¥45〉─2─少子高齢化による人口激減で「人手不足倒産」が深刻化。~No.226No.227 

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2023年9月16日 MicrosoftStartニュース SPA!「「人手不足倒産」が深刻化…“日本ならでは”の理由で問題解決が先送りに
 帝国データバンクが8月8日に発表した調査結果によると、人手不足に起因する企業倒産が2年連続で増加していることがわかった。人手不足は以前から問題視されていたが、解消はされていないどころか深刻化しているようだ。
 少子高齢化が深刻化するなか、ある意味仕方のないことではあるが、なぜ歯止めをかけることができないのだろうか。労働問題に取り組むNPO法人POSSEで代表を務める今野晴貴氏に話を聞いた。
 © 日刊SPA!
◆なぜ働き手が流出してしまうのか
 はじめに現状をひも解いていきたい。今野氏は「ひとえに人手不足と言っても様々な要因から生じます」と話す。
 「まず、“激務なのに低賃金”といった待遇面に対する不満から、『人材を確保できない』、『人材を流出させてしまうケース』が挙げられます。主に肉体労働やケア労働など、私達の生活を支えている“エッセンシャルワーカー”の職場で多く見られる現象です。これらのケースは人手不足が問題視される以前から常態化しており、長年解消されていません。
 また、“会社の中枢を担う幹部候補がいない”というケースも無視できません。就職氷河期に採用を絞ったことによって中堅社員の数自体が少なく、管理職などを任せられる人材が少ない中、今度は育成対象とする新卒の絶対数が不足しています。さらには『出世したくない』『責任を負いたくない』と考える人が増加しており、昇進を打診された挙句、辞めてしまう人もいるようです」
◆「3年以内に退職する」新入社員たち
 © 日刊SPA!
 新入社員が早々に辞めてしまい、若手人材の不足が発生するパターンも散見されるようだ。
 「『最低3年は経験を積むために続ける』という考え方が通用しなくなってきているとは、以前から囁かれていたのですが、最近はその傾向が加速しています。現在の若者は一つの企業に勤め続けることで、自分のキャリアが切り開かれるとは考えていません。日本の一流企業であっても、グローバル競争に淘汰される恐れもあるからです。
 加えて、“追い出し部屋”も常態化しており、正社員に採用され、会社のいうとおりにキャリアを歩んでいったとしても、企業が雇用を守ってくれるとは限りません。よく言えば“成長意欲が高い”、悪く言えば“余裕がない”ということです。『今の会社にいても大丈夫なのか?』と常に感じており、その不安から退職してしまう人も珍しくありません」
 「待遇が悪いから」「昇進したくないから」「成長できなさそうだから」といった理由が人手不足のトリガーになっている。働く側のニーズをしっかり理解していなければ、企業としても問題を解決する糸口は見つけられないだろう。
◆「転勤は拒否できない」も今や昔
 古いままの企業の体質や価値観も障害の一つだろう。「“使い勝手の良い従業員”を未だに求めていることも大きい」と今野氏はため息をつく。
 「例えば、一昔前は当たり前とされていた『転勤は拒否できない』という暗黙の了解も、共働き世帯が増えたことでそう簡単にいかなくなりました。ただ、そうした状況に対応せず、旧態依然の働き方を従業員に求める企業は多いのが現実です。
 最近では、転勤の多い国家公務員や全国的企業に勤める男性は『恋愛弱者になった』という指摘もあるほどです。女性が男性を選ぶ際に、自分のキャリアに悪影響が出そうな職業の人を敬遠するというのです。
 企業の言いなりで働くことに拒否感を示す人は増え、働き方のニーズは多様化しました。にもかかわらず、体質や価値観をアップデートできていないため、人材確保がままならず、自らの首を絞めている企業も少なくありません」
 働く側のニーズをくみ取らず、企業側が未だに“社畜扱い”を強いている現実を直視しないといけないのかもしれない。
◆最高益を更新している企業は多いはずだが…
 企業側が働く側のニーズの多様さ、さらには時代による情勢の変化を理解することがいかに大切であるかがわかった。ただ、それ以上に「待遇に不満を持つ人が多い」という指摘があったが、この点の改良・改善は必須なのではないか。
 実際、2023年に入って寿司職人を筆頭に“海外で出稼ぎする日本人”が頻繁に話題になった。裏を返せば、現在の待遇面に不満を持つ人が多いことが伺える。とはいえ、長年の不景気の影響によって現状を打破できない企業も無数にあるはず。今野氏は「もちろん小規模の企業にとっては簡単ではありません。どこの企業でもできるものではないでしょう」としつつ、「ただ、最高益を更新している企業は多いですよね」と指摘。
 「2023年3月期に純利益が過去最高だった企業は全体の4社に1社。好調な企業は少なくないのですが、その売り上げは役員報酬や株主配当に回されがち。実際、非正規労働者と何かしらのトラブルを起こしている企業を調べると、過去最高益を更新していることは珍しくありません。
 そういった企業は非正規労働者を大量に雇うことでコストを抑える傾向があり、従業員はもちろん、下請け企業にも利益を還元しようとはしません。あるいは、インフレへの『便乗値上げ』によって利益を上乗せしている場合もあります。こうした企業に対しては、社会の反発も大きいでしょう。
 だからこそ、労使交渉をするなどして待遇改善を訴えることで、こうした理不尽な状況を変えやすくなっています。もちろん、人手不足も賃上げに有利に働いています。社会を犠牲にした最高益に、人手不足が加わることで、賃上げの条件が整えられている、といえるでしょう」
◆“働きやすくなる法整備”が必要に
 企業が意識を変えるだけではなく、労働者が声を上げることも重要な要素であるようだ。最後に、政府がどのような対策を打つべきなのかを語ってもらおう。
 「最も深刻と言われているのが、『IT・デジタル人材の不足』です。その要因となっているのが政府の人材投資の低さ。対GDP比での人材投資額は、先進国の中でも日本が大きく後れを取っている。すぐに人手不足が解消されるわけではありませんが、それでも政府は積極的に人材投資しなければいけません。
 他にも、“働きやすくなる法整備”も必要です。例えば、『会社が勝手にシフトを決める』なんてことはエッセンシャルワーカーの職場でよく見られます。でも、シフトを強制することは法的にグレーゾーンで、『一方的にシフトを入れられて生活がめちゃくちゃになっている』とか、逆に『いきなりシフトを減らされて事実上に解雇状態にされてしまった』などと不満を持つ人は多い。こうした労働者に不利な働かせ方を一つ一つ見直していくことが、定着率を高めていくことに繋がるはずです」
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 「猫の手も借りたい」事態を招かないためにも、柔軟な姿勢が求められる。ひとつでも多くの企業が健全な体制を構築してほしいものだ。
 <取材・文/望月悠木>
【望月悠木】
 フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
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