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・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
日本人会社員の全員が、リストラせず雇い続けなければならない有能な人材とは限らない。
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2016年3月11日号 週刊ポスト「朝日新聞『天声人語』に異議あり!
『働かないアリ』は集団に必要というけれど
本当は今すぐ辞めて欲しいわが社の『ローパー社員』
『あいつと俺がなんで同じ給料なのよ』
どんなに出来の悪い人材も見捨てるべきではない、という『ダメ社員擁護論』は、理屈としてはよく分かる。が、現実としてはどうだろう。最初から真面目に働く気のない9時5時社員、上司の目を盗んでは隣でサボってばかりいる〝あいつ〟が同じ給料をもらってクビにもならないなんて、バカバカしいと思うでしょう?
いま、『ローパー社員』が論争の的になっている。
ローパー社員とは『ローパフォーマンス社員』の略で、周囲の期待どうりに働かず、企業に利益をもたらさないダメ社員のこと。
論争のきっかけは朝日新聞が『再就職支援のための政府助成金が「非戦力社員」であるローパー社員のリストラ誘発につながっている』と報じた記事(2月22日付)だ。翌日の『天声人語』では、北海道大学の長谷川英祐・准教授による『勤勉なアリ』と『怠け者のアリ』の研究を取り上げ、普段サボっているアリは働き者の仲間が疲れて休むとその代わりに働き、卵の世話をするという研究成果を紹介した。
そのうえで『短期的には無用と見える個体が、長期的には実に有用』であると強調し、ローパー社員を『長い目』で見る必要があると訴えた。いかにも朝日らしい『労働者擁護』の内容だ。
お前らこそ『ブラック社員』だ!
これに猛然と異を唱えるのがビジネス現場だ。本誌が取材を重ねると仰天の『ローパ伝説』がいくつも飛び出した。
大手製造メーカーの40代社員は、『ローパーが疲れた仲間の代わりに働くなんて絵に描いたモチです』と断言する。
『ウチの会社のローパー社員は強い組合に守られ、来る日も来る日も怠け続けている。ある社員がだけ働き、1年間休職するサイクルを繰り返しても、組合に守られてクビにできなかったほどです。さすがにその後、社内で問題になって改正された就労規則は、〝OO(その社員の名前)ルール〟と呼ばれるようになった。彼のように普段サボっている奴が困ったときに働くなんてありえない。とっとと辞めてほしい』
最近、『ウチはブラック企業だ』と主張するローパーが増えたと渋い顔なのはIT系企業の40代係長だ。
『そういう社員が夜間に長時間の残業をしているのは事実だけど、彼らは就業時間の昼間に職場を抜け出してコーヒーを飲んだり、ずっとスマホをいじったりしています。そうした連中ほど「ウチはブラックでやってられないッスね」と長時間ダベッているけど、昼に働かないから夜の残業が増えるだけ。しかも彼らの彼らの手取りは増えるけど、昼にキッチリ働く社員に残業代はつかない。同僚はみな、残業ばかりする連中に「お前らこそブラック社員」と怒り心頭です』
ITの進歩でローパーも変化した。金融関連企業の50代部長は、『部長、コレ見てください』と部下からスマホを渡されて心底驚いた。
『匿名のツイッターで、「OO部長の指示はおかしい」と私の実名をあげた投稿でした。誰が書いたか見当はついたけど、注意するとそれをまた書き込まれる怖れがあり、あえて無視しています。不平不満ばかりでロクに働かない社員は昔だったら退職を促したり、窓際に異動させていたけど、誰もが発信力をもったから露骨なことはできない。嫌な時代になったものです』
さらに悪質なのが、『当たり屋ローパー』だ。
中堅商社の50代採用担当者がため息をつく。
『中途入社した社員の業務中の態度が悪く、注意しても一向に収まらなかった。業績も悪く、職場の雰囲気も悪くなったので、「素行不良で解雇する」と告げると、その社員は労働基準監督署に駆け込み、「不当解雇だ」と訴えました』
想定外の展開に会社は慌てた。この社員の解雇は法令上、強引なところもあり、和解の給料を支払って解雇することで決着した。
『後々、弁護士を使って調べると、彼は前の会社でもわざと素行不良で解雇されるように仕向け、和解金をぶんどっていたようです。会社としては「当たり屋」にやられたようなものです』(前出・採用担当者)
困ったことにこの騒動から『学習』する社員がいた。
『労働者の権利が法的に守られることに気づいた一部の社員が平気で仕事をサボりだした。同僚が注意しても、「会社は社員をクビにできないから、必要以上に働くのは損だ」としたり顔でいう。当たり屋の〝模倣犯〟に苦しんでいます』(同前)
増殖するローパー社員はどのようなタイプが多いのか。あるコンサルタントは『目立つのはオレオレタイプ』と指摘する。
『仕事力が低く、先の展望もないのに「オレはできる」との思い込みだけは激しい。失敗はすべて他人や環境のせいにする。「オレはやるぜ」というから「何を」と聞くと「何かを」というタイプです。「会社が悪い」が口癖で自分のことを認めない人を徹底的に攻撃する』
真面目で使えない〝エア社員〟
この目立つタイプならまだしも、『真面目』なローパーは対応が難しい。
大手製造業の50代部長が表情を曇らせる。
『遅刻も欠勤もなく、見た目は真面目に働いているけど、実績が伸びないローパーが実は一番困る。出世コースを外れ、会社に所属するだけで給料をもらうフリーライダー(タダ乗り)と呼ばれる連中です。どの部署でも仕事をこなす同僚のおこぼれで食いつなぐので「あいつと俺がなんで同じ給料なんだ」と周囲の不満が高まる。オフィスにいるだけの〝エア社員〟なのに、明確な職務怠慢があるわけじゃないのでペナルティを科すこともできない。コストだけはかかるから会社としても本当に困る』
こうしたローパー社員は『老害』だ、と訴えるのは、40代の中堅商社マンだ。
『クビにもされ役職なしでず生き延びたダメな社員は50歳を超えると、勤務中に時間をどう潰すかに専念する。1日の半分以上を席に座って過ごし、メールのやりとりですむ打つ合わせなのに先方まで出かけて2時間も面談しているんです』
額に汗して働く社員の心をザワつかせるローパー社員たち。最大の問題は職場の『士気』を下げることだ。
50代の中堅商社の営業統括部長は『ローパーは腐ったミカンだ』と言い切る。
『ウチの営業は1課から4課まであるが、全体で最低の営業成績の社員がいる課は業績がどんどん落ちていく。下の人間がいることで、「アイツがいるから大丈夫」と他の社員が安心して努力を怠り、課全体のパフォーマンスが下がるんです』
8割の経営者が〝ローパー〟に悩んでいる
ローパー社員は会社に不利益をもたらすばかりだ。
それでも日本の裁判所は解雇を非常に厳しく規制し、単に仕事の能力が低いだけでは解雇できない。
人材コンサルタントの業務を担う経営者JPの井上和幸・社長はローパー社員がいまの企業の『深刻な課題』であると指摘する。
『当社クライアントの8割以上の経営者からローパー社員の悩みに関するご相談を頂きます。周りの社員のイライラが募って全体のモチベーションが下がり、組織が疲弊することに社長達は一番の憤りを感じています』
こうした社員にどう対応すべきか。元銀行マンで作家の江上剛氏が助言する。
『私が銀行の人事部にいた時代からローパー社員の活性化は大きな課題でした。大切なのは上司の役割です。ローパー社員でも到達できる目標を与え、彼らを鼓舞するのが上司の仕事です』
その一方で、『課長島耕作』で知られる漫画家の弘兼憲史氏はフリーの立場からローパーを一刀両断する。『私のようなフリの場合、仕事ができなければそれで終わり。サラリーマンだからノタノタ働いても雇用が守られ、給料がもらえるのはおかしい。ローパー社員を擁護すべき理由が見つかりません』
『長い目で』なんて所詮はキレイ事で、アリはアリでも『アリとキリギリス』の寓話を思い出すべきなのだ」
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