずにコツコツ払い続けても、受け取る金額は6万4,400円(14年度)。統計上、6万円超は4割程度。しかも3万円以下が約2割いる。
 ……
 入院給食費2倍、『紹介状なし』で大病院受診は1万円負担!!!
 ……財務省は介護報酬の6%引き下げ方針を打ち出した。ただでさえ介護現場で働く人の給与は低く、平均給与は月額21万円台。全産業平均の約33万円に比べると落差がある。
 東京五輪から5年後の2025年には『団塊世代』が75歳以上になる。3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢化が進むことになる。
 『介護を必要とする人が爆発的に増えるのに、〝安上がり〟な医療介護体制では、ますます介護崩壊を招く』(事業者)との悲鳴も上がる。『姥捨て』は絵空事ではなくなるかもしれない」
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 11月8日号 週刊現代「特別企画 これで100歳まで安心
 もう、老後破産は怖くない!
 ……
 第一部
 『予期せぬ出費』はあるが、『思わぬ収入』はない
 最大のリスクは『長生き』である
 毎夜、不安に苛まれる
  ……
 ファイナンシャル・プランナーの岡粼充輝氏は、『「年金だけで暮らせていける」という考えは幻想に過ぎない』という。
 『戦後間もなく日本人の平均寿命は50歳そこそこでした。ほんの60年ほど前まで、日本人に「老後」という概念はなかったのです。ところが今、60歳で定年を迎えたとすると、男性で23年、女性だと28年も平均寿命があります。定年後の人生が、全人生の4分の1から3分の1近くを占めているのです。
 こうなってくると、長生きすることこしが、人生最大のリスクになります。定年後の人生がどれほど長く、どれくらいのおカネがかかるのかをきちんと把握しておかなければ悲惨な晩年を送ることになりかねません』
 誰でも、老後の生活にそれなりのおカネが必要なことは理解しているはずだ。しかし、具体的にどれだけ収入や出費があるのかまで想像することは難しい。
 老後資金への不安を解消するための第一歩は、漠とした不安をリアルな数字にして書き出すことだ。『現役時代よりは生活費はかからないだろう』とか『介護施設に入るといろいろと費用がかかって大変そうだ』といったぼんやりとしたイメージを具体的にすることで、老後の資金問題への対応策が明らかになってくる。
 ファイナンシャル・プランナーの岡村真由美氏は、具体的な『キャッシュフロー』を表にして把握することが重要だという。
 『まずは自分の年金額を確認しましょう。現役の人は、50歳になると、家庭に送られてくる「ねんきん定期便」に「年金見込み額」が出てきますので、自分がどれくらいの年金がもらえるかが分かります』
 ただし、少子高齢化が急速に進んでいるので、年金支給開始年齢の引き下げや支給額の減額がありうると覚悟しておいたほうがいいだろう。事実、30年後には厚生年金は20%、国民年金は20%も支給水準が下がる可能性があるという厚労省の検証結果もある。
 『それから実際の自分たちの生活費はどれくらいなのか、将来的にはどういう暮らしをしたいのか、退職後にどんな趣味にどれくらいのおカネが必要なのか、どれくらいの頻度で旅行に行きたいのかなど、できるだけ具体的な生活をイメージする必要があります。また、住宅ローンの返済や子供の教育費の支払いがいつまで続くのかなども明解にする。その上で、収入の合計、支出の合計を計算して、毎月の収支が黒字なのか、赤字なのか、赤字であれば、毎年どれくらい貯蓄を崩していく必要があるのか、金融資産残高が毎年どれくらいになるのかといったことを計算します』(岡村)
 このような作業を始めるのは、早ければ早いほうがいい。生活の支出を見直すとか、退職年齢を伸ばして収入を補うといった『対策』が講じやすいからだ。
……
 『予期せぬ出費』はあるが、『思わぬ収入』は存在しないと考えたほうがいい。前出の岡崎氏は語る。
 『銀行や証券会社の窓口に相談に行くと、資産運用を勧められますが、基本的に老後資金が減ってしまう可能性のある金融商品に投資するのはお勧めできません。うしても収入を増やしたいなら、できるだけ長く働くことが一番です』
 岡村氏も同意見だ。
 『資金運用は、老後資金ではなく、あくまで余裕資金でやるべきです。その場合は、インフレの時に備えて、外貨で貯蓄を分散するというのも一つの方法でしょう。年金生活者にとってインフレ、物価上昇は大きく響きますからね』
 夫婦仲が悪いと出費増
 老後の資金問題を乗り越えるには、三つの重要なポイントがある。
 第一に『柔軟性』を持つことだ。ファイナンシャル・プランナーの畠中雅子氏は語る。
 『例えば、住宅費にしても「自宅に住み続けたいけれども、資金的に苦しいなら小さな家への住み替えもしかたがない」と思えるか、「どんな事があっても自宅に住み続け、介護もここで受けるる」と考えるかで、大きく違ってきます。環境の変化をどれだけ許容できるかが重要なんです』
 第二に『情報収集力』だ。
 『例えば、埼玉県内のケアハウスで、家賃・3食の食費込みで、遺族年金の受給者は月5万5,000円というところもあります。年金支給額が多い人は、少し値段が上がりますが、それでも10万円にもなりません。こうした施設は、自分の足と努力で情報を収集しておかないと見つけることは難しいですね』(畠中氏)
 そして第三のポイントは、意外なことに『夫婦仲』だという。前出の岡崎氏が語る。
 『夫婦で財布を分け合ってしまうと、どうしても浪費してしまいがちです。逆に二人で、「こういう風に生きていこう」とコンセンサスが取れていれば、節約することも苦になりません。必ずしも46時中、行動を共にする必要はありませんが、価値観が合わないままに、夫は釣り三昧、妻は友人たちと温泉通いといったバラバラな生活を続けることは避けたほうが賢明でしょう』
 本特集では、本来寿ぐべきことであった『長生き』がリスクに転化してしまった時代において、仮に100歳まで生きた場合の収入と支出を計算する。
 ……あなたの老後の収支が黒字になるか、はたまた赤字に転落するかを計算してみよう。その上で、生活費を見直すなり、夫婦仲を温め直す工夫をするなりすれば、収支はきっと改善していくはずだ」 
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 2015年3月26日 週刊新潮「日本の貧困と格差で『年金』は生きていけない負の現場
 コツコツと働けば定年後は年金で相応の暮らしが、というのは過去の話だ。年金は引き下げられ、医療費や介護保険料は上昇。ひとたび不慮の事態が発生すれば、赤貧状態に突入する。もはや誰にとっても他人事ではない貧困と格差の現状……
 厚生労働省が行った平成24年の『国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯の5割以上が『生活が苦しい』と訴えている。自分は会社員だから関係ないと思っている読者諸氏も多いかもしれないが、決して他人事ではない。今日、いつ誰が『貧困層』に堕ちても不思議はないのだから。
 ……
 平成19年の『国民生活基礎調査』によると、65歳以上の女性全体における貧困率は28.1%。男性は22.1%です。ただし単身世帯にかぎると、女性は50%、男性でも40%が貧困層になるというデータがある……
 貧困率とは、国民を所得順に並べ、順位が真ん中の人の半分未満しか所得がない人の割合、すなわち『相対的貧困率』のこと。単身者の場合、平成24年のデータでは122万円未満になる。今、日本の相対的貧困率は、OECD加盟国の中で第2位。すでに日本は世界でも有数の格差大国で、それは、とりわけ高齢者の間で開く一方だというのだ。
 介護サービスも受けられず
 ……
 厚生年金をもらっていても
 昔は経済が右肩上がりで、高齢者は医療費無料という時代もあった。いざというときは子どもたちが何とかしてくれた。だが、今は子どもたちも非正規雇用が増え、生活に余裕がない。長生きする親と、不安定な生活の子どもたち。そのうえ老老介護となって共倒れになる恐れもある……」
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 2015年7月19日号 サンデー毎日「一億総老後崩壊時代がやってくる! 対談 荻原博子と藤田孝典
 藤田孝典 ワーキングプア、失業の子どもが親に寄りかかる。
 荻原博子 『頑張ればなんとかなった』親の時代とは今は違う。
 年金が少ない、健康に不安、家族が介護状態になったら・・・。若者から老人まで一億総老後不安が広がっている。
 ……
 若者も『我が事』だと気づいた
 萩原 40年間保険料を払い続けても、ひと月あたりの支給額は満額で月6万6,000円程度です。都市部で、この額で生きていくのは難しいです。
 藤田 私たちも、若い人で未納の人に『国民年金をかけてください』って話すんですが、少ない収入から月1万5,000円もの保険料を捻出できに人が多い。現役時代の収入や所得が低いと、貧困を老後まで引きずり、下流に流れ込んでいくんです。
 荻原 昔は国民年金は八百屋さんとか魚屋さんとか家業を持つ人が多くて、年金は少なくてもずっと働けたんですよね。ところが今は個人商店も大型店に押されて潰される。それで体を壊したら終わり、みたいな。
 藤田 今の若い人たちは、雇用も生活環境も急速に劣化しています。非正規雇用の広がりはものすごいですから。年収200万円いかない若者もたくさんいますから、厚生年金に加入していても老後の年金が10万〜11万円という人たちが普通になる。年金制度は、そういう人たちの老後を全く想定していません。若い時からずーっと貧困という人が、これからたくさん出てくる。下流老人は日本国民全体の問題だ、ということを言いたかったんです。
 荻原 ただ実際のところ、どっちが割をくっているかというと若い人ですよね。下流老人はいるけど、そうでない高齢者もいる。60歳以上の6世帯に1世帯は金融資産を4,000万円以上持っているじゃないですか。金融資産の他に家とか田畑とか持っていて、それでも、今の高齢者は自分が下流に落ちるんじゃないかって不安がものすごく強い。その点、若い者人はホントに持っていないですから。
 藤田 『下流老人』の本を出して、若い人からの反響が多いことに驚いています。もちろん60〜80代の人が読んで『自分も下流だ』っていう反応も多いですが、予想以上に20〜30代の反響が大きい。『正社員で厚生年金だけど、見込み額では月額8万円程度。どうやって老後を暮らしたらいいのか』というような。若い人のワーキングプアは実感できても、老後までイメージができてなかったんだなんと改めて気づかされました。非正規や低賃金で働いている若い人たちは、老後不安を強く持っています。
 荻原 若者の現状は、ほとんど過酷ですよね。昔は会社にも倫理観があって、福利厚生でしっかり労働者の生活を保護し、人材を育てる意識もありましたが、今は社員はコストの一つ、歯車の一つにすぎない。
 藤田 就職して5年ももたず、30歳前にうつや不眠症で辞めていく人も多い。
 荻原 子どもがそういうふうになっちゃうなんて、親にとっては考えられない。
 藤田 企業に入ったら終身雇用で安泰っていう親の時代の会社と今は違う。でも親はそこが分かっていなくて『なんで辞めちゃうの。我慢が足りないんじゃないの』ってなる。
 荻原 そうなんですよ。団塊の世代は頑張ればなんとかなる時代だった。でも、今は違う。企業が派遣労働者を受け入れられる期間の上限を実質的に撤廃する『一生派遣』(改正労働者派遣法)も働いた時間に関係なく成果に対して賃金を支払う、『残業代ゼロ法案』も。もっと厳しくなる。
 底が抜けるセーフティーネット
 荻原 やっぱりセーフティーネットが脆弱だってことだですよ。小泉政権の頃から日本はグローバル化を推し進めていますが、グローバル化をすればピケティの言うような格差社会になるのは必然。ならば、弱者のためのセーフティーネットをしっかり張らなければ。
 藤田 グローバル化は、儲ける人はさらなる儲けを生み、貧困層はさらなる貧困のスパイラルに陥るということになりますから、どんどん二極化していく。それを進める限り、富をちゃんと還元してセーフティーネットも整備しなければならない。なのに、そのネット(網)がボロボロで、すぐに貧困に転落してしまう。ホームレスになるか、犯罪を起こすか、自殺するかなどで、ようやく貧困が認知される。下流老人の問題は社会保障制度や社会システムの不備によるものなんです。
 荻原 経済成長自体が難しいのに、無理に推し進めようとしているでしょう。弱い者が切り捨てられていることに目をつぶり、強い者だけが生き残ればいいという。絶対間違っていると思う。
 藤田 政治も企業も上昇志向で、一般の労働者は置いてけぼりですよね。ネックになっているのは、貧困問題を社会が重要課題として捉えてこなかったことです。貧困に対する理解がない。生活保護者バッシングも相変わらず根強い。
 荻原 どうして憲法で保護される権利がバッシングされちゃうんだろう。生活保護を利用する資格のある人のうち、現に利用している人の割合(補足率)は2割程度に過ぎません。残りの8割、数百万人もの人が保護から漏れているのです。〝施しを受けることは悪〟みたいな空気がありますよね。
 低所得者向けの住宅整備を急げ
 藤田 高齢者本人や家族だけが悪いわけではない。社会的解決策を模索するべきだと言いたかったのです。日本の政治政策の中で貧困問題の優先順位は低すぎる。ヨーロッパなどは、貧困にならないような施策をとっています。下流老人が増えれば、それが社会コストになりますから。もういい加減、貧困対策基本法を作るべきです。ちゃんと貧困対策を法律に位置付けて、削減目標を立ててやっていくべきなんです。 
 荻原 それは、経済のグローバル化する以上、政府の最低限の責任です。
 ……
 荻原 年配の方に関して言うと、あまりにも簡単にだまされすぎ。自分の資産なのに、銀行に頼ったり保険会社に頼ったりしてカモにされている。それと、自分の預貯金や持ち家など資産の現状をきちんと把握していない人が多い。現状を把握すれば、これだけしかないから暮らし方を変えよう、というふうに対策がとれる。漠然とした不安もクリアになる。それとね、60を過ぎたらゴルフクラブを鍬(くわ)に持ち替えましょう。
 藤田 名言ですね。でも、生活習慣をかえるって、なかなか難しい。
 荻原 だけど、その努力しないと老後はやっていけないのよね。一番困るのは、会社で部長以上だった人。
 藤田 ほんとコミュニティーで孤立しますよね。相談の中で印象的なのは、熟年離婚した男性です。奥さんに家のことは全部任せきっりで、60歳過ぎて離婚すると悲惨。資産も奥さんと分配しますから、年金も半分になって14万〜15万円。現役時代に50万〜60万円稼いでいた男性は、生活のやりくりができない。
 荻原 食費とか光熱費とか、何にいくらかかっているのか、分からない男性多いですからね。
 藤田 団塊の世代の男性の生活力って、驚くほど無い人が多いですね。どっぷり企業に浸(つ)かってきた人は、特に。……
 荻原 定年後は第二の人生が始まる、と意識を変えないとね。第二の人生は雑巾がけから始まるんですよ。地域コミュニティーに溶け込んで。一番いいのは、奥さんにくっついていく。奥さんのカバン持ちして歩く。あと、人のためになる、喜んでもらえる、そういうことを大切にしていく。
 藤田 ……下流老人も二極化していて、金もない、人間関係もない、一人で家の中でテレビ見ているだけの人がいる一方で、お茶飲み仲間が家にやって来たり、コミュニティーセンターでおしゃべりをしたり、時には他人におごったり恋をしたり、楽しそうな方もいます。不幸せな人との違いは明らかに『人間関係』にあります。
 ……
 藤田 ……年間300人もの相談を受けていて、支援を『しやすい人』と『しにくい人』がいることに気づきました。支援しやすい人の特徴は、話しやすかったり、プラス思考だったり、自分から積極的に問題の解決に当たったり、自分の問題を把握していたりする。そういう人は気軽に相談に来てくれて、問題が複雑化する前にアドバイスできる。
 ……
 荻原 女性はタフだし、臨機応変なんですよ。結婚して人生設計がガラッと変わって、子どもを産んでガラッと変わり、老後で3回目でしょ。男性は、会社入っちゃえばそのまま変わる機会を逸している。
 藤田 孤独死も男性がほとんどです。女性は貧困に陥っても、誰かにSOSを出していて、生命が脅かされる人は少ない。
 荻原 全然かみ合っていないのにおしゃべりして楽しそうなおばちゃんたち、いますものね。
 藤田 そう。男性同士は話が続かない。あとは食事が大切だと思いますね。特に男性。食生活が乱れている人は長生きできない、幸せになれない。食べることは生きることの基本、根幹です」
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 2015年9月20日号 サンデー毎日「貧困老後
 『預貯金が底をつく恐怖』 
 おほとりさま まさかの転落
 女性の半数
 男性の3割
 豊かな老後はどこへ──65歳以上の生活保護受給が過去最多の79万6,455世帯に達したと、先日厚労省が発表した。誰もが転落しうる〝貧困老後〟。中でも単身女性の貧困ぶりは際立っている。
 ……
 一生懸命働いてきて、なぜ・・・
 ……
 『一億総中流』と言われ、今日より明日は豊かになると信じられた時代に生きてきた世代。だが、70〜80代に入り『この年になってお金に困るなんて想像もしなかった』『老後がこんなにも苦しいとは』とこぼす高齢者に何人出会ったか。これは自己責任なのだろうか。
 日本の高齢者の6割が、年金を主たる収入として生計を立てている。だが、その額は暮らしていくのに十分とはいえない。
 年金をもらっている人の半分近くが、基礎年金だけの人では6万円台が4割程度、3万円以下が約2割いる。
 税金や社会保険料を除いた可処分所得が、年122万円に満たない世帯の割合を『相対的貧困率』と呼ぶ。2012年の65歳以上の相対的貧困率は、一人暮らしの男性で29.3%、女性で44.6%に及ぶ=阿部彩(2014)『相対的貧困率の動向:2006、09,12年』貧困統計ホームページ。ざっくりいうと男性で3人に1人、女性は2人に1人が〝貧困〟だ。
 広がる高齢者の貧困
 とりわけ『おひとりさま高齢女性』の困窮ぶりは、際立っている。年金で暮らせず70代になっても働かざるを得なかったり、生活保護を受けたり。そうした女性たちを『貧乏ばあさん(BB)』と名付け、10年ほど前から警告してきたのが、評論家の樋口恵子さんだ。樋口さんはこう話す。
 『女性の場合は、そもそも就労できなかったり、働いても男女の賃金格差が激しく、賃金が少なかったり、子育てや介護で仕事の中断を余儀なくされたことも多い。そのため年金が足りず、悲惨な老後を送る〝BB〟なが大量発生するのです』
 13年6月、国連社会権規約委員会は日本政府に対し、無年金・低年金の存在や女性の低年金に懸念を表明し、『最低保障年金制度』の確立を勧告した。
 ……
 非正規の若者たちも、やがて
 ……
 戦後日本の社会保障は、1961年の『国民皆保険・皆年金』の確立が屋台骨となっている。その柱である国民年金は、老後は子供との同居が普通だった時代にできた。単身の高齢者がこれほど増えるとは想定しなかった。家族と同居し、お金は〝お小遣い〟程度あればよかった時代は遠い。
 〈夫婦2人の年金ならなんとか食べていけたけど、夫がなくなった後、一人になったら食べていけない〉と生活保護を受ける80代女性がいる。20年以上保険料を払ったのに25年に満たず無年金、という人も。もはや年金制度は今の時代に合わなくなっているのだ。
 『このままでは2050年ごろの日本には、低年金しかないBBやBJ(貧乏じいさん)があふれる』と、前述・樋口さんが予想するように、貧困老人の問題は、低所得で収入が安定しない非正規労働者が全体の4割近くに達する現役世代の問題でもある。まともな雇用環境整備は、そのまま将来の社会保障でもあるのだ。(藤後野里子)」
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 2015年9月10日号 週刊新潮「激増『老後破産』誰でもハマる危険がある悪いパターン
 定年までに住宅ローンが終わっていない!
 命綱の退職金を取り崩したら赤信号
 年金は親の世代の3割減を覚悟で設計
 生活のダウンサイジングが絶対条件
 第二の人生!『熟年離婚』は破産の一里塚
 いつまでも健康は砂上の楼閣
 マイホームの団欒から孤独な一人暮らしへ一足飛び
 悠々自適の豊かな老後──。たいていの人は現役時代。汗水たらして働きながら、そんな日々を心に描いていたはずだが、真逆の現実に苛まれる人が激増しているという。いまや誰が陥ってもおかしくない『老後破産』。いずれのケースも他人事ではないはずである。
 地球上で養える人口の限界は、一説に80億人だというが、世界の人口は、すでに70億人を超えている。だから、地球規模の視野を持つなら、日本の急速な少子高齢化は歓迎すべき状況のはずだが、われわれ一人ひとりの身に引きつけて考えれば、そんな悠長なことは言っていられない。
 なにしろ、少子高齢化が叫ばれはじめてからというもの、われわれの人生設計に、前例がまったく適用できなくなってしまった。
 たとえば、20年ほど前までは、会社員が定年まで勤め上げれば、退職金と年金で、まずまずの老後をすごすことができ、そのことが働き手にとってのインセンティブになっていた。
 ところが、年功序列で増え続けるはずだった給与も賞与も伸び悩んだ挙句、退職金も雀の涙。年金も支給開始年齢を引き上げられたうえ、想ったほどの金額を受け取れない──と、そんな〝残酷物語〟こそが〝一般的〟になっているのだ。
 いや、それでも、つましい暮らしを維持できればいいが……。『老後破産 長寿という悪夢』(小社刊)という本が今、話題を呼んでいるが、事実、昨日まで豊かに暮らしていた人が〝破産〟同様に追い込まれ、〝悪夢〟としか言いようがない老後を送るケースが、もはや珍しくないのである。
 その要因について、
 『年金の受給額が年々減っていることが大きい』
 と解説するのは、ファイナンシャル・プランナーの紀平正幸氏である。
 『夫婦2人の場合、20年前の受給額は平均して年間300万円だったのが、現在は220万円になったと言われる。つまり、3割近く減ったのです。ところが生活費は、ここ20年ほど年間300万円で変わっていません。つまり、普通に生活するだけで、1年で80万円赤字になってしまいます。60歳の夫婦が90歳まで生きれば、2,400万円の赤字が確定するんです』
 むろん、赤字を補える資産があればいい。だが、それが十分でない場合は、
 『退職金で補填することになりますが、サラリーマンの退職金は平均して2,200万円ほど、すでに200万円不足しているわけですから、潜在的な老後破産予備軍は、かなりの数に上ると考えられます』
 そして、そのすべてを注ぎ込んでも、今や老後の最低限を補うには至らないとはいえ、退職金は、
 『手をつけてはいけない老後の命綱』
 なのだから、『住宅ローンの返済に充ててしまったら、その分だけ命綱がやせ細り、老後破産が近づいてしまいます』
 と紀平氏
 ……
 夫婦のどちらかが病気に
 ………
 社会保障費が負担に
 こうして老後の生活を追い詰められているケースは、はたして例外なのだろうか。明治学院大学社会学部の河合克義教授は、
 『2,012年に東京觥港区の、75歳以上の高齢者を含む2人世帯を調査したところ、高齢者夫婦のみの世帯については、年収250万円未満の世帯が26.3%を占めました。4世帯に1世帯は生活保護水準に近い生活をしているのです』
 そう語って、続ける。
 『同じ港区でその前年、65歳以上の一人暮らしを調査しましたが、生活保護水準である年収150万円未満の人が37%に上った。港区の高齢者の平均所得は全国的にも高いと思われますが、一部の高所得者が平均を引き上げているだけで、貧困にあえいでいる高齢者は大勢いるのです。年金を満足にもらえている人は多くないうえ、年金額自体が引き下げられ、その中から各種の社会保険費などを払わなければいけないのです』
 老後に貧困に陥る人がいかに多いか。そうならないために、あらかじめ生活をダウンサイジングすべきだと説くのは、『老後に破産する人、しない人』の著書があるファイナンシャル・プランナーの中村宏氏だ。
 ……
熟年離婚は妻が陥穽(かんせい)に
 先の紀平氏によれば、
 『熟年離婚によって破産に近い状態になる例もある』
 といい、その際、男性よりも女性、それも専業主婦が危険だという。
 ……
 仮に離婚していたら夫は医療を受けられなかった可能性が高いが、新宿区の戸山団地で、孤独死問題の解決に取り組むNPO法人『人と人のつなぐ会』の本庄有由会長も、
 『最後に頼るべきはやはり、家族や友人ですよ』
 と、こう言う。
 『数年前の春先、ひとり寝たまま亡くなった方がいて、北海道の遠縁の親戚に連絡したら、〝遺品はそちらで整理してください〟と言われました。その後、ベッドのマットレスの下から400万円が出てきたので、再度、同じ親戚に電話すると、慌てて飛んできて、100万円だけ置いて〝このお金でよろしくお願いします〟と言って、300万円を持って帰ってしまった。15日の年金支給日に現れ、2万円、3万円をもらってパチンコに行く息子を持つ老人もいましたね』
 さて、ここまで『いつまでも健康でいられる』という過信が危険だと、いくつも例示してきたが、最後にさる社会福祉法人の理事がこんな事例を指し示す。
 『60代前半のある社長夫人は、夫に先立たれ、同じく夫に先立たれた妹さんと相談して財産を整理し、一緒に施設に入所して悠々自適に暮らしていました。ところが、入所して3年くらいして、お姉さんは妹さんに〝お金がない〟と相談にきた。すると実際、8,000万円ほどあった貯金がほぼゼロになっていた。百貨店に行っては、店員に勧められるままに宝石を買いあさった結果で、医者に見せると、経度の認知症の症状が表れていたのです』
 万全の準備をしたはずでも、認知症という伏兵に不意打ちを食らう──。老後のためにはどれほど用心を重ねても過ぎることはない、という教訓であろうか」
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おひとりさまの老後

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