🚷14〉─3─少子化問題の核心は少母化と低出生率の罠で、その根底は女性差別である。~No.73 

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 2023年3月4日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「日本の出生数「30万人」のキケンな未来…多くの人が知らない、少子化が止まらない「本当の理由」
河合 雅司 
 少子化はもう止められない
 2022年の出生数が70万人台に突入した。
 厚生労働省が発表した人口動態統計の速報値(外国人などを含む)によれば、前年比5.1%減の79万9728人にとどまった。80万人を割り込んだのは1899年の統計開始以来初めてである。厚労省は国内における日本人の出生数を6月にまとめる予定だが、77万人程度と見込まれている。
 こうした状況を受けて、岸田文雄首相は危機感を表明。「少子化のトレンドを反転させるために子ども・子育て政策を具体化し進めて行くことが重要だ」と語った。
 だが、岸田首相がいくら意気込みを語ろうともトレンドを反転させることは極めて難しい。これまでの出生数減の影響で、出産可能な年齢の女性人口が今後どんどんと減少していくためだ。
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 © 現代ビジネス
 メディアには「この数年がラストチャンス」などといった識者の分析が散見されるが、何度も繰り返されてきたフレーズだ。これらもわずかばかりの改善の余地の可能性を述べているに過ぎない。
 「少母化」こそが人口減少の真因
 出産可能な年齢の女性人口の減り方は驚異的である。
 厚労省の人口動態統計によれば2021年に出産した女性の9割近くが25~39歳であるが、2021年10月1日現在の25~39歳の女性人口と、25年後にこの年齢に達する0~14歳の女性人口を比較すると0~14歳は約25%も少ないのだ。
 わずか25年でここまで「少母化」が進んだのでは、「異次元の少子化対策」が講じられて仮に出生率が幾分か上昇しとしても出生数は減り続ける。
 少子化の理由をめぐっては専門家などがさまざまな分析を加えているが、「少母化」こそが真因なのである。しかもこれは構造的な問題であり、政策で何とかなるわけではない。
 多くの人が知らない「低出生率の罠」
 「少母化」と並び、出生数が止まらない深刻な要因がもう一つある。あまり取り上げられることがないが、日本社会が「低出生率の罠」にかかっていることだ。
 「低出生率の罠」といっても多くの人には馴染みがないだろうから、簡単に説明しよう。
 合計特殊出生率の低迷が長期化してハイペースで出生数が激減して行くと、必然的に社会は子どもが少ないことを前提として形づくられていく。
 こうなると、子どもをもつ人々の経済的コストは増加し、いつしか子どもをもつこと自体が負担となり、「損なこと」と受けとめる価値観が定着し始める。こうして人々が子どもを持とうという意欲を失っていく。
 こうした一連の状況を指して「低出生率の罠」と呼ぶのである。
 なぜ子どもをもつ人々の経済的コストが増加するのかと言えば、子供向け産業の需要の減少で説明すれば分かりやすい。
 子ども数が減るということは、マーケットが縮小するということである。一方で新規参入は続いており、マーケットの縮小以上に売上高が減っている企業や教育機関が少なくない。
 こうした状況下で経営を成り立たせるには付加価値をアップして商品やサービスの単価を上げて行かざるを得ず、子育て世帯の家計負担が大きくなりがちなりである。
 出産費用や教育機関の授業料などの値上げが続いてきているのも、「低出生率の罠」の影響を排除できないだろう。
 「低出生率の罠」もさまざまな構造的要因が絡んで起きているため、ひとたびこうした状況に置かれるとそこから抜け出すことは容易ではない。
 日本はすでに「危険水準」にある
 日本の出生数に歯止めはかからないが、この先どれぐらい減っていくのだろうか。
 国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が今後100年近くの推計を行っているので見てみよう。
 社人研の中位推計(現実的な推計)によれば、2065年の日本人の出生数は53万6000人、2115年には30万5000人だ。
 だが、2022年までの出生状況を見る限り実績値はむしろ低位推計(悲観的な推計)に近づきつつある。
 出生低位の推計も確認してみると、2065年の年間出生数は40万1000人、2115年にはわずか18万4000人にまで落ち込む。80万人割れで大騒ぎしているレベルではない減り方だ。日本はすでに「危険水準」に足を踏み入れてしまっているのである。
 にもかかわらず、政府の少子化対策は相変わらず子どもが誕生した後のサポートである子育て支援策がメインだ。あまりに的外れと言わざるを得ない。
 この期に及んで子育て支援策を強化しようとも、出生数の水準を横ばいにすることすらできないないのである。できることといえば、減少スピードを幾分か遅らせることぐらいだろう。それもかなりの年月を要することとなる。
 もちろん、「危険水準」にある今の日本にとっては、出生数の減少スピードを幾分なりとも遅くすることだけでも大きな意味があるので、子育て支援策を「無駄だ」などと切り捨てるつもりはないが、それだけでは不十分だ。
 出生数が減り続けることが避けられない以上、それでも経済成長を実現し、社会を機能させていかざるを得ない。それには社会の在り方やビジネスモデルを大きく変えざるを得ない。
 出生数の減少スピードを遅くするための政策と同時に人口が減り続けることを前提とした政策を展開することが求められているのである。むしろ、こちらのほうが喫緊の課題だと言ってもよい。
 歴代政権は人口が減り続けることを前提とした社会システムの再構築から逃げ続けてきた。国民に大きな痛みを強いることになるためだ。だが、逃げ続けてきた分、そのツケは大きくなってきている。今後数十年だけを考えても、20~30代の若者の激減が避けられない。このままでは、日本は限りなく衰退していくだろう。もはや逃げ場はない。
 政治家たちは、いつまでも子育て支援策を強化すれば何とかなるといった幻想をふりまき続けるのではなく、出生数の減少に歯止めをかけられないという「不都合な現実」にしっかり向き合い、社会の大改造に取り組むときである。
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