🚷7〉─1─2019年生まれ90万人割れ、毎年50万人減少時代の生き抜き方。〜No.35 

  ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。 プロフィールに情報。 
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2020年1月2日 msnニュース 文春オンライン ©iStock.com 「「2019年生まれ90万人割れ、日本人毎年50万人減少」時代の生き抜き方
 山本 一郎
 政府が不思議とショッキングな言い方で「2019年生まれが90万人割れした」と発表していました。
 実際には、子どもを出産可能な女性の数が減ったので、人口学的に考えれば当然90万人割れしてもおかしくない。2019年の出生数が90万人割れすること自体は、何も不思議でもショッキングでもないのです。
 でも、急に「日本人が減りますよ」と突きつけられたら、みんなビックリしたんでしょう。
鳥取や島根がまるまる一個なくなるぐらい人が減っていく
 それは「すでに起きていた未来」であり、「対策が上手くいかなかった過去」に過ぎないのですが。
 出生数、初の90万人割れへ 推計より2年早く――自然減50万人超・厚労省時事ドットコム
 https://bunshun.jp/articles/-/22081
 私も、東京大学の旧政策ビジョン研究センターで客員研究員をやらせてもらっていた時期に、少子高齢化対策の政策立案のための調査などをやりました。少子化対策社会保障の基本であり、かねてずっと論じてきたところではあるのですが、改めて見ると悩みの深い事情です。
 間違った少子化対策はいつまで続く!? 結婚できず、老後に不安を抱えた中高年を放置する「貧困と孤独」問題は深刻化。これもまた人間の宿命であり現実か
 https://www.minnanokaigo.com/news/yamamoto/lesson29/
 また、人口減少が年間54万人になった、毎年鳥取や島根がまるまる一個なくなるぐらいに人が減っている! とセンセーショナルに語ってはいますが、お前らそれほど鳥取や島根が好きなんですか。どっちが右か、どっちが左か分からないぐらいにしか興味ないんじゃないかと思いますが、比喩として人口が減るネタとして鳥取規模の人口が消えるよと言いたいのでしょうか。
 それを言い始めたら、2028年ごろから100万人単位で人が減っていきます、日本から。そうなると、今年は広島市と同等の規模の人口が減った、今度は札幌市だ、と言い始めるのでしょうか。
 亡くなる高齢者の数に見合う子どもが生まれない
 ただ、人口が減るのは概ねにおいて寿命がきた日本人が亡くなることがほとんどです。高齢者が多いんだから毎年亡くなる人が多くなるのは当然よね。悲しいことだけど、内訳を見ればいままで日本を頑張って支えてきてくださった高齢者が御役御免で神のもとに召されることはまあ仕方がない。問題は、亡くなる高齢者の数に見合う子どもが生まれないこと(加えて、外国からの移民も少ないこと;ただし、移民に関しては是非があります)にあります。
 ところが、昨今のマスコミはどういうわけか「子どもが育てづらいから、もっと養育費にお金を政府は使うべき」「子どもにお金をかけないので、日本は少子化が進む」という、もう1990年代のエンゼルプランのころから否定され続けてきた議論を蒸し返してきて亡国路線な感じがします。
 子どもが増えない理由は「結婚できないから」
 実際には、日本では特に「子育て環境が悪いから(支援が少ないから)夫婦が子どもを産まない」のではなく、「結婚しない(できない)から子どもが増えない」ことが、学術的にはすでに判明しています。
 子育て世代が支援不足に感じるのは、単にその家庭の所得が足りないからであって、少子化対策のために子育て予算を積み増すことはあまり意味がありません。いまいる子どもとその親の世帯が経済的に楽になっても「じゃあ2人目、3人目を産もう」となるかと言われると、ならない。それは、晩婚化による初産年齢が30代になり、3人目の平均出生年齢も40歳間近になれば、お金に余裕があって欲しくてもできなくなっているというのが実情です。
 むしろ所得改善など経済政策の部分であって、子どものいる世帯かいない世帯かを問わず、若い男女の所得(手取り)が増えれば多少は結婚が増えるので子どもが増えるんじゃないかという副次的な要素しかないんですよね。
 これは、「結婚した女性が生涯何人の子どもを儲けるか」という有配偶(者)出生率という指標で見ることができるわけですが、要するに「1960年代から現在2018年にいたるまで、だいたい結婚した女性1人当たり1.8人程度の出生数であまり減っていない」ことが分かります。
 つまり、少子化対策においては「子育て環境を充実させる」ことよりも「未婚の女性に結婚を促す」ほうがダイレクトに子どもが増える、重要な政策であることが分かります。
稼ぎが悪くて子どもにカネがかけられないだけ
 一方、3人目、4人目を産む家庭については、夫婦共同での育児をしているか(夫の家事参加率)や、共働きの有無、所得の問題などが絡んできます。3人目の子どもを控える夫婦の理由で「経済的な理由」が跳ね上がるあたりで、ようやく「子育てしやすい環境がないので3人目を諦める」という問題になってきます。
 ところが、巷には相変わらず「子育てがしにくい環境だから、子どもが増えないのだ」と考える国民が多くいます。いや、それはあなたの稼ぎが悪くて子どもにカネがかけられないだけだから。ひどい場合だと、自治体が保護者にわずかな負担を求める給食費ですら、四の五の言って払わない親がいるのは、子どもの貧困の問題ではなくて、子どもの親のカネの使い方の間違いだと思うんですよね。たとえ生活保護でもパチンコや飲酒喫煙なども含めて使途が自由であるのは大前提であるとはいっても、未来ある子どもが栄養不足で体格が良くなくなるとか、人として本末転倒じゃないかと思います。
 実際には、公共サービスで子どもの出生や育児、教育に対する負担額はどこの自治体でも概ね子ども一人当たり年間120万円ぐらいかかっています。財布から出ていかないから気づいていないだけで、駅にはベビーカー用のエレベーターが増えたりバリアフリー工事が補助によって行われ、子どもは安い費用で保育園に預けられ、義務教育下で公立小学校に入れることができ、安い費用で給食を食べることができます。
 もっと子育て世帯に補助を、と言いたいのは分かるのですが、人口減少の理由は「人口構成上、ベビーブーム世代の団塊Jr.が概ね出産適齢期を過ぎた」「結婚しない女性が増えた」「出生するのが平均31歳になってしまい、人口増加までの期間が長くなった」の3点でほぼ言い尽くされる事象です。
 厚労省が発表した「令和婚で出産を先延ばしにした」というのは副次的な理由だと思いますが、現実に、平成31年から令和元年に切り替わる5月1日までの出生数がどうも劇的に減ったのが理由とされます。速報値では8%ぐらい減少したんじゃないかと言われていますが、まあ実際に減っているので、どうしようもないんです。
 所得の低い男性と結婚するぐらいなら
 また、出産年齢が上がったので子どもが増えないというのも正しくて、1965年の初産年齢は平均25.7歳でしたが、いまは31歳ぐらいです。25年ごとに新しい世代が生まれる半世紀前と、31年ごとに子どもができる現在とでは、出生数に差が出てくるのは当然です。2人目3人目が欲しくても、お母さんが40代に差し掛かってしまったので母体の健康やダウン症のリスクを考えて見送った、という家庭は少なくないと思います。初産が若いほうが、子どもを多く生む可能性が高まるのは当然のことと言えます。
 というわけで、日本の出生率をめぐる議論は閉塞感に満ちているわけですけれども、ここで政策面を考えてみましょう。
 何よりも、出生率に効く国民の行動は「経済的に安定していて」「結婚をしていること」になります。
 しかしながら、結婚できない理由の一番大きいものは、経済的な理由というよりは、自分に相応しい相手がいないというとぼけた項目がトップです。
平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)
 https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h26/zentai-pdf/index.html
 もう30代を過ぎたのにイケメン20代の年収600万男性を追い求める女性や、色白デブの中年男性が20代女性と結婚したいとほざくのは非常に一般的になり、「理想の結婚相手に恵まれないなら独身でいいや」と自己決定する人たちが少なくないとも言えます。
 一方、結婚や恋愛についての希望が失われている側面もあります。親の世代は結婚して子どもを儲けることで、より良い生活が送れるという希望がありました。いまの若い人は直接の経済的理由ではないまでも「結婚したところで、生活は苦しいままなのではないか」と億劫になる部分もあるのでしょう。女性の社会進出が進むと、女性が生涯未婚でも自活できる社会制度が整いつつあり、所得の低い男性と結婚するぐらいならば未婚のままキャリアを積んだほうが良いと考える女性も増加しそうです。
 経済力のある男は複数回結婚する
 また、いまや離婚が当たり前となり、キャリアと経済力のある男性は特に複数回結婚する「時間差一夫多妻制」が徐々に増えてきています。女性は概ね若くて初婚の傾向が強いとなると、必然的に結婚できない、結婚を諦めざるを得ない男性は社会に取り残されていくことになります。男性の生涯未婚率がまず上がり、やがて社会進出を果たした女性が未婚傾向を強めると、出生率に重大な影響を及ぼす結婚の絶対数が減り、日本の出生率は1.4台を続けることになるのです。
 そうなると、政策的に打てる手は少なくなってきます。民主主義的な世の中で、結婚したいけど相応しい相手が見つからないと思っている日本人に「いいからおまえはさっさと結婚しろ」と政府や自治体が言うわけにもいきません。せいぜい水飲み場ラクダを連れて行くように出会える環境を作ってあげることぐらいまでで、そこから先は若い人が、ご自由に、という話しかできません。
 民主主義の社会で、自己決定権が大前提になれば、結婚を社会的前提としていた時代と違い「こんな私に見合わないレベルの人ばかりなら、私は結婚しないでずっと独身でいたい」と思う女性が出るのも当然です。一方で、40代になった独身女性が、結婚して出産しなかったことを後悔しているさまを目撃しますが、それはもう第三者からすればどうしようもないことであり、いわんや政府をや、ということになります。
 政府の少子化対策が失敗に終わったと酷評されるのは、単純に国民に対して「結婚しろ」「子どもを産め」と強制することはできないからです。地縁血縁で結婚相手を押し付けるような戦前の結婚観は現代からすれば問題ですが、出生率の改善という観点から本当に解決を目指すのであれば無理矢理結婚させるか、結婚しなくても子どもが育める環境や技術が大事になってきます。
 昔ながらの日本の大家族制度があれば……
 そして、結婚サービスのデータなどを見る限りでは、もう手遅れな男女は少なくないのが現状です。性格が駄目、所得が駄目、健康面で駄目、年齢でもう全然駄目という人たちは、結婚できる見込みはほとんどなく、もう最後まで一人で生きていかなければならない状態で、人生も折り返し地点になって気づいて婚活に慌てることになります。本来であれば、もっと若くから学校で「結婚できる程度には身だしなみをきちんと清潔にして、家庭を養えるぐらいの経済力を持てるようスキルを磨きましょう」と教育しなければいけないんじゃないかと思うぐらいに。
 また、戦前から戦後まもなくまで、そのような結婚を前提とした出生と子育て、教育という環境を社会的に成り立たせていたのは、昔ながらの日本の大家族制度でした。いまは核家族が世帯の中心になり、しかも夫婦で働きに出ないと生活していけない環境になってしまったので、子育ての環境を今度は家庭ではなく税金で作った施設で整えなければならなくなりました。
 祖父・祖母の支援が子育てで必要な状況のはずなのに、地域でも顔見知りの少ない若い夫婦が、時短勤務で同僚の冷たい目線に包まれながら幼い我が子を施設に送り迎えするような環境が果たして良いのかどうかは、ちゃんと議論したほうがいいと思うんですよ。ちっちゃなリュック背負って満員電車で親に手を引かれながら乗っている幼稚園児を見ていると、私も「どうにかしてあげられないか」と感じます。
 もちろん、もともと人類というのは共同で子育てしていたという話もあるわけなんですが、顔見知りですらない地元の人たちに我が子を預けて働きに出ることが、家庭を守ることに繋がるのかと悩む夫婦に選択肢を用意することは大事なんじゃないかと思います。なぜか保育園無償化の話が出て、本来ならば希望者は全員保育園に入れることができ、保育園に我が子を預けることを希望しない人にも同様の支援が得られるような選択を与えることが大事なのに、いまや「子どもを施設に預けて働きに出ないと損」という謎のモチベーションが起きていることは凄く気になります。
 ましてや、私などは4人子どもがいますが、上が小学生、下が赤ちゃんとなると、じゃあ全員預けて働きに出てよいのかという問題に直面しますし、保育園・幼稚園までは全入だなんだといっても、小学生になってしまうと学童保育で夕方までどこかの施設で過ごす子どもが増えてきます。もしも日本が本気で3人目、4人目も目指して子どもを産んでほしいと願うなら、施設に預けて働きに出る親と同様に、在宅で子どもの面倒を見ている親でありたいという権利もまた、守られなければなりません。こう書くと、専業主婦擁護だと思われることもあるわけですが、でも働くより複数の子どもの面倒を見るほうがはるかに重労働な時期もあるのですよ。
 それらは、社会で子どもを適切に育てるというよりは、子育て支援の名目で子どもを儲けることのできなかった独身世帯から子育て世帯に理由なく所得を移転する類の「独身税」とでも言うべき状況になっているんじゃないかと思うんですよね。独身は別に犯罪でもないのですが、社会的にさしたる保護もされず、おひとり様扱いされるというのは社会からも家庭からも切り離された存在になってしまうという意味で悲しいわけですよ。しかも、歳がいってから気づいてどうにかしようにも、どうにもならないという。
 これは役目を終えた日本人が長い休みを取るプロセス
 最後に、毎年50万人日本人が減るので危機的だ、と言われることもまた多いわけなんですが、実際に亡くなるのは冒頭に述べたように基本的に高齢者ばかりです。生産人口から外れ、余生を送った高齢者が神のもとに召される話であって、生産人口が減るわけではありません。社会はどんどん老いていき、日本は衰退が止まらないのは事実としても、これからの人口減少は役目を終えた日本人が長い休みを取るプロセスで必ず起きることです。
 そして、2040年には高齢化の波はピークを迎えます。社会的に辛いのはここまでで、あとはゆっくり日本人が減りながらなだらかに6,000万人を目指していきます。日本が衰退する、怖ろしいという理由は、半分になる人口ではいまの日本がやってきた「経済大国として、国防以外のあらゆる産業、すべての社会制度を維持することができなくなる」というだけです。フィンランドがいい、スウェーデンが素晴らしいと言っても、フィンランドには500万人、スウェーデンには1,000万人しかいないんですよ。
 国民に自己決定権が行き渡った結果
 日本の場合、中央集権で永田町と霞が関で1億2,000万人を同じ法律、同じ制度、同じ税制で束ねてきたから非効率であっただけで、戦後の体制が持たなくなったら各地域で特色にあった政策を実現できる環境ができれば、別にいまからでも何も問題なく社会を運営していくことは可能であろうと思います。
 何より、高齢化のピークが過ぎる2040年以降は、病院ではベッド数が余り、医師も過剰になって、高齢化問題による負担は嘘のように軽くなっていきます。20年後だけど。未来に希望が持てないのは、高齢者をお世話しても劇的に回復するわけでもないという介護や医療の仕事に、才能のある日本の若い人たちがたくさん突っ込まれ、さして国際競争力も社会的生産性もない仕事に100万人単位で従事しているからです。日本でトップオブトップの学力を持つ人が医師を目指すのは、国家資格で手堅いスキルを身に着けられ、相応に高い所得が保証されるので親がそう仕向けるからであって、本当に毎年1万人も高コストな医師を養成し続けていいのか、という議論はもっとするべきだと思うんですよ。
 だって、2019年生まれが90万人切ったんでしょ。このまま年間1万人医師を養成するぞとなると、90人に1人が医者になってしまう時代になってしまいます。医療に従事する人は献身的に働いていますが、それは高齢者が人口比で増え続けてきたからで、団塊の世代が鬼籍に入り、高齢化の波が過ぎてしまえば一気に暇になってしまう可能性すらあります。
 単に「お前ら子どもをもっと儲けろや」という直線的な話ではなく、私たちの家族観、社会観と、経済状況も含めた社会保障全体を覆う問題なのであります。これは政府が無策だったというよりは、民主主義的な世の中で国民に自己決定権が行き渡った結果、変なのと結婚したくないと思う人たちが盛大に婚期を逃して独身のまま来ちゃったというのが現実です。
 これから改めていく必要がある社会制度
 何より、私たち人類は生物なのであって、社会保障だ国力衰退だと言う以前に「子孫を残す」ことが神から生命を与えられた一丁目一番地の使命であるとも言えます。本来は、何のために生き抜くのかと言われれば、子孫を残し、子を育み、健康で幸せに暮らしていくことにあります。しかしながら、それができない人たちもまた、幸福を追求する権利がある以上、政府が結婚を強い、子どもを無理矢理作らせることはできません。
 「生きる目的とは何か」という哲学の不在が、結果としていまの日本の社会問題を生み出し、余計な論争をし、子どもは生まれず社会は衰退しているのかもしれません。私たちの子どもの世代に、いまの日本社会をどうより良く引き継ぐのか。また、子どもが残念ながらいない人にも、子どもや親の世代を頑張って支えている勤労世代にも、納得のいく社会制度に改めてゆく必要があるんじゃないかと毎回、この手の問題を考えるたびに思います。
 何より、この人口減少が問題になる令和元年、第4子となる長女が生まれて半年ほど経って、私も46歳。もう2人3人欲しくて家内に頑張ってもらえるかどうか……という状況でして、ああ、長生きしなくては。」(山本 一郎)
   ・   ・   ・    

¥21〉─1─デジタル通貨、競争加速へ。周回遅れの日本。〜No.106No.107 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2019年12月29日 msnニュース 時事通信社「デジタル通貨、競争加速へ=覇権争い絡み国家主導も
 【ワシントン時事】米フェイスブックが発行を計画する「リブラ」をきっかけに関心が高まったデジタル通貨。国際決済銀行(BIS)によれば、世界の63中央銀行のうち7割が強い関心を示している。国家が主導するデジタル通貨は、基軸通貨ドルに対抗する存在になる可能性もあり、覇権争いも絡んでマネーのあり方を問い掛けそうだ。
 ◇リブラが突き付けた課題
 デジタル通貨は現金をデータ化、スマートフォンなどで手軽に決済や低コスト送金ができる。一般的にはドルや円といった法定通貨が裏付け資産となり、海外にも送金できる点が、企業が独自に発行する電子マネーやポイントと大きく異なる。
 リブラは、銀行口座を持たない人も金融取引ができる半面、テロ組織への不正送金防止策などの不備が問題視された。世界で20億人超に上るフェイスブック利用者に一気に普及すれば、「国家が発行する通貨に取って代わり、主権が脅かされる」(中銀首脳)との警戒感もあり、来年前半の発行計画に各国当局のストップがかかった。
 ただ当局も「海外送金コストや決済時間がかかる現状を改善する必要がある」(黒田東彦日銀総裁)と、リブラが突き付けた課題を認める。世界銀行によれば、移民らによる今年の国際送金は7070億ドル(約77兆円)と、10年前の約2倍になる見通し。送金コストは平均6.8%で、日本は10%にも上る。
 ◇中国は実用化へ
 リブラ問題を受け、中銀が国家の信用力を裏付けにしたデジタル通貨の発行を検討する動きが加速している。先行するウルグアイスウェーデンに続き、中国が実用化の最終段階に入った。欧州中央銀行(ECB)も検討に着手した。
 特に中国は、同国が主導する「一帯一路」の経済圏で、実質的なデジタルドルであるリブラが先に普及する事態を警戒。「デジタル人民元」の導入は「すぐにもできる」(中銀幹部)として、マネーの覇権を争う姿勢をにじませている。
 一方、基軸通貨ドルを発行する米国はデジタル化の可能性に「今後5年は不要」(ムニューシン財務長官)として、現時点では静観の構え。米財務省幹部は「一帯一路の経済圏がドル抜きに成り立つとは思わない」と、中国が狙う元の国際化に懐疑的だ。ただ、研究は必要だと話す。
 中銀がデジタル通貨を発行すれば、リブラなど民間のデジタル通貨と競合するほか、市中の銀行を衰退させかねない。個人や企業の取引情報をすべて把握する「監視経済」になるとの懸念もある。
 日銀もデジタル通貨に関し、法律面や金融政策への影響を含めて研究している。ただ、日本は現金志向が強く「国民が発行を求めているとは考えていない」(黒田総裁)状況だ。主要デジタル通貨をめぐる覇権争いで欧米中に取り残される恐れもある。」
   ・   ・   ・   

🚷6〉─3─現代日本人は出生数90万人割れという少子化への危機感足りぬ。〜No.32No.33No.34No.35 

  ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。 プロフィールに情報。 
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 現代の大人の最大の関心事は、自分だけの老後であって、次世代の子供や孫の将来ではない。
 その証拠に、国家財政の赤字が1,100兆円を突破し、毎年約40兆円の赤字が増えていく。
 そして少子高齢化による人口激減によってさらに深刻化していく。
 問題なのは、今ではなく、30年後、50年後である。
 その頃には、今も大人の半分以上が借金だけを膨らませて死んでいる。
・・・
 2019年12月27日 産経新聞「【主張】出生数90万人割れ 少子化への危機感足りぬ
 ■人口減に見合う豊かさ追求を
 少子化が止まらない。今年国内で生まれた日本人の数は明治32(1899)年に統計を取り始めて以来初めて90万人を割ることが厚生労働省の推計で分かった。
 人口減少も深刻である。死亡者数から出生数を差し引いた人口の自然減は51万2千人と、こちらも初めて50万人の大台を超えた。わずか1年で鳥取県が消滅するほどの減少である。衝撃は大きい。
 まさに国難である。うまく対応できなければ、日本の国力は確実に衰退へと向かうだろう。
 人口減少の勢いを少しでも抑えるため、まず少子化対策に万全を尽くすべきは当然である。
 それでも今の人口構成では、長期的に人口が減る傾向は変わらない。この厳しい現実から目を背けるわけにはいかない。
 人口が減っても豊かさを享受できる社会をいかに構築するか。そのための大胆な発想の転換も、同時に図らなければならない。
 ≪政治の怠慢は許されぬ≫
 推計によると、出生数は86万4千人となる。厚労省の研究機関は当初、86万人台は令和3年と見込んでいた。現実はそれより2年早い。少子化が加速している。衛藤晟一少子化担当相は「驚異的な数字が出てしまった。相当思い切った手を打つことがどうしても必要だ」と語った。
 こうした事態を招いた原因の一つには、政治の怠慢もあった。
 平成元(1989)年には1人の女性が生涯に出産する子供の推定数を示す合計特殊出生率が1・57となり、丙午(ひのえうま)だった昭和41(1966)年の1・58を下回った。「1・57ショック」である。
 だが、当時はバブル景気に浮かれた楽観論が横行した。
 戦後日本の経済成長を支えた原動力は潤沢な労働力である。その担い手として社会を支える生産年齢人口(15~64歳)が90年代をピークに減少に転じた際も危機感は高まらなかった。
 ここから得られる教訓は、根拠のない楽観論を排することだ。
 厚労省によると、今年の出生数が減ったのは、改元がある5月に結婚を遅らせた人が多く、出産時期が後ずれした可能性があるという。その分、来年以降は回復するとみているなら甘すぎる。過去の反省が生かされていない。
 安倍晋三政権は平成27(2015)年、少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も1億人の人口を維持する目標を設定した。「1億総活躍社会」である。それでも少子化が加速した事実を政府は厳しく受け止めるべきである。
 少子化の大きな要因は晩婚化による未婚者の増加だ。ライフスタイルの変化や、低収入などによる将来不安が背景にある。女性の場合、育児休暇をとりにくい職場だったり、産後、職場に戻ってもキャリアアップを望めなかったりすることも大きい。出産に二の足を踏むのも当然である。
 昨年度の育休取得率は、80%を超える女性に対し、男性の取得率は約6%だった。企業には、育休取得や定時退社しやすい職場環境をつくる意識改革が必要だ。
 保育所を増やして待機児童を減らす取り組みも引き続き重要である。幼児教育の無償化だけではなく、保育士を確保できるよう待遇改善を図る必要がある。
 ≪2人目以降を支えたい≫
 抜本的な対策として、2人目の子供を産めば児童手当を倍増するなどの支援策や、第3子以降に高額の報奨金を支給するなどの思い切った施策も検討してほしい。
 巨額の財源が必要だが、それほど少子化は深刻だという認識を共有することが重要だ。社会全体で結婚、出産、子育てを支え、多くの人が子供を産んで育てたいと思える環境を整える必要がある。
 少子化対策と並行して進めるべきなのが、人口減少時代に対応した社会構造の変革である。
 例えば、地域ごとに多くの人が近くに集まって住めるような町づくりをする。これにより高齢者を含む人々が徒歩圏内で日常生活を営めるようにならないか。
 このまま人口減が進めば、多くの地方自治体が立ちゆかなくなるとも指摘される。全国の隅々までまんべんなく行政サービスを提供し、公共施設を整備することが難しくなるのは自明である。
 人口減を避けられない前提と考えて国や社会のあり方を根本から変える。その覚悟がなければ、日本の危機は決して乗り越えられないと考えなければならない。
   ・   ・   ・   

¥39〉─1─中国企業のカジノを含む統合型リゾート施設(IR)参入に手を貸す日本人が逮捕される。〜No.200No.201 ㉑ 

   ・   ・    ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
 2019年12月17日 産経新聞「IR参入めぐり資金移動か 特捜部、中国企業捜査
 自民党の秋元司衆院議員(48)=東京15区=の元政策秘書らの自宅が外為法違反容疑の関係先として東京地検特捜部の家宅捜索を受けた事件で、多額の現金を無届けで国内に持ち込んだ疑いがあるのは、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)への日本参入を目指していた中国企業の元役員らだったことが17日、関係者への取材で分かった。特捜部はIRに絡む資金移動の可能性があるとみて、IR担当の内閣府副大臣だった秋元氏の元政策秘書らを事情聴取するなど捜査している。
 関係者によると、中国企業深センに本社を置き、インターネット上でゲームやスポーツくじなどを提供する事業を展開。平成29年7月に東京都内に日本法人が設立され、同年頃に元役員が現金数百万円を無届けで国内へ持ち込んだ疑いがあるという。外為法は100万円を超える現金を持ち込む場合は税関への届け出を義務付けている。
 日本では28年12月にIR推進法が成立し、候補地選定をめぐり、誘致レースが本格化していた。
 中国企業は29年8月に那覇市で開いたシンポジウムで、IR進出を検討していることを表明。30年1月には、北海道留寿都(るすつ)村でリゾートを展開する札幌市の観光会社が、この中国企業からの投資を受けてのIR誘致計画を発表した。
 北海道は、複数候補の中から留寿都村ではなく、新千歳空港に近い苫小牧(とまこまい)市を優先候補地としていたが、鈴木直道知事は今年11月、環境への配慮などを理由に見送りを表明していた。
 秋元氏は28年の臨時国会衆院内閣委員長としてIR推進法の成立に関わったほか、29年8月から30年10月まで内閣府副大臣を務め、IRを担当。中国企業那覇市で開いたシンポジウムでは、IRに関する基調講演を行っていた。
 特捜部は今月7日、東京都内にある秋元氏の元政策秘書と元私設秘書の自宅などを家宅捜索し、任意で事情聴取。10日以降には北海道庁にIRに関する資料提出を求めたほか、留寿都村幹部からも事情を聴くなどして調べている。」
   ・   ・   ・   
 12月19日 産経新聞「秋元氏の議員会館事務所 係官7人が捜索 詰めかけた報道陣で騒然
 秋元司衆院議員の事務所がある衆院議員会館前に集まった報道関係者=19日午前
 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)への日本参入を目指していた中国企業の元役員が多額の現金を無届けで国内に持ち込んだ疑いがある外為法違反事件に絡み、東京地検特捜部は19日、自民党の秋元司衆院議員(48)=東京15区=の地元事務所に続き、東京・永田町にある衆院第1議員会館の事務所の捜索に乗り出した。東京地検の係官7人が午前11時25分ごろ、会館5階にある秋元氏の事務所に、会館の職員に付き添われて入った。
 疑惑の報道以降、事務所前には連日、報道陣が詰めかけており、周囲は騒然とした雰囲気に包まれた。捜索に先立つ午前11時前、事務所前に会館の警備員が配置され、会館内では写真撮影が禁じられているなどの注意事項が告げられると、報道陣の間に緊張が走った。
 秋元氏と同じフロアにある事務所の秘書は「連日、たくさんの記者が来て物々しい雰囲気だった。とうとう捜索が入ったのか…」と困惑した様子で話した。」
   ・   ・   ・   
 12月25日17:17 産経新聞「秋元議員逮捕でIR事業者に波紋 中国企業との違い強調
 2018年7月、参院内閣委でカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案が可決され、一礼する石井国交相。右は秋元司国交副大臣
 統合型リゾート施設(IR)担当の副大臣だった自民党衆院議員、秋元司容疑者(48)や日本へのIR参入を目指した中国企業幹部が25日に東京地検特捜部に逮捕されたことの波紋は、参入を計画しているIR事業者へも広がった。ただ、大阪府・市への進出を表明している米大手事業者は「政治家との会合は公明正大だ」とするコメントを発表するなど、逮捕された中国企業との違いを強調。今後もコンプライアンス(法令順守)を重視しながら、日本のIRへの参入を目指す考えを示している。
 「今時、賄賂で思い通りにいくことなんてない。残念なことをしたという印象だ」。あるIR事業関係者は、贈賄容疑で逮捕された中国企業についてこう語る。そのうえで「当社では誠意をもって自治体と対応しており今後も粛々と進めたい」と強調した。
 別の関係者も「逮捕された中国企業はIR企業ではないので名前も聞いたことがなかった。今後の国内のIR開業などに悪影響が出ないといいが」と話した。
 大阪への進出に名乗りを上げている米IR事業者のMGMリゾーツ・インターナショナルは、法令に違反しない経営姿勢を強調する。日本法人のエド・バワーズ最高経営責任者(CEO)は、「IRに関して意見交換を目的とする政治家や政府関係者との全ての会合は、厳格なガイドラインを順守し、公明正大に実施している」とするコメントを発表。「IR事業者の中でも最も厳しい法令順守と企業統治の基準と規約を設けている」とアピールする。
 大阪府・市のIRをめぐっては、同市内で昨年7月に開かれた天神祭で、大阪府・市のIR誘致関連業務を請け負うコンサルティング会社の社員が、MGMが用意した船で飲食の提供を受け、府・市がコンサル会社を注意する事態となった。法令や契約上の問題はなかったが、この事態を受けて、府・市IR推進局は「疑念を抱かれるような行動は慎むべき」とし、事業者との癒着の防止に細心の注意を払っている。」
   ・   ・   ・   
 12月26日 22:00 産経新聞「IR汚職、首相は記者団に答えず 政権発足7年に沈滞ムード 
 衆院議員の秋元司容疑者(48)=東京15区=が収賄容疑で逮捕された汚職事件は与野党の明暗を分け、安倍晋三首相は26日、平成24年12月の第2次政権の発足から7年を迎えたが、政権内に晴れやかさはなく沈滞ムードが漂う。一方、野党は「安倍1強」の潮目が変わりつつあるとみて追及を本格化させた。
 「これからも初心を忘れずにしっかりとやっていきたい」。首相は26日午前、官邸に入った際、第2次政権発足7年の感想を記者団に問われ、こう答えた。ただ、秋元容疑者の逮捕に関する質問には応じず、無言で去った。
 菅義偉官房長官は記者会見で「内閣府副大臣だった時期における収賄の疑いで逮捕されたことは大変残念だ」と述べたが、捜査中を理由に詳細なコメントは避けた。カジノを含むIR(統合型リゾート施設)の整備に与える影響については「IR実施法などに基づいて慎重な準備は進めていきたい」と語り、整備方針に変更はないと強調した。
 一方、意気が上がるのは野党だ。立憲民主や国民民主、共産など主要野党は26日、内閣官房の担当者らを国会内に呼び、報道陣の前で聴取した。出席議員からは「真相解明に協力しないのか」「かばっている」などと厳しい指摘が相次いだ。
 立民の枝野幸男代表は記者会見で「カジノは反社会的勢力の悪用も含めて、やるべきではないと言ってきた。法制定のプロセスから進めていた人間が反社会的勢力だった」とカジノ推進派を「反社会勢力」と位置づけて糾弾。さらに「カジノそのものの正当性が根底から覆った問題として、年明け以降もしっかりと(追及を)やっていきたい」と意気込んだ。
 事件をめぐっては、自民党白須賀貴樹衆院議員、勝沼栄明(しげあき)前衆院議員の地元事務所にも家宅捜索が入り、広がりを見せている。立民の安住淳国対委員長は記者団に「これまでにない異様なことだ。単に秋元容疑者が逮捕された事件ではなく、疑獄に近い形になってきた。相当の態勢を組んで本格的な追及を始めていきたい」と述べた。
   ・   ・   ・   
 12月26日20:39 産経新聞中国企業側、IR枠拡大を要望 現金渡した半年後、便宜期待か
 「500ドットコム」が開いたシンポジウムで講演する秋元司衆院議員=2017年8月4日、那覇市(IR専門メディア「カジノIRジャパン」提供)
 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件で、中国企業「500ドットコム」側が、内閣府のIR担当副大臣だった衆院議員の秋元司容疑者(48)=収賄容疑で逮捕=に現金300万円を渡した半年後、IR整備区域を増やすよう要望していたことが26日、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は、同社側がIR参入での便宜を期待して賄賂を渡したとみているが、賄賂の授受と要望の時期が離れていることから関連を慎重に調べている。
 秋元容疑者はIR担当の内閣府副大臣だった平成29年9月、同社のIR事業で便宜を受けたいとの趣旨だと知りながら、東京都内で現金300万円を受領するなどした疑いがある。
 IR整備区域の上限数について、政府与党内では経済効果を考慮して「少なくとも4、5カ所」とする自民案と「2、3カ所」とする公明案が対立していた。
 関係者によると、北海道留寿都(るすつ)村でのIR参入を目指していた「500」社の元顧問の紺野昌彦容疑者と(48)と、仲里勝憲容疑者(47)らは30年3月ごろ、IR参入の可能性が高くなるよう、秋元容疑者に面会やメールなどで上限数を「なるべく多く」「5カ所に」などと要望したという。
 だが同年4月に政府与党は「3カ所」とすることで合意。7月に成立したIR実施法で正式に決まった。
 一方、特捜部は26日、事件の関係先として東京都内の大手パチンコチェーン本社を家宅捜索した。」
   ・   ・   ・  

🧣17〉─1─ヤンキーも逃げ出す「超おバカ社会」がニッポンにやってくる。〜No.50No.51No.52 ⑮ 

  ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。 プロフィールに情報。 
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 iRONNA編集部
 ついに始まった人口減少クライシス
 96万2607人。この数字は、過去5年間で減少した日本の総人口である。かたや、昨年生まれた子供の数は、1899年の統計開始以来初めて100万人の大台を割った。2つの数字は、日本が本格的な人口減少時代に突入したことを意味する。私たちは未来を揺るがすこの危機とどう向き合えばいいのか。
 徹底的な悲観論で説く
 2014年7月、佐賀県唐津市で行われた全国知事会で各知事と意見交換する日本創生会議の増田寛也座長(前列左端)
 JR水戸駅北口から続く商店街もシャッターが目立ち、人通りは少ない=2015年6月(桐原正道撮影)
 ヤンキーも逃げ出す「超おバカ社会」がニッポンにやってくる
 『山田順』
 山田順(ジャーナリスト)
 今年(2017年)になって再び、人口減社会が大きくクローズアップされている。それは、昨年10月、総務省が発表した2015年国勢調査の確定値で、日本の総人口が初めて減少に転じたことが明らかになったからだろう。すでに、住民基本台帳による調査人口は、2008年をピークに減少に転じていた。しかし、今回の発表でそれが決定的になったのである。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の人口2040年代に1億人を割り込み、2060年に8674万人に減少するという。
 人口減社会に関しては、「楽観論」と「悲観論」が交錯している。楽観論では、人口が減っても経済成長は望める、今後のイノベーションによって生産性が向上すれば経済は維持できるという。日本はその潜在力が十分にあるという。
 しかし、これは少数意見であり、悲観論のほうが圧倒的に強い。人口減少は経済成長を不可能にし、なにより税収減により社会保障とインフラ維持を困難にさせる。日本はこのままでは衰退せざるをえないというのだ。
 日本政府も悲観論の立場で、そのため、なんとか現状を維持できないかという対策を取ってきた。しかし、それは消費税の増税や年金支給額の縮小など、ほとんどが単なる対処療法だから根本的な解決にはなっていない。女性が活躍する社会、高齢者の活用なども同じだ。
 また、成長戦略というのも、成長しそうな分野に税金を投入するという旧態依然たるバラマキだから、ほとんど期待できない。
 かくして、年々、悲観論が強まってきた。
 2年前に元総務相増田寛也・東大客員教授が座長を務める日本創成会議が、2040年には全国の市区町村の半分にあたる896自治体が人口減により消滅の危機を迎えるという予測を発表して以後は、とくにそういうムードになっている。いまのところ、2020年に東京オリンピックがあるということで、悲観的未来は先送りされているが、それは見たくないものは見ないですませたいという心理があるからにすぎない。未来は、まったく明るくない。
 じつは、私も悲観論に立っている。というより、このままだとそうならざるをえないと考えている。そこで本稿では、徹底的な悲観論で、日本の人口減社会の行く末を考えてみたい。
 これまでに私は、人口減社会を扱った本を2冊書いている。1冊は『人口が減り 教育レベルが落ち 仕事がなくなる日本』(2014、PHP研究所)で、もう1冊は『地方創生の罠』(2016、イーストプレス)だ。このうち、後者では、人口減で衰退する地方が、現状ではどうやっても衰退を免れない。アベノミクスで掲げた「地方創生」策は、完全な愚策で、地方の衰退を速めるだけだということを指摘した。
 これまで、日本中で「まちおこし」や「地域活性化」が行われてきた。アベノミクスはこれを言い換えて、「地方創生」としたが、なんら有効な手は打っていない。というか、有効な手、アイデアなどないと言っていい。
 人口減を食い止め、市町村がさびれていく現状を食い止めるには、端的に言って「女性がもっと子供を産む」か「他地域から住民を引っ張ってくる」(移住促進)しかない。しかし、経済が衰退していくなかで、子供を育てることが高コスト、高リスクになる社会では、女性は子供を産まない。
 移住促進と言っても、たとえそれに成功したとしても、それは日本国内の人口移動に過ぎない。国外からの移民ではないのだから、日本全体としては人口減が解消しない。
 現在、日本中で地方創生が行われている。その結果、「ゆるキャラ」が乱立し、「B級グルメ」が全国規模で誕生した。「ふるさと納税」などというバカバカしい制度(税金を右から左に移すだけ)もでき、さらに「地域振興」と称して「プレミアム商品券」というマヤカシにすぎない金券がばらまかれるようになった。
 また、中央からコンサルや代理店が出向き、シャッター通りの活性化案、地方発のベンチャー支援策、移住促進プランなどを提案すると、それに自治体は予算をつけて、かえって財政の悪化を招いてきた。
 これが行き着く先は、一部の「勝ち組」自治体と、多くの「負け組」自治体の誕生だ。全国規模で同じ競争をやれば、必然的にこうなる。そして、負け組自治体からますます人が出て行き、衰退が速まるだろう。2007年に財政破綻した夕張市がいい例だ。
 楽観論者に言わせると、人口減少は一時的なもので、社会の変化により、また人口が増えるときがやってくるという。たしかに19世紀までの歴史ではそうなっている。しかし、それ以後、産業革命と資本主義によって人類人口が爆発的に増え、その結果として、20世紀後半から先進国で少子化が起こった。そして、その最先端を行く日本で人口減少が始まった。
 つまり、今後、同じ歴史は繰り返されない。イノベーションはさらに進み、資本主義は続くのだから、人口減少は止まらないと考えた方がいい。しかも、IT革命、第4次産業革命(インダストリー4.0)が進むなか、もはや人間自体が価値を失いつつある。
 AIとロボットがなんでもやってくれる世の中で、労働力としての大量の人間が必要だろうか。必要なのは労働力としてのロボットであり、頭脳としてのAIだ。この先、シンギュラリティに突入していくなかで、機械が雇用を奪うとすれば、人口が増える理由が見当たらない。
 日銀の「黒田バズーカ」による量的緩和が効かないのも、人口減のせいとも言える。いくらカネを刷って市中に供給しても、使う人間が年々減っている。なにしろ、年間20〜30万人の人口が失われている。これは、中規模の都市が一つなくなるのと同じことだ。
 銀行にしても預金者が減るのだから、もう業務を縮小せざるをえない。金融緩和になど付き合っていれば、確実に破綻する。
 すでに過疎化は進み、鉄道路線、公共交通網は縮小されている。乗客が年々、減っているからだ。そんななかで、整備新幹線だけはまだまだ拡張され、リニア新幹線の建設も始まった。東京−名古屋を1時間ほどで結ぶことに、なにか意味があるのだろうか。それにしてもこのような乗り物にいったい誰が乗るのだろうか。名古屋から東京に通勤する人間が誕生するというのか。
 人口減が進むなか、中央アルプスの地下を乗客がまばらな弾丸特急が走るという未来に、なぜ多額の税金を投入する必要があるのだろうか。
 すでに地方では、人口減により、学校が減り、病院が減り、飲食店も減った。書店はピークの半分以下、スタバもマックも減り始めた。地方都市の郊外にできたイオンモールのようなSCも、最近では不採算店からクローズされるようになった。
 地方都市では結婚式場がなくなったため、若者たちは結婚式を挙げなくなり、またお寺は檀家が減ったために消滅の危機にある。
 今後は、Eコマースが進み、流通は自動運転によるトラック輸送やドローンになるから、生活自体が困ることはない。ただし、人口減少はますます進む。
 ところで、日本の人口減少に逆らっている若者たちがいる。地方都市や大都市圏の郊外にいる「マイルドヤンキー」たちだ。ひと昔前、ヤンキーと言えば「暴走族」「不良」とほぼ同義だったが、いまは違う。
 マイルドヤンキーたちは、日本と郷土をこよなく愛し、地元を離れずに職に就き、同じよう育った仲間たちと暮らすことを好んでいる。彼らの特徴は、20歳そこそこで「早婚」「デキ婚」し、子どもには「キラキラネーム」をつけることだ。そして、子どもをたくさんつくる。
 したがって、博報堂ブランドデザイン若者研究所のアナリスト原田曜平氏は、著書『ヤンキー経済-消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎新書)で、彼らを今後の消費の主体、日本経済の新しい担い手とした。
 厚労省のデータによると、高学歴女性ほど子どもをつくらない。母親の学歴に反比例して子どもの数が減っている。かつては「貧乏人の子だくさん」という言葉があった。貧困層は貧困ゆえに労働力を必要とし、そのいちばん簡単な解決策としてたくさん子どもをつくった。しかし、社会が成熟し、貧困層が減ると子どもは必然的に減った。
 ところが、マイルドヤンキーたちだけが、いまでも子どもをたくさんつくっているのだ。
 少子化のなかで、このような層だけがたくさん子どもをつくっていくとどうなるだろうか。残念だが、ヤンキーたちの多くが勉強嫌いか、勉強が得意ではない。知能程度も低い。彼らが好きなのは、LINEやツイッターなどのSNSやユーチーブの投稿動画だ。最近は、コンビニ店員を脅かして喜ぶ「おでんツンツン男」というユーチューバーも出現している。
 こうした子だくさんヤンキーたちが「大活躍」する未来を描いた映画がある。アメリカ映画だが、日本にも当てはまるので紹介したい。
 2006年にアメリカで公開され、わずか数週間で上映が打ち切られたB級コメディSF映画『IDIOCRACY(イデオクラシー)(日本タイトル『26世紀青年 ばかたち』)だ。完全にB級のホラ話で、笑いも寒いので、とても見るに耐えないが、よく考えるとホラ話とは言えない。
 物語は簡単に言うと、人工冬眠の実験台にされた平凡な男が500年後に目覚めると、アメリカには知能指数50以下のバカしかいなかった―ということ。
 主人公のジョー・バウアーズは、軍に勤務する平凡な兵士。アメリカ人の典型で、本など読まず、ジャンクフードばかり食べ、スポーツ好きで女好き。つまり、あまりにも平凡だったので、そこに目をつけられて軍の秘密プロジェクトの実験台にさせられてしまう。
 このプロジェクトというのは、冷凍カプセルで1年間の冬眠をし、その後の変化を見ようというものだった。しかし、責任者が売春容疑で逮捕されたことからプロジェクトは忘れられ、なんと彼は、500年間も冬眠してしまう。彼と一緒に一般人のリタという女性(じつは売春婦)も冷凍カプセルに入れられたが、2人は目覚めてびっくり仰天する。
 なんと、彼らが目覚めた2505年の社会は、あらゆる人々の知的水準が著しく低下した世界だった。人々は、誰ひとり本を読まず、朝から晩までトイレつきの椅子に座ってジャンクフードを食べながらすごしている。男はスポーツ、女はファッションにしか興味がなく、テレビではお笑いバラエティ番組とスポーツ番組しかやっていない。しかも、ニュースといえば、FOXニュースしか放送してないのだ。
 さらに、医者や弁護士もとんでもないバカばかりで、裁判は完全な見世物ショーになっていた。死刑になると、スタジアムでモンスター・トラックと戦わされるという有様だった。
 つまり、アメリカは「バカによるバカのためのアメリカ」が完全にできあがった「超おバカ社会」になっていた。ここでジョーは、社会の異常さに目覚めて病院に行く。すると、自己証明用の刺青がなかったことで警察に逮捕され、刑務所に送られる。しかし、刑務所で知能テストを受けると、なんと彼がこの世界では最高の知性を持っていることが判明する。これを知った元プロレスラーでポルノ男優上がりのカマーチョ大統領は、彼に世界の問題(食料危機、経済停滞、ゴミ問題)を解決するように頼んでくる―。
 エリート層、中間層が子どもをつくらず、おバカな低所得層だけが子どもをつくる。その先にある未来が、こうならないと、誰が言い切ることができるだろうか。
 映画のタイトル『イデオクラシー』は、「イデオ」(idiot:おバカ)と「クラシー」(cracy)の造語である。クラシーと言えば、デモクラシー(民主政体、民主主義はクラシーが主義の意味でないので誤訳)でわかるように、政治形態のことで、「デモ」(demo)は大衆だから、合わせて「民主政体」となる。だから、「イデオ」+「クラシー」は、「おバカ政体」(衆愚政治)となり、この映画は、現代の人口減社会の行き着く先が、衆愚社会であることを暗示しているとも言えるのだ。
 はたして、私たちの社会はこのような方向に向かっているのだろうか。あるいは、すでにそうなりつつあるのか。
 フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッドは、かねてから「日本の最大の問題は人口減である」と言っている。またシンガポールの故リー・クアンユー首相は、日本があまりに保守的な政策を続けて移民を受け入れないことを批判して、「私が日本の若者だったら国を出る」と言っていた。
 さらに投資家のジム・ロジャーズ氏もこれまで、将来の日本の財政破綻は確実として、「若者なら国は出るだろう」と言ってきた。
 人口減により、この先、国家の借金はますます増え、そのツケはすべて若者たちに回される。ヤンキーたちまで逃げ出すようになったら、この国は本当に終わってしまうだろう。
   ・   ・   ・   

¥37〉38〉─1─「カジノ解禁」でぼったくられる日本人。ギャンブル大国は必ず破綻する。〜No.197No.198No.199 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。 プロフィールに情報。 
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 産経新聞IiRONNA 関連テーマ「「カジノ解禁」でぼったくられる日本人
 日本でもついにカジノが解禁される。そもそも刑法が禁じる賭博を例外的に「合法化」するという、かなり強引な理屈だが、解禁されれば経済効果も大きいらしい。ただ、ことがギャンブルだけに誰かが得をすれば、必ず損もする。むろん、巨大利権だって生む。とどのつまり、誰が一番儲かるんでしょうか。
 ギャンブル大国は必ず破綻する? 国民を欺くカジノ合法化の皮算用
 『鳥畑与一』
 鳥畑与一(静岡大学教授)
 衆院内閣委員会でわずか6時間の審議で「カジノ推進法」が可決された。国会会期内での成立を目指して6日には衆院本会議で可決される予定だという。良識の府である参院でのまっとうな議論を期待して「カジノ推進法」の質疑に対する疑問を述べたい。本稿では、 「統合型リゾート(IR)」の収益エンジンとして組み込まれたカジノをIR型カジノと呼ぶ。
 国際観光業推進にIR型カジノは必要か
 推進派は、国際観光業の発展にIR型カジノは欠かせないと言う。シンガポールでIR型カジノオープンを機に大きく外国人観光客が増大し観光収入も大きく伸びたことで、IR型カジノの絶大なる観光効果は証明済みだと言う。
 確かにリーマンショック等の影響で外国観光客を減少させたシンガポールは、2010年のIR型カジノのオープン効果もあって外国観光客等が大きく伸びた。しかし2013年以降はIR型カジノの不振と相まって外国人観光客等は停滞している。カジノ頼りの観光政策の脆さを早くも露呈させているのではないだろうか。
 一方で日本とシンガポールのボトム期から2015年までを比較すれば、日本の外国観光客の増加とその支出額は、シンガポールの実績をはるかに凌駕している(表1)。円安効果もあるが日本の文化と自然の魅力がビザ緩和等と相まって大きな競争力を発揮している。シンガポールこそ日本に学べと言うべき実績であり、東京オリンピックまでに外国観光客2000万人達成のためにIR型カジノが必要だという論理はすでに破綻済みなのである。そこで東京オリンピックまでに4000万人と目標を倍増させ、そのためにIR型カジノが必要だと論理の衣替えを行っているが、あまりにも恣意的ではないだろうか。
ギャンブル依存症対策は成功しているのか
 推進派は、シンガポールにおけるIR型カジノの経済効果はもとより、ギャンブル依存症対策の成功を大前提にして、日本でIR型カジノをオープンさせてもギャンブル依存症の発生を最小限に抑制できるとする。カジノ収益を基にしたギャンブル依存症対策を講じることでパチンコ等の既存ギャンブル産業による依存症も抑制できると言う。
 確かにシンガポールのNCPG(問題ギャンブル国家審議会)の2014年調査によれば、ギャンブル依存症率は大きく低下している(表2)。しかしそのデータを子細に見れば、カジノ参加率が7%から2%に大きく減少している。住民数に置き換えると26・5万人から7・7万人への減少となる。一方で「自己排除制度」でカジノ入場禁止措置を講じた人数は大きく増大している(本年9月には31・7万人)。住民にカジノをさせない政策が効果を発揮させている可能性が高いのである。さらに、上記調査の回答率が大きく減少しており、「隠す病気」と言われるギャンブル依存者が回答していない可能性も考えられる。
 ギャンブル依存症は時間をかけて発症してくるとされており、2010年オープンのカジノの負の影響を現時点で評価するのは早すぎる。それでも自己破産数が2011年の5232件から14年には7891件へ、そして犯罪件数も2013年以降増加傾向に転じ、とりわけ「詐欺横領(コマーシャルクライム)」が2012年の3507件から15年には8329件に異常な増大を示している。米国の1999年と2013年のギャンブル依存症率の比較を行った調査によれば、さまざまな対策にもかかわらず決して減少はしていない(表3-1)。さらにカジノに通いやすい環境にある住民の依存症率が高いこともあらためて確認されている(表3-2)。シンガポールギャンブル依存症対策の成功を結論付けるにはまだ早すぎるのである。
 経済効果にどのような根拠があるのか
 推進派は、1兆円規模の投資と巨大なIR施設運営を支える数千億円規模の収益がカジノによって実現するという。例えば関西経済同友会の構想では毎年5500億円(50億ドル)の収益を想定している。かつて香港の投資銀行は、東京と大阪でそれぞれ80億ドルのカジノ収益が生まれると煽り立てた。カジノ単体の構想が基本であったお台場カジノの収益予想は300億円であったので、IR型カジノに衣替えすることで桁違いのカジノ収益が実現するというのである。
 しかし、IR型カジノのモデルでもあるラスベガス・ストリップ地区の大型23カジノの収益合計(2015年)は53億ドルで平均2・3億ドルでしかない。例えば、米大手カジノ企業MGM(表4)のラスベガスを中心とする米国内12カジノの収益合計は27億ドル(平均2・2億ドル)でしかない。一方でマカオのMGMチャイナだけで最盛期(2013年)33億ドルの収益があったが、そのうち21億ドル(63%)はVIPからの収益である。マリナベイサンズの最盛期(2014年)は26億ドルであるが、やはり大半はVIP収益であった。
 米国内よりも一桁大きなカジノ収益をアジアで実現できるのは、中国富裕層(VIP)のおかげなのであり、普通の外国人観光客にちょっとカジノに寄ってもらうだけで、マカオシンガポールよりもさらに大きなカジノ収益を実現できると想定するのは極めて困難である。ところが国内候補地のカジノ収益推定の根拠は、通常の観光客数の推計を基にしたものでしかなく、どうやってアジアのVIP市場で競争力を発揮できるのかの説明は一切なされていない。
 推進派は、日本国内ではIR型カジノ数を制限するので過当競争にはならないというが、この肝心のアジアのVIP市場におけるIR型カジノ数を日本はコントロールできない。現にマカオのカジノ収益がVIP収益減少によって最盛期から4割減少したように、アジアのVIP市場は縮小局面に突入している。そこへ韓国のリゾート・ワールド・ジェジュをはじめ、IR型カジノの参入が相次いでいる。そこに周回遅れの日本が参入してどのような展望があるかについても願望しか語られていない。
 アトランティックシティーのカジノ産業は、最盛期の収益65億ドルから15年には35億ドルに半減し、12カジノ中5件が経営破たんに追い込まれているが、同じような過当競争に巻き込まれないという保証はどこにもないのである。
 IR型カジノは地域経済を活性化させるか
 外国観光客とりわけVIPが獲得できず国内客の比率が高まるほど、国内における購買力の移転でしかなくなり、日本経済の成長促進は幻想でしかなくなる。ましてや2012年以来148億ドルを株主に利益還元したと誇るラスベガス・サンズ等の外資がIR型カジノの運営を担った場合は、利益流出で日本の貧困格差を一層促進することになる。また周辺のマネーがIRに吸い込まれることで地域間の経済的格差や貧困が拡大し、犯罪誘発などの社会的被害が地域社会に負わされていく危険性が高まっていく。さらに高齢者の貯蓄等が狙われていく危険性が、米国の事例を見ても高い。
 推進派は、IRのなかでカジノの占める面積はほんの一部でしかなく、あくまで家族みんなが楽しめる統合型リゾートの建設であると言う。しかしシンガポールのIRでは収益の8割をカジノ収益が占めるように、収益構造の中心はカジノである。それも巨額の投資と巨大なIR運営を支えるために毎年数千億円の高収益を必要とするカジノであり、まさに国民のギャンブル漬けへの極めて強い経済的衝動をもつカジノなのである。
 大阪の夢洲構想では毎年6500万人の来客が想定されるが、うち82%は国内客とされている。ラスベガスでは、ギャンブル目的の客は10%でしかないが、平均3泊4日の滞在中に73%がギャンブルを経験するという。IR型カジノは、家族ぐるみで来訪させ、お父さんもお母さんもギャンブルを経験させることで、ギャンブル依存症になる可能性を国民全体に広げる危険性の高いカジノなのである。
 年間4000万人以上の来訪があり、IRモデルの成功例とされるラスベガス。しかし全体としてはリーマンショック以降赤字に転落したままである(表5)。巨額の投資のみが先行し、期待された収益が実現しないことで、経営破たんに追い込まれたリゾート開発の繰り返しになる危険性が高いのではないだろうか。そしてその時、収益優先のために国民のギャンブル漬けに拍車をかけるような依存症対策の形骸化が進められていく可能性が高いのではないだろうか。
 カジノの負の側面が明らかにされた「国家ギャンブル影響度調査」(1999年)以降、米国内で新たにカジノ合法化を進めようとする州政府は、カジノ解禁の経済的効果のみならず社会的コストの調査を行うことが一般化している。例えば、ニューハンプシャー州は地域によってはカジノのマイナス効果が上回る評価が出たことで議会では否決が続いている。
 このような経済的効果の真偽と社会的コストの調査もまったくされないまま、基本法と実施法を分離することでまともな議論を回避してカジノ合法化の道を突き進むことの是非が今国会に問われているのである。
   ・   ・   ・   

🚷6〉─2─令和元年の出生数87万人下回る見込み。〜No.29No.30No.31 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。 プロフィールに情報。 
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2019年12月10日 産経新聞「出生数87万人下回る見込み 少子化相「深刻な状態」
 衛藤晟一少子化対策担当相は10日の閣議後記者会見で、令和元年の出生数が87万人を下回る可能性があることを明らかにした。明治32年の統計開始から初めての90万人割れで、令和3年と見込んでいた想定より2年早い。衛藤氏は「深刻な状態として強く認識している」と述べた。
 厚生労働省は出生数や出生率をまとめた「人口動態統計」の年間推計を今月下旬に公表する予定。衛藤氏は「抜本的かつ総合的な少子化対策を推進していかなければいけない」と話した。」
   ・   ・   ・   
 12月24日 産経新聞「出生数86万4千人 初の90万人割れ 自然減は過去最大51万2千人 厚労省が人口動態統計発表
 赤ちゃんの数は年々減っている
 厚生労働省は24日、令和元年の人口動態統計の年間推計を発表した。今年国内で生まれた日本人の子供の数(出生数)は明治32(1899)年の統計開始以来、最少だった昨年の91万8400人(確定数)を下回り、86万4千人と過去最少を更新し、初めて90万人を割る見通しとなった。国立社会保障・人口問題研究所は令和3年に86万人台になると推計していたため、減少ペースは2年速い。
 死亡者数は昨年の136万2470人を上回り、137万6千人となり戦後最多となる見込み。高齢化に伴い10年連続で増加する。死亡者数から出生数を差し引いた人口の自然減は過去最大の51万2千人で、13年連続で人口が減るのが確実となった。昨年の自然減は44万4070人で、初めて50万人を超える。
 厚労省の担当者は出生数の減少について「出産適齢期(25~39歳)の女性が減っている影響のほか『令和婚』の影響が出ている」と分析している。元号が変わる5月に結婚を遅らせたため、出生のタイミングが遅れた可能性があるという。実際、5月の婚姻件数は昨年は4万5972組だった。今年は約2倍の9万1560組だった。
 婚姻件数全体では58万3千組と戦後最少を更新したが、昨年の58万6481組と比べ微減にとどまる見通しだ。離婚件数は21万組と推計しており、昨年の20万8333組に比べ微増となる見込みだ。
 女性が生涯に産む子供の推定人数を示す「合計特殊出生率」は平成30年が1・42で、17年の1・26を境に緩やかな上昇傾向にあるが、近年は微減が続いている。政府は令和7年度までに子供がほしい人々の希望がかなった場合の「希望出生率」を1・8にすることを目標にしているが、実現は厳しい状況だ。」
   ・   ・   ・