🧣49〉─1─同調圧力が引き起こす田舎イジメと村八分。〜No.196No.197No.198 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 2023年10月17日 YAHOO!JAPANニュース FORZA STYLE「【地獄の秋祭り】「自分だけ逃げるなんて卑怯ですよ…」いまも蔓延る子供会の因習。入会拒否のママが見た「田舎いじめのヤバすぎる闇」
 「入会は任意ですよ」真に受けて断った時、起きたこと。
 秋のお祭りシーズンが到来した。都市部はともかく、地方ではまだまだ男衆や子供会の子どもたちが神輿を担いで練り歩く秋祭りの風習が残っている土地も珍しくない。
 「子供だけのお留守番は虐待?」埼玉の条例の背景にあった男尊女卑な親父たちの闇。
 かつては郷愁を誘う季節の風物詩だったお祭りも、共働き世帯が増えたことなどにより、「子供会」の役割を負担に感じるようになった保護者からは、その存続を疑問視する声が聞かれる。
 地方にはまだまだ多い子供会の問題点について、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう指摘する。
 「昔からの地域文化や慣習を大切にすることは良いことかもしれません。
 しかし、行事は現在の生活実態に合う形で運営しないと無理がたたり、地域社会はかえって疲弊しかねないんです。育児世代はまた同時に働き盛りであり、近頃では介護問題を抱える家庭も少なくありません。
 そろそろ保護者・住民負担の多いこれまでの自治会・子供会のあり方を見直す時が来ているのではないでしょうか」
 今回お話を伺ったのは、3年前にある地方で購入した建売住宅に親子3人で暮らしている中堀いずみさん(仮名)。
 「6戸で構成された小さな新興住宅地の家を買ったんですが、その6戸以外は古くからのお家ばかり。面倒なお付き合いや大変な役割があることがわかってきたのは割と最近です。
 今いちばん怖いのが子供会です。うちの息子は来年小学校に上がるんですが、入会任意のはずの子供会入会が避けられない状況に追い詰められて……」
 いずみさん夫妻は共働き。夫は毎朝都市部までバスと電車で通勤し、いずみさんは現在の住まいから車で20分ほどの病院で医療事務をしている。
 「今の家に引っ越してきたのは息子が4歳になる年でした。地元の保育園に入って、誘ってもらった地域の秋祭りでもお菓子をもらったり、射的とか風船釣りをさせてもらったりして、やはり田舎はこういうのがいいなと、その時は思いました」
 これまではお客さん気分だったいずみさん。秋祭りやさまざまなイベントの準備・手伝いは保護者で構成される子供会が担っていることを知らなかった。
 「私は都会育ちで、マンション育ちなせいもあるかもしれないですが、子供会の存在なんて知らなかったんですね。今年も秋祭りに誘われたので子供を連れてお邪魔しようかとぼんやり思っていた矢先、近所の方が突然玄関先に来たんです」
訪ねてきたのは、いずみさんの息子が上がる予定の小学校に子どもが在学中だという女性だった。聞けば、現子供会役員だという。
 「お宅は来年入学ですよね、といきなり言われました。で、畳みかけるように『小学校入学と同時に子供会に入会するのがならわしになっている』と。会費は年2400円。寝耳に水でした」
 突然訪れた役員から、子供会に関する説明をされたいずみさん。
 「え、待って待ってという感じ(苦笑)。秋祭りの2ヵ月前から毎週土曜日の夜に神輿の扱いとかお囃子の練習があるから、役員は毎回、非役員も場合によってはお手伝いがあると。会計やお菓子の準備、当日の男衆と子供たちの食事の世話、それらもすべてこの地域の小中学生の母親たちでやるんだと。なんだそれ、と思って唖然としました」
 地域は組が分かれており、役割は分業するものの、最終的にはみんなで総力をあげてサポートすることになっている、との説明を受けた。
 「しかも、子供会は秋祭りだけではなく、春はお花見バーベキュー、夏は花火、冬はクリスマス会などなど季節ごとにイベントがあって、コロナで休んでいた行事も復活させていくと言うんです。うちは秋祭りに遊びに行かせてもらったことしかなかったので、そんなに多くの行事があるとは知りませんでした」
 季節のイベント以外にも、映画の上映会を主催したり、老人会とのコラボ企画があったりと、親子ともども何かと駆り出されるのだという。
 「ふと気になって、子供会の入会は義務なんですか、と訊ねると『任意です』とおっしゃるんです。だから、『夫と相談するのでお時間ください』と答えたんですね。そうしたら『は? 即決しないわけ?』みたいな顔をされて、少し怖くなりました」
 連絡先を教えてその場は引き取ってもらい、夫婦で相談することにしたいずみさん。帰宅した夫は「任意なら断ろうぜ、ウザいじゃん」と一刀両断だった。
 「『断ったりして村八分とかないよね』と私が言うと、『いつの時代の話してんだよ』と夫に笑われました」
 しかし、その地域の現実は「村八分」さえ存在しかねない前時代的なものだった。
 いずみさんは秋祭りの現場で母親たちに囲まれ、子供会入会を強く求められることになる。
 「ほぼ強制入会」の田舎の子供会の実態を、次回詳報したい。
 Text:中小林 亜紀
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 10月17日 「【後編】地獄の秋祭り。「子供会入会は任意」は真っ赤な嘘!同調圧力で屈服させる田舎の風習にお先真っ暗
 ▶︎前編はこちら
 【前編あらすじ】
 3年前、家族で都市から地方に移住した中堀いずみさん(仮名)は、息子が小学校入学が翌年にせまると、現子供会役員の女性から子供会への入会を求められた。
 入会は任意だと言うが、「夫と相談したい」と伝えると怪訝な顔をされた。
 「数日後、子供会入会を誘ってきた方から電話がかかってきました。夫も私も仕事が忙しいのでちょっと子供会は無理かもしれません、とお断りしかけたんですが……」
 いずみさんの回答を聞くや、猫なで声で話していたその人は豹変。とげとげしい口調で、こんな風にいずみさんを責めたという。
 「忙しいって、みんな同じですよ。忙しい中で役を頑張ってるんですよ。中堀さん、保育園の間はお祭りに招待されてお菓子もらってきたんでしょう。今度は手伝う番です。当たり前だとは思わないんですか? そうやって順番に引き継いでいくものでしょう」
 いずみさんが動揺して黙り込むと、高圧的になってしまった自分自身にふと気が付いたのか相手は急にトーンダウンし、とにかく秋祭りに遊びに来てほしいと言ってきた。
 「判断に困って、新興エリアと呼ばれる他のお宅に『どうする?』って聞きに行ったんです。うち以外もみんな30代~40代の夫婦ばかりで、お子さんのいないお家が2軒、あとの3軒の中で小学生がいるのは1軒だけなので、その家に伺いました」
その1軒の家の子どもは小学3年生。引っ越してきた3年前はちょうど入学した年で、ほとんど強制的に子供会に入ったという。子供の年が離れているとなかなか話をする機会もない。子供会入会は初耳だった。
 「夫に報告すると、『まあ近所づき合いも大事だし、仕方ないか』と他人事みたいに言うんです。これから大変になることが、いまいちわかってないみたいで」
 入会しないという選択肢がなくなったように感じられたいずみさんは、迷いつつも半ば覚悟を決めて、先日、秋祭りに出かけた。子供会役員の女性は「よく来てくれたわね」とちやほやしたが、すぐに子供を夫に預けるように言い、いずみさんを子供会会員の親たちが集う詰所に連れていったという。
 「まだはっきり入会すると答えたわけでもないのに、『来年からよろしくお願いします』といろんな人に声をかけられました。行事によっては父親が活躍する場合もあるらしいんですが、秋祭りはすべて母親たちが世話をするようでした。私が所在なさげにしていると、うちに話をしに来た役員さんが口を開いたんです」
 役員の女性は、周りの人に対して問題提起するような口調で「中堀さん、子供会の入会を迷ってらっしゃるそうなの」と大きな声で言っていずみさんをたじろがせた。
 「私がうつむいていると、見るからに性格がキツそうな人がこう言ってきました。『みんな本音では大変だなと思ってるけど、それでも頑張って続けてきたんだから。地域社会の中で生活していながら、自分だけ役割から逃げるのはどうかと思いますよ』と」
 すると、堰を切ったように次々と、小学生の保護者の「先輩」たちがいずみさんに意見してきた。
 「『お母さんは楽でいいかもしれないけど、お友達が参加する楽しいイベントにあなたのお子さんだけ参加できないなんて、かわいそうだと思わないんですか』とか、『そもそも入会しない人ってほとんどいないくない?』とか。周りを見回しながら言われちゃって。裁判にかけられているみたいで怖かったです」
 いずみさんの頭には「夫にももう一度相談したい」「友人の話も聞いてみたい」などの思いが去来して覚悟が揺らぎ、その場で入会を約束することがためらわれた。黙って考えていると、さらにこう責められたという。
 「『こういう状況でそんな風にされてしまうと、まるで私たちがいじめてるみたいだからやめてくださいよ』と言うんです。ちょっと考えさせていただいていいですか、と言ったんですが、『そこまで深く考えるようなことですか? 子供を楽しませようっていう会なんですよ』と」
 いずみさんは恐ろしくなり、最終的には「そこまで勧めていただけるなら入会します」と答えてしまった。遠くから子どもたちの笑い声が聞こえたが、いずみさんは「地獄だ」と感じた。
 「帰ろうとすると、2人の若いお母さんが寄ってきて、『オバちゃんたち、めちゃめちゃ怖いでしょ? 入会一択ですよね』って話しかけてきたんです。こうやって陰口言って表ではいい顔してる人もやっぱりいるんだろうなと思ったら、ますますお先真っ暗になりました」
 後でリサーチすると、陰では「子供会なんて、もうやめたい」「大変すぎるから行事を減らすべきだ」と多くの人が文句を言っている実態もわかってきたという。
 おかしいと思っているのに、なぜか自分の意見を言えない空気を自ら作ってしまう同調圧力の不気味さに、いずみさんはほとほと呆れている。
 「この土地に家を買ったのが運の尽きでした。子どもが中学卒業まで子供会は続くとのことで、もう絶望的な気分です」
 例年、小学校6年の保護者の中から会長、5年から副会長、4年から書記が選出されるのだそうで、毎回役職決めも紛糾するのだとか。
 子供会に付属する親の会の会員の中に専業主婦はほとんどいないという話だが、このような無理を継続していて良いのかどうか、いずみさんは疑問を感じずにはいられない。
 Text:中小林 亜紀
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