🌁59〉─2─高度外国人労働者は賃金の安い日本より賃金の高い中国や韓国を選ぶ。~No.394No.295 

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 日本は世界で信頼されている、日本人は世界で愛されている、はウソである。
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 2023年11月28日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「外国人労働者に選んでもらわないと立ち行かないのに、ますます日本が「選ばれない国」に…優柔不断でピンボケの政策判断しかできない岸田政権の「大罪」
 現代の奴隷制
 「現代の奴隷制度」との酷評もあった「外国人技能実習制度」などの見直しを検討してきた政府の有識者会議は先週金曜日(11月24日)、この制度を廃止して、新制度「育成就労制度」の創設を求める報告書を取りまとめた。
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 だが、目玉と言えるのは、最大の焦点だった別の職場への「転籍」の制限期間を現行の「3年」から「1年」に短縮することを原則として打ち出したことぐらいだ。その目玉でさえ、実際には、「経過措置」を設けて、当分の間は1年を超える制限を容認するよう求めるなど、尻抜けの提言にとどまった。
 周知の通り、もはや、日本は、賃金水準の低さが響いて、外国人労働者から「選ばれない国」になっている。報告の内容は、経過措置を設けることによって、その日本国内でも賃金の低さや過酷な労働条件が仇となって人材の確保が困難になっている非効率企業の経営を支援する枠組みの存続を訴えていることに他ならない。
 これでは、外国人労働者の賃金上昇をテコにして、日本人労働者の賃金を押し上げる効果や、生産性の向上を促す効果、そして国全体の成長を押し上げる効果も期待できないだろう。
 優柔不断でピンボケの政策判断しかできない岸田政権らしい、落第点の外国人労働者の受入制度の改革に終始したと言わざるを得ない。
 今回の提言をまとめた有識者会議は、「外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議」が2022年11月に設置を決めたものだ。政府は、今回の提言をもとに、来年(2024年)1月召集の通常国会に関連法案の提出を目指すとしている。
 こうした見直しの根底には、現行の「外国人技能実習制度」に設けられている転職制限が「現代の奴隷制度」と酷評されるなど、内外から職業選択の自由を制限することへの批判が強まっていた問題が存在したことと無関係ではない。
 加えて、政府に、今なお日本が圧倒的な経済大国という驕りが横たわっていた問題も見逃せない。「外国人技能実習制度」の目的を、「人材育成による国際貢献」と位置付けていた点が、そうした誤認と驕りの象徴になっていた。
 半面、政府部内にも、以前から、国際的な労働市場の実情と日本の問題を適格に把握していた部署もある。例えば、経済産業省が2022年4月にまとめた「未来人材ビジョン」は、「日本は、高度外国人から選ばれない国になっている」との問題意識を明確にしたうえで、「外国人から『選ばれる国』になる意味でも、社会システム全体の見直しが迫られている」と正鵠を射た提言を出していた。
 韓国にも水をあけられる
 日本の問題の根底にあるのは、日本の賃金水準が決して高いとは言えないことである。経済協力開発機構(OECD)が集計した2021年の各国の平均賃金という統計を見ても、日本は4万1509ドルと、先進37カ国の中で25位という低位に甘んじている。この水準は先進37カ国の平均値(5万3416ドル)を下回っているばかりか、お隣の韓国(19位、4万8922ドル)にも水をあけられている。
 発表当時、大きく報じられたことを記憶している人も多いと思うが、前述の「未来人材ビジョン」は、「日本は、課長・部長への昇進が遅い」うえ、「日本企業の部長の年収は、(シンガポールや米国だけでなく)タイよりも低い」といったショッキングな事実も指摘していた。
 実際のところ、日本では、「働き手の中心」と考えられる15~64歳の生産年齢人口の減少が続いており、2050年には5540万人と現状より2割以上も減る見通しだ。日本人の婚姻件数や出産数の回復が見込めない中で、経済の立て直しを目指すとすれば、労働生産性の向上だけでは策として不十分で、併せて、積極的な外国人労働者の受け入れ策の構築も急務となっている。
 この点に関連しては、厚生労働省が11月24日に公表した人口動態統計の速報値(外国人らを含む)で、今年1~9月の出生数(生まれた赤ちゃんの数)が前年同期比5・0%減の56万9656人にとどまっており、このままのペースだと年間の出生数が70万人台半ばに落ち込み、8年連続で過去最少を更新する可能性が高まっている問題も存在する。出生数低下の背景には婚姻数の減少もあり、立て直しが相当困難だ。そうした事情から、外国人労働者への期待が高まっている。
 こうした観点から見れば、今回の「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」の最終報告書には、食い足りない部分が目立つ。
 第一は、避けて通れない問題なのに、端から無視した問題の存在があげられる。今回の報告書で「現行制度と同様、新たな制度及び特定技能制度においては認めないものとする」とされた、家族の帯同は、その代表的なポイントだろう。
 家族の帯同に対する消極的な対応は、安倍元政権以来、外国人労働者の受け入れ問題が議論の俎上に上がるたびに、継続してきた問題だ。
 今なお、この消極的な対応をする裏には、自民党支持層に移民への根強い反発があることへの配慮があるとみられている。とはいえ、諸外国では「外国人労働者の受け入れ」と「移民の受け入れ」は同義の問題だ。このまま無理な使い分けを続けているようでは、外国人労働者から「日本が選ばれる国」になることは覚束ない。
不可思議なこと
 第二に改革したふりをしつつも、実態として現状を維持しようという部分もある。新しい制度の名称を「育成就労制度」とし、目的を「人材育成及び人材確保」とすることは一見したところ見直しだ。が、実際は「単純労働者は受け入れない」という表向きの公約に対する抜け道を引き続き維持しようという目論見がミヱミエになっている。
 報告書が廃止を打ち出した技能実習制度の下では、6月末時点で35万8千人が就労している。が、目的に記されてきた、学んだ技能を帰国後活かして貰う「国際貢献」はほぼイル―ジョンだった。このため、目的から「国際貢献」という言葉を消し去るというのは理解できる。
 とはいえ、目的をなぜ、ストレートに「人材確保」としないのか。不可思議だ。というのは、来日する多くの外国人の目的は「出稼ぎ」であり、雇用する日本の事業者の目的は「人材(労働力)の確保」なのだから、改めるのならば「就労機会の提供と人材確保」が実態に即しているはずである。
 あえて「人材育成」を掲げるのは、「育成中だから」という理由で、「自由な転職を認めない」という本音が透けている。
 加えて、事実上の人材ビジネスを営む監理団体の既得権を擁護し、存続を容易にする狙いもあるのだろう。
 とはいえ、国内事情を優先した姑息な対応にしか映らない。なぜならば、短期的には、国際的な紛争や景気、外為市場の動向などに左右される面が大きいものの、中、長期的な国際労働市場の流動化が止まることは考えにくいからだ。結局のとこと、アジア諸国は経済成長を続けており、日本との国家間で、労働力の奪い合いがこれまでより激化することは避けられないとみるべきだろう。
 「人材育成」に名を借りて、引き続き、転職の自由を制限するようなことを続けていけば、外国人労働者にとって、日本は益々「選ばれない国」になっていく。
 今回の報告書で、国の制度改革がアテにならないことが明確になった以上、大切なのは個別企業の取り組みだ。それぞれが生産性を向上させつつ、並行して賃金水準を引き上げて「選ばれる企業・事業者」になる以外の生き残り策は考えにくい。
 厳しいようだが、全体としての競争力向上や新陳対処の促進を考えれば、対応できない企業や事業者は市場から退出する以外の選択肢はないはずである。
 町田 徹(経済ジャーナリスト)
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